お嬢様の陰謀
お嬢様は自分の身を守るために手を汚す
仕方のないということはあります。
虐待描写、不愉快な内容あります
「ルーカス、ちょっといい?」
「はい」
「鳥さん(諜報部)に調査を頼んだの」
「少し移動しましょうか」
周囲の開けた東屋に行く。
話を聞かれないように。
「マイカは離れていてね」
侍女のマイカは離れたところで
控えている。あの子は口唇が読めるので、
見えない角度で座る。
「そろそろ、どうにかしたいの」
ルーカスがぴりっとした
「本当に、ですか」
「お父様から鞭打たれるのは痛いけれど
いつもだから。
でもね、ドレスが破れたところをじっと
見るようになった気がするの」
「以前はすぐに、お部屋に戻られていましたね」
「最近いろんな方から、母によく似ていると言われるの」
「お嬢様はお母様に生き写しだとお聞きしています」
「一昨日、酔ったお父様が、マリーって
言って抱きついてきたの。すぐに、気がついて平手打ちされたのだけれど」
ルーカスが目を剥いて
「限界ですね」と言った
あのクズ早く始末しないと、と聞こえた。
はじめは気のせいだと思っていた。
お父様は、わたくしをお母様の代わりにするのかもしれない、と鳥肌がたった
暴力と暴力の間に、今までにはなかった熱と視線が混じるようになった。
母は、不貞をしていた。
元婚約者なのかお父様なのか。
母そっくりのわたくしは、父親がはっきりしない。
父から暴力を受けるとき、「罪の子」だと
良く言われた。父は不貞でできた子どもだと
思っている。
愛していたのに裏切られた妻。
妻にそっくりな血の繋がらない?娘。
出産で妻が亡くなり、年頃になった娘。
思っていた以上にまずい状況だ。
普通の親は考えないが、ずっと虐待するような男。
自分の常識と同じと思ってはいけない。
「薬と麻薬、毒について調べてもらったの」
「その辺りがいいでしょうね」
有力な伯爵家の当主。
事故は王家、官憲のかなりの調査が入る。
刺殺、火事も同様だ。
得をするのは誰か。
不貞でできたと噂の消えない娘が女伯爵になる。
調査が入れば、虐待されていたことも分かるだろう。却下。
「では、まず薬から検討しましょうか
諜報部、このリストすごいですね。」
「処方薬のリストと処方しそうな医師。
これはその医師に弱みを握られる」
そんな悪徳医師、金銭を握らせたとして、
おかわり要求があるだけ。
「薬局の薬」
「強い薬が少ない。しばらく飲めば
内臓障害になるのだけれど数年かかる」
わたくしは今身の危険を感じているの。
「毒」
「入手ルートがなくもないのだけれど。
父親が毒で急死、未成年の女伯爵が誕生、
目立つわ。毒とバレなくても不自然ね」
毒は、植物も化合物も魚毒もあるけれど。
これも調査が入るかもしれない。
「麻薬」
「やはりこれかしら。使ってる貴族も
いるらしいし」
「なかなか亡くなりませんよ」
「動けなくなればいいの。わたくしは
自分の安全が優先なの」
「動けなくなるタイプの麻薬はいくつか
ありますね。気づかれないように与えられて、中毒になるまでが早いもの。」
「気持ちよくなるのがいいわ」
「お嬢様、少しはしたないです」
なぜかルーカスが顔を赤らめた。
「?人間は快楽に弱いのよ」
ルーカスは咳払いをして
「でしたら隣国から少しずつ入ってきてる
これはどうでしょう?」
「そうね。食品に混ぜても分からず、こっちのは熱にも強い。どうやってお父様に?」
「お酒はどうでしょうか。酔ってきて味に
鈍くなってから混ぜ物を出してもらいますか?」
「お父様、おひとりで飲むの?」
「いえ、娼婦をお呼びになった時に」
あまり聞きたくない話ね。
「諜報部に頼んで頂きたいことがあります」
ルーカスが考えながら言った。
「まあ」
わたくしは目の前の女性を見て驚いた。
「はじめまして。アーデンと申します
『白百合とクロッカス』から派遣されました」
わたくしによく似ている。
プラチナブロンドにしてグラマラスにしたら
こんな感じになるだろう。
アーデンへの妙な親近感と父に対しての複雑な気持ちでお腹のあたりがモヤモヤした。
「アーデンさん、髪の毛を染めていただいてありがとうございました。」
ルーカスはお店に行ったの?
もしかして。でも聞けない。
「ライトブラウンの髪より、プラチナブロンドの方が指名が増えました。
染め粉は高いのでこちらこそありがとう。」
流石に銀髪には出来ないらしい。
娼婦とはいえきちんとした女性だ。
諜報部にわたくしに似た娼婦がいないか
依頼をかけた。
もちろん、人柄や素行が悪くないかも。
似ているが髪の毛の色が違う娼婦がいる、と
返答があった。
「それで、お願いがあるのですが2本目のお酒をこちらに。」
「何か理由がおありですね?」
「口は堅いですか?」
「仕事柄」
ルーカスはアーデンの手の上に金貨の入った袋を載せた。
アーデンは微笑んで
「それでは行ってきます」
同じ娼婦は2度と呼ばなかった父が、アーデンを何度も呼ぶようになった。
アーデンを数回呼んだあたりで、わたくしは
地下室に呼びつけられることがなくなった。
こんなことで終わったのか、とも思った。
半年後に王家へ父の廃嫡とわたくしの
女伯爵継承の届けを出した。
伯爵家は様々な調査をされた後、わたくしは
女伯爵になった。
「アーデンさん。本当に大丈夫ですか?」
馬車の側で、元娼婦のアーデンに聞いた。
馬車の中から「マリー」と叫ぶ声がする。
座席にロープで固定された父だろう。
彼女は、今から海辺の別荘に向かうのだ。
廃人になった父と一緒に。
「ええ。介護人もいるし大丈夫よ。
お手当てもいっぱい。ありがとう。」
アーデンはこんな状況なのに晴れやかな
笑顔だった。
「お店をやめられるの。いいことよ。
娼婦になって私の人生終わりだと思ってたの。それが、可愛い従姉妹の役に立つの。
嬉しいわ。じゃあね」
アーデンは馬車に乗り込んだ。
「従姉妹?アーデンさん!?」
馬車は走り去り、私の声はかき消された。
ルーカスちょっと不埒なことを考えました
お年頃なんで許してあげてください。
次の話でアーデン側の話です。
大したことのない初R15予定です。