旅立ち
最終回です。応援、そしてブックマークありがとうございました。心より感謝いたします。
日曜日、午前中早百合と会って最後のお別れをした。もう、きっと会うことは無いだろう。
「…本当に今までありがとう。」
「もう、泣くな。バカ。」
2人は抱き合って別れを惜しんだ。
「本当に良かったのか?俺とついてきても、」
ここを離れるまであと数十分の時、アルクが尋ねてきた。
「いーの、会社辞めちゃったし。」
もう、後戻りはできないんだ。不安な気持ちもあるが、どこかなんとかなるような感じがしていた。後悔はしない。
「アルクが私を守ってくれるんでしょ?なら、私は大丈夫。」
アルクは私を抱きしめた。
「ありがとう。この命に変えでも守るから」
「もー、死んだら意味ないじゃない。」
私は抱きしめられながらアルクの背中を軽く叩いた。こういうこと関してはアルクを本当に騎士だ。忠誠心というものが人一倍あるような気がするのだ。
「……あ、来る。」
アルクが呟くと床から不思議な円が光って現れた。
抱きしめていた腕を離すと背中を少し押した。
「この上に乗るんだよ。」
「………土足で?」
「うん、失敗したらどこについてしまうかわからないからね。」
土足、というのは日本人にとって凄く抵抗があった。なんといってもここは私の家の中。でもまぁ、覚悟をきめて踏み込もうじゃないか。
「うん……行こう。」
一つ息を吐くと手に力をいれた。手に力を入れないと震えそうで。背中には汗が流れるのが感じがした。もう、口がカラカラだ。
アルクと私は円の内側に足を踏み入れた。するとそれを待っていたかのように激しく光りだす。
「………あ、アルク…」
「うん、大丈夫。」
不安になった私を落ち着かせるように腰を引き寄せ、手を絡ませた。触れたところからアルクの暖かさが伝わってくる。私は手に力を入れ、アルクと絶対に離れないようにした。いや、絶対に離れない。
ぱぁ…と光が広がったら目も開けていられず思わず閉じた。それと同時に手もまたさらに力を入れた。そしてそれに応えるかのようにアルクの手にすこし力が入った。
後で、力んじゃってごめんなさいをしよう。
目をつぶりやながらおもう。
さぁ、行こう。
真っ白すぎる未来は怖い。けれど、私が白からいろんな色を付け足せばいい。
私の意識が途切れた。
新たな出会いを願って────…。




