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第61話 意地と気迫


同点に追い付かれた黄金台高校のキックオフで試合はリスタート。

ボールを受けたのはトップ下のミッツ(赤江光陽)。しかし――

「来たぞ、囲めッ!」

銅島中の前線から中盤までが一斉に襲いかかる。

(パスコースが、無ぇ…‼)

ミッツはやむなく、後方のセンターバック・ショウ(氷見翔弥)へと下げる。

ボールを受けたショウは、ピッチ全体を見渡す。

(マジか、このままだと奪われる…!)

瞬時の判断で、ショウは迷わずロングボールを敵陣へ蹴り込む。

 反応したのはレオ(葵玲央)。鋭いスプリントで飛び出すが、その前に立ちはだかったのは巨漢センターバック・大熊元基。豪快なヘッドで処理し、ボールはGK安田瞬二の元へ。

瞬二も即座に応じ、今度はロングフィードで反撃を仕掛ける。

――残り時間わずか。お互い決勝点を奪うべく、もはやフォーメーションなど意味をなさない。ボールは激しくピッチを行き来し、ただ両者の意地と気迫だけがぶつかり合う。


 ムウ(有屋夢生)は胸の奥で焦りを覚えていた。

(このままじゃ、流れを持っていかれる…! 一度ボールを落ち着かせないと…!)

しかし銅島中は逆に勝負を仕掛ける。再び黄金台ゴール前へロングボールを蹴り込み、中央では絶対的エース・安田和輝が構える。

――だが、その瞬間。

安田の頭上を、さらに高く、一人の男が跳んだ。

「うおおおおおぉぉぉ‼」

それは黄金台の守護神、GKバル(田浦昴)。跳躍力に加え、手を使えるキーパーの利点を最大限に生かした大ジャンプ。安田の目前で高々と宙を舞い、両手でボールをキャッチする。


「取ったぞぉぉぉぉ‼」

バルの咆哮がフィールドを揺らす。

素早く立ち上がったバルの視線が、敵陣を射抜いた。全員が黄金台陣内に雪崩れ込んでいた銅島中。そこに、わずかな隙が生まれていた。

――ロングスロー一閃。

放たれたボールは、既に右サイドを駆け上がっていたテル(神田照真)の足元へ。

「テルさん、頼む‼」

「おうよ!力は最後まで残しとくもんよ!」

 試合中、姿を消すことが多かったテル。しかしそれは全て、この瞬間のため。体力を温存し、最終盤で勝負を決めるための布石だった。

テルが敵陣を一直線に駆け抜ける――!


だが、銅島中にも食い下がる男がいた。試合中はほとんど目立たず、存在感も薄い。だが、危機察知能力とボール奪取力においてはチーム随一。センターバック・獅戸半蔵が、いつの間にか背後から追いすがっていた。


そこは既にペナルティエリア付近。

――テルが仕掛けるか、獅戸が奪うか。

試合は、いよいよ最終局面を迎えようとしていた。


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