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長司くんと水毛生ちゃん

作者: すみのもふ

 私には好きな人がいます。その人は同じクラスの長司ながつかさくんといいます。


 彼は長身で無口な男の子です。クラスで一緒に過ごす日々の中で彼の良さを知って好きになりました。



 例えば、話を黙って聞いてくれること。元々無口だからというのもあるけど、どんな話も嫌な顔せずに聞いてくれます。


 あと、よくないと思ったことにはちゃんと諭してくれます。怒鳴るようなことはしません。


 最後に、助けが必要な時はすかさず助けてくれます。さりげない優しさが伝わってきます。


 それらの理由から、長司くんを好きになりました。好きになるのに時間はかかりませんでした。



 それからというもの、私は彼に話しかけたり、お弁当を作ったり、二人の時間を過ごすことを心がけました。


「長司くん、今日もいい天気ですね」

「ああ」

「お弁当作ってきたんです。一緒に食べませんか?」

「ああ」

「たまご焼きちょっと焦がしちゃったんです。ごめんなさい」

「ああ」


 同じ「ああ」でも違う感情が伝わってくるのです。今日も長司くんと話せて、一緒に時を刻めて幸せです。



 屋上でお弁当を食べ終えた後、教室を戻ろうとしていると段差につまづいてしまいました。咄嗟に長司くんが支えてくれて怪我はありませんでした。


「大丈夫か?」

「はい、ありがとうございます」


 申し訳ない気持ちとまた一つ救われたな、と嬉しい気持ちで心がせめぎ合いました。長司くんのお手をわずらわせないようにしっかりとしなきゃと思いました。


 そんな決意の後に、体格の大きい男子たちに阻まれてしまって長司くんに手を貸してもらったり、図書室で本が取れなくて椅子を探していると長司くんが察して取ってくれたりで結局長司くん頼りに。


「本当にごめんなさい」

「気にするな」


 優しすぎる彼に胸がパンクしそうです。今にも召されてしまいそうです。



 そんな彼の隣で歩いていて思う。


「私のこと、好きですか?」


 って。


「ああ」

「…………ぅえ?」

「好きだよ、水毛生みもうのこと」


 私ってば、声に出しちゃったーー!?


 あわあわしていると手を握られる。長司くんの手は大きくてがしっとしてて温かい。胸の奥がぎゅっと締め付けられる。


「ほら」


 そして、その手は長司くんの胸に置かれた。制服越しでもトクトクと心拍数を感じる。


「いつもこんな」


 そう言って、笑った長司くん。胸がきゅんとうづいた。


「これからもよろしくお願いします」

「こちらこそ」






おわり

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