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立ち込める暗雲

説明回です。

 シレジエンの会戦から半年が経過していた。イーストファリアとの東部国境は徐々に侵攻が進んでおり、シレジエン周辺までを実効支配するに至っていた。調略によって、完全に降った領主も多く、事実上は3つの勢力が国内を分割している状態になっている。そして一番弱小の勢力は第二王子ステファンの勢力だった。建前上の勢力の半ば近くが事実上隣国の支配下にあるのだ。

 シャイロック指揮のもとがっつりと資本投下を行った。開墾、街道整備、村落の防備、盗賊の討伐、商人の派遣などなど、シレジエン周辺の地域は活況に沸いた。流れこんだ人口が定住し、増えた人口が消費を呼び経済が回る。税率も下げた。そして現地で兵を雇い、軍を編成する。流民だった青年が試用訓練で結果を出し、従騎士に取り立てられたことで目の色を変えて働き出した。

 平行して、自首してきた盗賊には事情を確認の上と但し書きがつくがそれなりに寛大な処置とした。頭目クラスで殺人など重罪に問われるものすら死罪にはせず、フリーデンの鉱山に送るなどの処置としている。比較的罪状の軽いものは森を切り開く、開墾などの重労働の労役につかせた。亞人や魔物の最前線に立つので命の危険もある場所である。だが、一定の成果を上げたものは罪を許され自由民となれた。

 信賞必罰が厳格に課され、公平な統治が敷かれることが噂となり、アースガードからも困窮した人間がシレジエン付近を目指して移動を始めた。もともと移民などの規定はゆるく、国に属さない自由戦士といった人々もいたのである。人口が増えれば国力は上がる。ただし養いうる食料があればだが。東方の書物でいい言葉があった。衣食足りて礼節を知る。本来はもっと長いらしいが、統治というものを端的に表した言葉ではないか。


 諜報網に引っかかった情報がいつもどおり報告書になって送られてきた。というか、最近の書類のかなりの部分がこの諜報絡みの報告書になってきている。内政や軍事部門の書類は内務卿や軍務卿に回す(丸投げ)する体制を作った。

 アースガードが動員を強化しているらしい。そして、一応王都アンスバッハを支配している第三王子の支援に回り、正統の王と名乗らせるつもりのようだ。だが俺もそうそう思い通りにさせるつもりはない。この事態をひっくり返すジョーカーは既に手の中だ。

 

 シレジエン城代のウォルト卿経由で第二王子に指示を出した。全ての手勢を率いてシレジエンに籠城せよと。そして東部国境付近に兵を集めるように指示を出す。

 フェルナン卿を中心に5000の兵を集めた。シレジエンには現地雇用の兵と、第二王子の軍合わせて8000が入っている。第三王子は5000とアースガードの兵5000合わせて1万の兵で進軍してきた。王子にくっついている兵が少ないのは、日和見が多いからである。今回の戦いもちょっと規模の大きい小競り合い程度としか認識されていないのであろうか。

 郊外で陣を敷き睨み合う。前回痛い目にあったこともあり、また、いきなり撤退するとは思っていなかったこともあるのか、積極的に攻撃を仕掛けてくることはなかった。


 急報が入った。アースガードの軍1万あまりがファフニルの国境付近に展開していると。ファフニル総督(仮)のトゥールーズ候カイルが麾下の軍を率いて迎撃に向かった。ロンディニウムの軍と合わせても5000ほどで、おいおい動員された諸侯軍が到着することにはなっているが、緒戦の劣勢は避けられない情勢だった。砦に本陣を置くも開けた地形のため敵の行軍を止めるには籠城はできない。ただ、砦を抑えるには敵軍も半数を割く必要があり、その兵力ではロンディニウム攻略は難しい。互いの利害が一致した結果国境線付近での会戦となった。


 ウェストファリア王国はニ正面作戦を強いられるかたちとなり、諸国の状況は混迷を増してゆくのである。

なんかこの王様の軍って相手より多い兵力を整えたこと無い気がする。まあ、軍は金食い虫で、国民にかける負担とかいろいろと計算はしてるらしい。前に先王と言い合いしてたし。

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