第9曲目 休日の過ごし方
帰り道、オレと七星は日曜日に何をして過ごすかを考えていた。
空はうっすらオレンジ色になっていた。
「家でだらだらするのも良いし、外に遊びに行くのも良いし、何しようかな」
休日はいつも暇(?)そうにしている七星が言った。
「あ、明日は爽太郎と茂と京太郎の3人と遊園地行く予定なんだけど・・・」
明日はコントラバスの爽太郎とフルートの茂と京太郎の3人と行くことになっている。
「いつの間にそんな約束してたの!?てか、3年男子は行かないの?」
「成山中吹奏楽部の男子全員で行こうと思って聞いたんだけど、先輩たちみんな予定あるらしくて」
「なるほど。それで1年だけになったってわけか。なのに僕は誘われないってどういうことだよ!?」
「ごめん、いつも暇ーとか言いながら楽器弾いてるもんで別に暇じゃないから良いかって思って」
「良くねーよ!僕も行く‼︎」
「そう言うと思った。じゃあ3人に連絡しとくね」
「あ、そうだ。今日哀晴が友達と遊ぶので帰り遅くなるかもって言ってたから夕飯ラーメン屋でも行く?近いし」
七星が言うラーメン屋とは、近くのショッピングモール「鹿野ショッピング」の中にあるいつもの店だ。
「このジャージでは行けねえよ。早く帰って着替えてからな」
「はいはい、分かってますよ」
###
「まな、ラーメン奢って」
鹿野ショッピングに入ったとき、七星が言った。
「はあ?自分で買えよ、小遣い持ってきただろ?」
「えー、だって600円だから良いじゃん。ドラムのスティック折ったときだって毎回僕が買ってあげてるでしょ?」
「そ、それはまあ・・・。でもこの前チョコ買ってあげただろ」
「まなってさ、昔から楽器の扱いが下手くそでスティックすぐ折っちゃうもんね」
「まあ・・・・。それより、ラーメン屋って何階だっけ?」
エレベーターの前に着いた。
「話そらすなよっ!4階だけど」
エレベーターに乗り、4階のボタンを押した。
「奢ってね、約束っ!」
「分かったよ、仕方ない。1200円分奢ってやるっ」
「やったー‼︎」
七星が喜んだ。
「僕、醤油ラーメンにしようかな。それから餃子とチャーハンと・・・・」
「お前そんなに食えるのかよ?」
「た、食べれるよ食べれる!」
「お、4階に着いたぞ」
「ラーメン、ラーメン♪」
エレベーターのドアが開き、オレたちは4階に着いた。
「あそこ!」
七星が店の方を指した。
「よっしゃ、結構空いてんじゃん」
オレたちは店の中に入り、店員に案内されて席に着いた。
「僕まなの隣!」
「お前はイスに座れ」
「こ、断られた・・・」
オレはソファに座り、七星は机を挟んで向かいにあるイスに座った。
「まなは何にするの?」
七星がメニュー表を見ながら言った。
「オレにも見せろ」
「はーい」
「オレも醤油ラーメンにしようかな」
「あ、まなも醤油?僕、チャーハンと餃子とセットにする!」
「お前、1200円を超えてるぞ?」
「あ、それでも奢ってくれる?」
「数百円しか違わないし別に良いけど、この前も奢ってやったじゃん」
七星がチャイムのボタンを押した。
「「いただきまーす」」
七星がラーメンを食べ始めた。
「ほんっとにそれ全部1人で食うんだよな?」
「うん。餃子ならまなも食べて良いよ!」
「じゃあもらうわ」
そのとき、哀晴からLINEがきた。
ポケットからスマホを取り出して見た。
「哀晴帰ってきたって。今ラーメン屋って連絡しとくね。あと、まだ夕飯食べてないみたいだからここ来るかも」
「おっけー」
数十分後、哀晴が来た。
「ごめんね、あんたたち。夕ご飯作り忘れちゃった」
「ラーメン、まなに奢ってもらうって約束した!」
「また奢ってもらうの?次は自分で払いなさいよ」
「はあい」
哀晴が七星の隣のイスに座った。
「真斗、明日みんなと遊園地行くんでしょ?」
「その件だけど、七星も行くことになった」
「あ、そうなの?じゃあ私もまた友達と遊んじゃおうかな」
「哀晴、お小遣いちょうだい!」
「お小遣い?毎月あげてるでしょ」
「明日の遊園地で使いたいんだけど」
「だーめ」
「はーい」
「じゃあ、明日は遊園地で何をしようか?」と七星が言った。
ラーメンを食べ終え、すっかり満足した顔をしている。
「僕は絶叫系のアトラクションが良いかな」
七星が言った。
「お前、怖がりじゃなかったっけ?」とオレは尋ねた。
「それは……、ちょっとだけ。でも、楽しそうだから」と七星が目を輝かせる。
「それに、明日はお土産も買いたいよな。何か面白いものがあるかもしれないし」
「良いんじゃないかしら。私も友達とその遊園地行っちゃおうかな!誘って見よ!」
哀晴が言うと、ポケットからスマホを出して友達を誘おうとしていた。
「お前も来るのか・・・!」
「僕は……、食べ物とか。遊園地の食べ物って特別感があって美味しいよね」と七星が言った。
その後、ラーメン屋から出て、鹿野ショッピングの出口へ向かう途中、七星がふと思い出したように言った。
「明日の天気、どうかな?」
「晴れるといいな。雨だと遊園地も楽しめないし」とオレが返すと、哀晴も「天気予報、チェックしないとね」と言った。