3-1
ジャンヌは1人教会でウロウロと落ち着きなく歩いていた、そこに天使が天窓を開け入ってきたかと思えばジャンヌに封書を渡した、内容を読みジャンヌの眉間に谷底の様なシワが出来たかと思うとその場にしゃがみ込んでその手紙を顔に押し付け泣き出した
アルテナは飛び回る子天使達に手を焼いていた
「兄弟の髪を引っ張っちゃダメ!あー!鏡は割っちゃダメ!」
髪を引っ張り合う幼い天使を引き離そうとしているが、走ってきた新たな小さい天使が持っている棒付きキャンディを口にねじ込まれてしまった、そこに扉が開いた、ルクトが入ってきたのだ
「もうすぐタルタロスが飛び立つよ、外を見てみるといい」
そう言われ、アルテナは天使達を背負いながら窓に近寄った。外は凄まじい轟音と共に徐々に地面が遠くなっていた、そこに城壁の上にジャンヌが立っているのが見えた、何かを叫んでいる
「お師匠!!」
アルテナは天使達を落とす勢いで走り出したが、扉のところでルクトが引き止めた、それを振り払い更に走り出す。展望台に出るとアルテナは叫んだ、ジャンヌに届いているか分からないが構わず身を乗り出す、そこにアレースが手を添えてきた
「ここから飛び降りるのは構わないが、死んでも知らんぞ」
「アレース様、私」
アルテナはその場で泣き出した
「これで良かったのでしょうか」
「そんな事誰も分からないよ」
アレースはそう言うと城壁の上に居るジャンヌを見た、ジャンヌは城兵に取り押さえられながらこちらを睨んでいる、ジャンヌの姿は徐々に小さくなり、目視では見えなくなった
「まずは北の国のローレンシアスに行こうと思う、暖かい服を用意してくれ」
ルクトがお茶を飲みながら言った、アルテナはジュースを飲んでいた
「暖かい服なら持っています」
「準備が良いんだね」
「旅をしているといつ急に出発するか分からないので圧縮ポケットに入れてます」
「なるほど、僕らが旅をしていた頃とは大違いだね」
「ルクト様も旅をしていたのですか?」
「何千年も昔だよ」
ルクトはテーブルに飾られている花を掴み、花に向かってボソボソと呟いた、それは唄のように聞こえる。花は突然震えだし、蔓が伸びたかと思えばその蔓から花が咲き花は大きな蕾を産み蕾の中から小さな龍が生まれた、まるで花のような鳥のような龍だった
「わ!凄いですね」
「これで金を稼いだ事もあったよ」
ルクトはそう言うと龍を手に持ち窓から空に放った、龍は空高く登り雲の隙間に入っていった
「魔法ですか?」
「神のみぞ知る、だね」
「そんな事もあるんですね」
アルテナは関心し、しばらく空を眺めた
何日か経ち、徐々に寒くなっていき、タルタロスに暖房がつけられストーブを皆で出していた
「このストーブはどこに置きますか?」
「お客さんなのにすみません」
天使に謝られ、アルテナは首をブンブン振った
「無理やり乗ったのは私です、このくらいさせて下さい」
天使は指示を出しアルテナがそこにストーブを置くと天使はアルテナの体毛を触った
「凄くふかふか、冬毛になってますね」
「はい、伸びた訳じゃないけど寒いとふっくらしてくるんですよ」
「素晴らしい」
天使はアルテナを抱きしめ、その体毛に顔を埋めた
「ふふ、くすぐったいです」
アルテナが笑うと、少し黙った
「あの」
アルテナが天使の顔を覗き込み小声で話しかけた
「その羽触ってみてもいいですか?」
「もちろん!」
天使はそう言うと羽をアルテナに差し出した、その羽は柔らかい様で芯のある尖った骨があった
「この羽戦う時には鉄になるよ」
天使の告白にアルテナは仰天した
「どういう構造なんですか?」
「ふふ、私達は生き物じゃないからね」
「え?でもルクト様のお子さんって」
「思念で作られた生きてる玩具だよ」
「え、じゃあ母親は?」
「いるよ、会ったことないけど、ミハエルなら会ったかも知れないけど」
「それでは玩具ではないです、ちゃんと心ある生き物です」
アルテナの言葉に天使は目を丸くし、微笑んだ
タルタロスはローレンシアスに到着し、階段を使い降りていた、ローレンシアスは想像より寒く、氷の国だった
「この国の女王に会って加護を受けよう」
「女王からですか?ローレンシアスの女王ってどんな方ですか?」
「龍だよ」
「龍?人間以外でも女王になれるんですか?」
「元龍って事だよ、長年この国を雪の国にして敵が来ない様に守った功績だよ」
そう言ってアレースにルクトは手錠をかけた
「え!そんなあっさりと」
「はは!いつもの事だよ、皆が決めたルールだからね」
笑うルクトの隣でアレースは肩をすくめた、そして街まで歩きフォークリフトまで到着した、周りのフォークリフトは質素な物だったが、今目の前に鎮座しているフォークリフトは豪勢な作りになっていた
「これは女王までの直通だよ、一般人は乗れないから今回特別ね」
ルクトはそう言うと懐から鍵を出し、フォークリフトの扉を開け乗ると器用に機械を弄りだした




