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第27話 形になる、チーム

 新人戦――高校サッカー界で春のインターハイと並ぶ、もうひとつのビッグタイトル“冬の選手権”の前哨戦として、各校が実力を図る大切な舞台。 その新人戦への出場を目標に、黄金台高校サッカー部は動き出していた。 グラウンドには真剣な表情の9人の選手と、指導にあたる顧問・有屋紫乃の姿。 そして、そのすぐ傍らにはノート片手に選手の動きを細かく観察する、同学年のマネージャー・木庭香織がいる。 「今の動き、フォローが一歩遅いね。神田くん、もっと中盤との距離詰めて!」 「了解ー。いや~マジで頭使うのな、サッカーって!」 ストレートな物言いで笑いながらも、神田はすぐに立ち位置を修正。 それを魚住が静かにフォローする。氷見は試合を想定した1対1の練習に汗を流し、 有屋夢生は少しずつ、周囲の動きに声を掛けるようになっていた。 少人数とはいえ、彼らの動きには少しずつ「チーム」としての輪郭が見え始めていた。 だが、それでも足りない。 9人――1人でも欠ければ、試合に出場しても、相当困難な試合になる現実。

(もしかしたら、このまま9人で戦い抜くしかないのかもしれない――) そんな漠然とした覚悟が、誰の心にも少しずつ芽生え始めていた頃。 紫乃は、ある決断を下していた。 それは、“ポジションとフォーメーションの固定”。 これまで自由に、全員が様々なポジションを経験しながら、個々の特性や適性を探ってきた。 だが、限られた時間で、公式戦という現実的な舞台で勝利を目指すには、戦い方の軸を定める必要がある。 「9人のままで挑むとしても、彼らには可能性がある。ならば――」 紫乃は誰にも聞かれぬように、静かに呟いた。

  放課後、グラウンドに全員が集合すると、紫乃はホワイトボードを持って現れる。 その横に立つ香織も、資料がびっしりと書き込まれたノートを手にしていた。 「みんな、今日は少し大事な話をするわ」 紫乃の言葉に、全員の表情が引き締まる。 「それでは、黄金台サッカー部の基本ポジションと基本フォーメーション、そして――戦い方を説明するわ。」 運命の布陣発表が、いま始まろうとしていた――。

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