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第14話 キャプテンは誰だ?

 放課後、部室がまだ無いため、玲央たちは教室に集まっていた。ようやく揃った7人。その空気にはどこか晴れやかな、そして次の段階に進む期待感が漂っていた。 「でさ、そろそろ……キャプテン、決めようぜ!」 最初に口火を切ったのは赤江光陽だった。椅子の背に肘をかけながら、相変わらず飄々とした態度だが、どこか本気の光がその目に宿っている。 「オレは玲央だと思う。あいつの“前しか見てない”感じ……結構、ついていきたくなるタイプなんだよな。」 「俺もだな」と昴が続く。「玲央がいなきゃ、俺はたぶんまだ家でゲームしてるだけだった。アイツが言う夢、ちょっとバカでかいけど……本気でやろうって気になる。」 玲央は、「ちょ、ちょっと待ってくれよ」と苦笑いを浮かべたが、頬は赤くなっていた。

 「……でも、もう一人いると思うぞ、キャプテンに向いてる奴」 その時、静かに魚住が口を開いた。 「有屋くん。試合中、冷静で、全体を見渡せる。声もちゃんと届いてた。経験はないけど、むしろそれを感じさせなかった。」 「そーそー!」と神田が勢いよく頷く。「オレも夢生だと思ってた。なんか、こう……チームの頭脳って感じ?」 「そんな……」と夢生は驚いた顔をする。「僕はまだ始めたばかりですし、玲央くんのほうが……」 「それでも、そう見えたってことだよ」と玲央が笑って言った。「むしろ、そう思ってくれる人がいるってすごいことじゃん?」

  その時、教室の扉が開いた。 「話が盛り上がってるところ、悪いけど——」 有屋紫乃だった。 「サッカー部、正式に許可が下りました」 「マジで!?」 「よっしゃあ!!」 歓喜の声があがる教室。しかし、紫乃はそこで間をおいて、さらに一言。 「ついでに——練習試合、組んできました」 全員が固まる。 「え……先生、早すぎじゃ……?」 「早すぎるくらいが、ちょうどいいでしょ?ただし、相手は……まだ秘密」 「ええええ!?」と全員が叫ぶ。 「当日、現地に着いてからのお楽しみよ。さて、キャプテンは決まった?」 玲央と夢生が目を合わせる。そして——。 「夢生でいこう」と玲央が笑った。「今の俺たちには、夢生の頭と冷静さが必要だ」 夢生は一瞬、躊躇したが、やがて深く頷いた。 「……分かりました。僕でよければ、全力でやります」 こうして、黄金台高校サッカー部は、7人での船出を迎えた。 初めての試合。未知の相手。だが、そこにあるのは、ただまっすぐな情熱だけだった——。

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