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空気がよめない奴はどこにでもいるものだ

展開地味です

「というわけで、首都を移転しようと思う」

「なにがというわけなのでしょうか?」

俺が言い出したことに即座にツッコミを入れる財務卿シャイロック。

「ぶっちゃけだが、統治の効率が良くない。んで、西にしか目を向ける必要がなくなったこともある」

「仮にですが、候補地はお決まりですか?」

「軍務卿、腹案もナニもないとは思うが、貴公の意見は?」

「左様ですな、アルマダなどはいかがでしょうか?」

「ふむ、悪くない」

「街道も整備されていますし、軍の移動などに関しては良いかと」

「なるほど。シャイロック卿、おぬしはどうだ?」

「ふむ、物流に関しても良き選択肢かと」

「そうか、実はだな。俺はフリードがいいと思うのだが」

「「むむ・・・」」

二人揃って黙りこむ。軍事と内政の事実上のトップの二人だ。俺の意見を吟味してくれている。

「突拍子もなく聞こえましたが・・・良き考えにございます」

「国防上のことを考えると、国境に近すぎる難点はありますが・・ただ隣国の変事に即応すると考えれば・・うむ。非常に良き考えですな」

「うむ、街道の整備と物資の集積は現状通り行うとして、軍の移動と即応性は維持できる」

「そもそもフリードは私が設計しましたからな。ベルティエ卿には軍事拠点としての見直しをいただければと思いますぞ」

「お前ら勝手に盛り上がるな」

「「はっ、申し訳ございませぬ」」


なんかこれでいいのかというくらい軽い会議を終えて3ヶ月後、遷都事業が始まった。

元王都は、先王を大公にして押し付けることにした。周辺の治安維持として2000の兵を残し軍を率いて発つ。

もともと王国北東部のハブとして街道を設計していた。衛星都市トゥールと東部国境を抑えるエヴルー城があり、平地のど真ん中に建つ都市であるが、そもそもそこにたどり着くまでにある防衛拠点がかなりの数あり、広い規模での要塞化がなされている。

まあ、実際問題、イーストファリアは内戦寸前で、現王が崩御すれば即内戦開始といった情勢らしい。

まあ、そういった事情もあり今動いたわけである。


 ファフニル王国はゆるやかにウェストファリア王国に統合されつつある。経済、軍事面の統合が進み、また、女王の婚姻の相手が隣国の王で、国難を救われた相手である。いろいろと感情的な対立はあるがそもそも生活が格段に良くなっているのである。貴族の重税は禁じられ、街道整備で物流が盛んになり商業反故の政策が取られた。治安も向上し裁判も公正になった。女王が子を産めば、恐らくロンディニウム大公といった形で封じられ、王家は統合されてゆく未来が既定路線になりつつあったのである。

そして、伝統ある王国を滅ぼさせないと立ち上がった時流の見えない貴族たちもいたのである。


「なんですって!反乱?」

「はっ、ハノーヴァーの港町周辺です。首謀者はハノーヴァー公です」

「モートンに鎮圧を命じるのです。私も向かうべきなのですが・・・」

「いえ、お腹のお子様に障ります。ぜひご自愛を」

「仕方ありませんね。エレス王にも報告を」

「はっ!」

ファフニルからの使者は即座に退出し、王の執務室へ向かったようだ。


「なるほど。実際に子が生まれてしまえば既成事実ができてしまうからな。焦ったものが出たか」

「援軍を出しましょうか?」

ベルティエの問いかけに俺は首を横に振る。

「建前上になりつつあるが、友好国って扱いだ。現地の派遣武官に対応させよう。在留兵力と合わせモートン卿の補佐をさせるのだ」

「かしこまりました。使者を向かわせます」

「うん、ランヌ少将とベシェール准将だったな。ランヌはマルクの直弟子だ。そうそう負けはしない」

「ベシェール卿は猪突の気がありますからな、そこだけが心配です」

「まあ、なんとかするだろうさ。しかしこういう時はもどかしいものだな」

「左様ですな、現地で指揮をとるほうが楽ですよ」

「違いない」

ベルティエが退出し、俺は書類の処理に戻った。毎日毎日頑張っているんだが、増える一方のこの仕事量は何なんだろう・・・?


「陛下から下命があった。これより、駐在部隊をもってモートン候の指揮下に入る」

「承知しました。先陣は私におまかせを!」

「まておい、今回我軍はあくまでモートン卿の補佐だ。そこを履き違えたら行かんぞ」

「わかりました。ただ、出番なんとか回してくださいね」

「お前全然わかってねーだろ・・・」


 反乱軍の規模は2000ほどらしい。モートン卿の手勢と合わせてこちらは4000、まず負けはない。だが、海上に逃げられると厄介なので、水軍を動かし港の封鎖を同時に行うことになった。

水軍は順調に湾内を制圧し、城壁に立てこもる敵勢を包囲する。このまま順調に鎮圧できるものと思われたが、モートン卿の本陣が奇襲された。町の外に一部兵を出撃させており、払暁攻撃を受けた。本陣のみの狙い撃ちの意図は敵ながら見事で、ランヌの重装歩兵による防御陣による公正の遅延あがり、ベシェールの騎兵突撃で敵の側面を付くのがもう少し遅ければ、モートン卿が撃たれていた可能性があった程だ。

短いが激烈な戦闘のあと、日が中天に登る頃には決着はついた。ハノーヴァー公の戦死によって。

これ以降、ファフニル王国で反乱が起きることはなく、ウェストファリア王国の跡を継いだ国でファフニル地方と呼ばれることとなるのだった。

内政パートと微妙な登場の新キャラ。モートン卿は軍事的手腕は・・・・って感じになっちゃった。


イーストファリアの王が崩御し、第二王子と第三王子の間に内戦が勃発した。

王国を東西に割って始まった内戦は激しさをいやましてゆく。ウェストファリア王国は東に陣取っている第二王子の援軍要請を受諾し、アルフェンス辺境伯を主将に据え軍を派遣する。

それに焦った第三王子派はアースガードの軍を引き込む。イーストファリア王国の国土は内戦だけでなく、代理戦争の場になりつつあった。


次回 内戦の行方

上記煽りはフィクションいなったり、別の話が差し込まれる可能性があります

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