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時の果てへ

ラストスパート中

 ひとまず、何回か数えきれないほどの試行錯誤の末、マグデブルグを普通に落としたことにして再構成に成功した。別途王都には防衛手段を配置し、何度かあった奇襲を受けることがないよう備えている。ニーズヘッグは普通に俺の配下になった。竜騎士ゲオルグとして、ニーズヘッグであったことは一部の者しか知らないことになっている。

 アースガードにはカイルを押さえに残す。レックスにはあらかじめ使者を出し、教皇領に進行させ、俺が取って返した時点で包囲に持ち込む。アルブレヒトは元のままだ。大本の原因はとりあえずだまくらかして昇天させたが、そもそも今回の成り行きはこいつが裏で糸を引いていた。その点を除外するとそもそもドミノが倒れない。ふと気づいたのが、マグデブルグ陥落以後の可能性を並べると、俺が死ぬことはなく、世界そのものが崩壊する。そして元に戻っている状況を何度も見てきた。もううんざりってくらいだ。結局のところ、すでにシステム自体に再構成ループさせるだけの力が残っていないのだろう。時計の針を進めるにはどちらにしろシステムを終了させるしか無い。というか、これは予感だが、次の施行はできない気がする。構築時に空いた大穴と、今回のドタバタでシステムに還流しなかったリソース、そろそろ維持自体が限界にきているように思える。んで、崩壊させると最初に見た星そのものの崩壊につながる。全部がぱあだ。

 教皇領の包囲は順調に進んだ。レックスがうまく敵兵をおびき出し、城外で撃破していたことが大きい。時間が経てば経つほど包囲する軍が増えるのだから、イチかバチかになるのはまあ理解できる。だが、現実はそう甘くないというわけだ。


 東の城門に向かい単騎呼びかける。アルブレヒトが現れ、俺を見てすべてを悟ったようだ。何しろ、俺が近づいた途端にシステムの支配権をいきなりはく奪されたのだから。


「エレス陛下、降伏いたします」

「おう、受け入れよう。で、システムについてどの程度理解している?」

「私が支配できたのは教皇を通じて大本の魔法陣の維持管理と魔力リソースの流れの操作です」

「要するにどこをどういじれば止まるかは?」

「正解にたどり着ける自信はありませぬ」

「やれやれ、一発勝負だというのにな」

「それはどういう?」

「この世界が循環していることは理解しているな? その仕組み自体が崩壊しつつあるのだ」

「なんですと?!」

「しかも原因はお前だよ!」

「・・・はい??」

「お前自身の本体は望みをかなえてやった。結界の隙間からお前の存在の大本を放出したのだ。んで、今のお前はシステムにコピーされた影に過ぎない」

「えーと・・・要するに、私は帰ることができたのですね?」

「そうだ。だから俺を助けろ、このくそったれなシステムを止めて時計の針を動かすんだ」

「かしこまりました。それと、陛下に感謝を」

「必要に応じてやったことだ、気にするな」

「それでもです。ありがとうございます」

「うむ。ではシステムを止めに行くぞ」

 

 傍から見るといきなり和解したようにしか見えないだろうな。まあ、いろいろあるのだよ。シリウス、シルフィード、リリ、ルドルフを従え、教皇庁に踏み入る。建物の中央にクリスタルの女神像と、巨大な魔法回路が見えてくる。管理者権限を使用し、システムにアクセスする。ルドルフとアルブレヒトも同じくアクセスを行い解析を行ってゆく。残るシリウスたちは俺に魔法的に接続し俺の操作できるリソースを拡大する。構成を探り操作できる権限を増やす。別途捜査している二人からの情報も受け取り、徐々に操作可能な領域が増えてゆく。そして今まで完全に触れることすらできなかった領域に踏み込む。

 システムを停止させる手順を探る。一つ間違えば暴走して全てが終わる。基本表情を変えないルドルフが人間のように苦悶の表情を浮かべているのがちょいとおかしかった。領域の中心にあった緊急停止キー、操作後にどうなるか、回路を確認し、おおもとの魔力の供給を停止する操作であることを確認した。そして、全員と目を見合わせ、キーを押し込む。

 流れる魔力で光り輝いていた部屋は徐々に光を失っていった。ぼんやりと明かりを放っていた女神像も徐々に光を失い、暗く闇に沈んでゆく。これでうまくいったかと、一息つこうとしたとき、停止した魔力炉からエネルギーが逆流し、女神像に流れ込む。そして唐突に現れる1:00の文字がカウントダウンを始める。頭上が暗くなったと思ったら女神像の手が振り下ろされていた。慌ててかわす。どうやら時間内にこいつを倒さないといけないらしい。

残された時間はわずか。女神像の戦闘力は未知数。どうなるのか(棒

次回 解放の時

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