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2-3

辺りは気が付いたら人集りが出来ていた、観衆の目に晒され、アルテナはいたたまれない気持ちになった。人々から「またトウリか」「元勇者のやることか」と囁かれている

「あの」

アルテナは絞り出す様にアレースに問いかけた

「お師匠は、その、あの時」

「ん?よく聞こえないからハッキリ喋って」

アレースが耳元に手を添え顔を近付けたが、アルテナは首を振った

「何でもありません」

アルテナはそう言い、マッシュの遺体を抱き上げた

「私が埋葬してきます、同胞なので」

「僕が燃やしてあげるよ?骨まで残らず焼けれるから」

ルクトが提案するが、アルテナは首を振った

「大丈夫です」

そう言って遺体を持ち上げ、人混みに向かって歩き出した、群衆はアルテナの歩く先に道を開け、それを見送った


アルテナはあの花が咲いていた場所に行き、その先に花畑が咲いているのを見付けそこにマッシュを埋葬し、宿に戻ろうと街を歩いていたら、前方からジャンヌが歩いて来ていた。その両隣りに見た事も無い男達が居る

「お師匠、」

「アルテナ!聞いてくれ、この人達はヘラクロスの一員だ、私と同じ宗教者で私達の仲間になってくれるらしい、これで逃げなくて済むよ」

「逃げるって、何からですか」

「こんばんはアルテナさん、私達ヘラクロスは聖ルクト神を信仰しています」

ジャンヌの隣にいた男が前に出て演説を始めた、どこか胡散臭い笑顔をしている

「聖ルクト神は人々を親愛し私達の為に身を呈して邪悪な元勇者アレースを監視し続けてくれています、アレースは大陸を割いただけでなく己の傲慢で人を殺めたりしています、そりゃ元勇者だけあって魔王の襲来を何度も撃ち破りましたが、その解決を担ったのはルクト神です、ルクト様がいなければ世界は崩落していたでしょう」

「何を仰りたいのですか?」

「アレースが居なければルクト様は自由の身、ルクト神の為アレースを討ち取るのは我々の使命なのです、共に戦いアレースの首を討ち取りましょう」

「魔王は誰が討ち取るのですか」

「アレースに勝てれば魔王など目でもありません」

「賛成してくれるよね、アルテナ」

ジャンヌはアルテナの手を覆うように掴み、まっすぐ見据えていた、アルテナは俯き震えだし、震えながらゆっくり顔を上げ、不格好な作り笑いをした

「お師匠について行きます」


2人はヘラクロスの本部に案内された

「あの奥が教会で右が食堂、左が寮になっています、中庭を通れば訓練所、その更に奥にロボットの修理等行っている施設があります」

作り笑いをする男が紹介をしてくれていた、本部は想像よりも広く、迷子になりそうだった

「貴方達の部屋はこちらです」

そこには質素な簡易的なベッドが置かれた部屋があった、旅をしていたアルテナ達からしたらベッドがあるだけでも十分なのだが、宿に比べたら品質は落ちている。まるで監獄かの様に窓に柵が嵌められ、ドアに鍵は付いているが中から開けられない仕様になっていた

「ここなんですか?」

「ソイツらは誰だ?」

アルテナ達が振り返ると、屈強なガタイをしている大男が立っていた。その声に聞き覚えがある、アレースと戦っていたロボットの操縦者だ

「マルセ君、新しく会員になったジャンヌ君とアルテナ君だ、よろしく頼むよ」

「お、ウチの会員になるなんて珍しいね、ジャックさん良かったですね」

マルセと呼ばれた大男とジャックと呼ばれた作り笑いの男は少しの間談笑した

「こちらのジャンヌ君はそこそこ腕がたつ、心強い戦士だよ」

「女性なのに剣を振るうんですね!素晴らしい!」

ジャンヌは手と首を振った

「いえ聖職者なので戦士ほどでは無いです」

「訓練所で腕前を見たのですが、特級クラスと呼んで良いでしょう」

ジャックは鼻息荒く話す、アルテナはその光景と部屋の柵が嵌められた窓を見て、この先の事を暗示していた

「アルテナさん、明日ロボットを見てみますか?」

マルセは腰をかがみアルテナの背に合わせ声を掛けてきた

「はい」

アルテナは力なく答えた

「話によるとアルテナ君も戦えるらしい、明日実力を見せてください」

ジャックもアルテナの背に合わせしゃがんだ

「わかりました、あの、今日は疲れたので休んで良いですか?」

「ああ良いよ、旅の疲れがあるだろうからゆっくり休みなさい」

アルテナは静かに部屋の隅に荷物を置き、ベッドに入った、ベッドの真上にヘラクロスの紋章があるのを見つけ、それをぼーっと見つめ目を瞑った

「アルテナはいつもは明るい子なんだ、今日は余程疲れただろうけど悪い子ではない」

ジャンヌはジャック達に弁明をしていた、まだ話しがある様で扉を閉め、皆で何処かへ行ってしまった。アルテナはマッシュの死に顔を思い出し、静かに涙を流した、そして小さくアルテナの歌を口ずさんだ、一緒にこの歌を歌ってくれた母、父、村人を思い出し、枕を胸に抱いた

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