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アルテナ達はお宝を袋に入れ、何事も無かったかの様にダンジョンから脱出した
「じゃあ西の果てに行きましょうか」
アルテナがぴょこんと飛び跳ね皆に言った、3人は頷きそれぞれの武器をしまった
「ここからだと長旅になります、護衛させて貰いますね」
「報酬も手に入りましたしね」
ホクホク顔のキッカとヤチョウに細く笑み、次のキャンプ地まで歩き出した
「バイクがあったら良いのですが歩きですみません」
「いえいえ、私達も飛べる魔法を覚えてないので人の事言えません」
互いに謙遜しつつ話に花を咲かせた
「ジャンヌさん達はどういうお知り合いなんですか?」
その話題にアルテナは飛び跳ねた
「あのですね!私の村が襲われて全滅しかけたところをお師匠が助けてくれたんです!」
「あの頃は流浪の騎士だったんだ」
「そうなんですか、素敵な出会いですね」
「私は師匠に向いていないと言ったが聞かなくてね」
「お師匠しか私の師匠は居ません!」
アルテナのその言葉にジャンヌはアルテナの頭を撫でた、その顔は何故か複雑そうな顔をしている
「お二人はどこへ向かわれていたんですか?」
「あてのない旅です」
「あたしは師匠みたいに強くなれたらそれで良いのです!」
アルテナは高らかに胸を叩きまた飛び跳ねた
「これからもよろしくお願いしますね」
アルテナの言葉にジャンヌは苦悩の顔をし頭を撫でた
何日か歩いていると村に出た、小さな村で栄えてはいなさそうだった
「食料には困らなそうですね」
そう言って村に入ろうとすると村人が遮ってきた
「何ですか?」
「これ以上旅人を入れてたまるか!」
村人は憤慨している、アルテナ達は不思議に思った
「あの・・・」
「まったまったー!」
そこに誰かの大声が聞こえ天を見た、その声は上から聞こえた気がしたのだ。そこに雲に乗った少年が舞い降りてきた
「この村は俺っちが守ってるのさ!ここを通りたきゃ俺っちにご挨拶しな!」
「やっぱり居たか悪ガキめ!早くどっかいけ!」
村人は少年に小石を投げた
「いてて、俺っちはサイキョーなんだぞ」
「あの」
「いたいた悟空!」
そこにまた人が走ってきた、ひょろながの青年と小太りな中年だ。三人は人間に似ているがどこか獣人に似ている
「まだこの村に拘ってるのか、いい加減離れようぜ、村人も怒ってるし」
小太りが息を切らせながら文句を言った
「何言ってんだ!俺っちがこの村を守らないとモンスターに襲われるだろ!」
「いい加減にしろ!村を襲っているのはお前らだ!村の食糧食い漁りやがって!」
村人がクワで悟空と呼ばれた少年をつついた
「俺っちに感謝しろー!」
その言葉に村人からの投石が激化した
「ここは一旦離れましょう」
ジャンヌの言葉にキッカ達は頷き小走りした
「あ!待て!俺っちと勝負しろ!」
村を離れることに成功し、アルテナ達は安堵したが束の間またあの少年が走ってきた
「俺っちと勝負しろ!」
「勝負なんてしてどうするんですか?」
ジャンヌは少し蔑んだような表情をした
「俺っちが強いってショーメーする」
「くだらないですね」
ジャンヌは踵を返し歩き出した
「なんだテメー!くらえ如意棒!」
少年が持っていた棒を伸ばし、ジャンヌのスカートを捲った
「あ、ごめ・・・」
少年の謝罪を聞く前にアルテナがストレートパンチを食らわせ、高く飛び上がった少年を走って来た例の青年が受け止めた
「お騒がせしてすみません」
青年が謝った、事情を聞くと、沙悟浄と呼ばれる青年と猪八戒と呼ばれる中年がストリートチルドレンだった悟空と一緒に旅をしているとの事だった
「一か所にとどまる事が無かったので親切にしてくれたあの村に情が沸いたんだと思います」
猪八戒が頭を下げた、この話にアルテナ達は唸った。少年はまだ幼く己に過信している様に見える
「一緒に西の果てに向かいますか?西の果てには僧侶が集まるらしいので説法をしてくれる方が必要かもしれません」
ヤチョウの提案にジャンヌも頷いた
「それもいいね、これも一種の修行だ」
「修行なんてやーだーね」
悟空は舌を出した、その舌をアルテナが素早く掴んだ
「あでででで」
「師匠のいう事は絶対です、口答えしないでください」
アルテナは先ほどのことを許していない様で憤怒している、その手を悟空は振りほどき、如意棒をアルテナに突き出した
「じゃあ俺っちと勝負だ!俺っちが負けたらその提案に乗ってやらぁ!」
アルテナは暫し考えると如意棒を蹴り上げた、その反動に悟空は地面を滑り、上から地面に突き刺さる程のアルテナの蹴りを避けた
「ちょ!何者?」
その威力に悟空はたじろいだが、アルテナの拳を如意棒で受け止め叩き落とし、流れる様に反対の拳が悟空の頬を撃ち抜いた
「痛え!」
悟空は倒れる間近で体を反転させジャンプし、如意棒をアルテナの顔面に打ち付けた
「女の子だからって容赦しねー!」