第3話
今週までは日曜も投稿しますね……よろしくね……!
魔王城を出てすぐ、門の前に立っていたデルちゃんとはちあう
「おろ、カモミ〜そんなむすくれてどないした?」
「聞いてよデルちゃん!!!!」
「はいはい聞くから、めんこい顔が台無しやで〜」
私の膨らませてる頬を
人差し指でプスッと刺して空気を抜かしてくる
私はそんなことも気にせずデルちゃんにさっきの出来事を愚痴る
「ほぉーん、魔王様がそないなこと言うの珍しいな〜」
「良くないとは思うけど…ムカついちゃって…」
「ハッハッハ!カモミも反抗期か!若いのぉ〜!」
「酷いデルちゃん!真剣に怒ってるんだよ!」
「分かった分かった、魔王様のことはあたしに任せとき、あんたはヒシンス城で楽しんできな」
「え、でも…」
「そして元気な顔を見せたら、きっと仲直り出来ると思うで」
「…分かった、ありがとうデルちゃん」
そこまで会話をしたら
大荷物を持ったリアが来た
「はあ、はあ、お嬢様、やっと追いつきました」
「あ、ごめんリア、それ私の荷物だよね」
大荷物を持とうとすると
パッとデルちゃんが取り、魔法を使ったかと思ったら
大きさが一気に縮小された
「ほれ、これで移動も便利やろ」
「え、すごーい!ありがとうデルちゃん!」
「リア、カモミを頼むで」
「お任せ下さい」
こうきてデルちゃんに見送られたまま
その場を後にした
「勇者の剣……か……始まるんやな……」
デルちゃんが何か呟いた気がするが
私はそれを聞き取ることは出来なかった
「冒険だよ冒険!ヒシンス城楽しみだなー!」
「お嬢様……あまり浮かれてると怪我をしますよ」
「その時はリアが助けてくれるでしょ!」
「私はそこまで有能じゃありません」
魔王城から歩くこと約1時間
割と直ぐにヒシンス城に着いた
城下町の方は色んな店や人で溢れていて
見ているだけで凄く楽しくなってくる
せっかくだからと色んな店に寄って
沢山の食べ物を食べて回る、凄く贅沢な時間だ
「ほんと、お嬢様は食いしん坊ですよね。よくそれで太らないものです」
「体型維持は女子の基本だから!( •̀֊•́ ) ̖́-」
「はあ……そうですか」
「リアだって、すっごいスタイルいいじゃん!」
「これは……お嬢様方が良いものを食べさせてくれるお陰ですよ」
リアと楽しく会話をしていると
近くでなにやら騒ぎが起きた
「きゃー!魔物よー!」
その言葉にビクッとなったが
幸い、私の事ではないようだ
私は直ぐにその騒動の中心に向かう
動物の猿みたいな見た目をした魔物だ
店の売り物であるバナナを貪っている
結構警備や城壁はしっかりしていたのに
どこから入り込んだのだろう
そんなことは置いといて、このままだと『魔物さんが』危ない!
私は倒そうとしてる兵士さんの間に割って入る
「き、君!危ないぞ!」
「魔物さん!ダメでしょ人のもの食べちゃ!」
「ウキ!キー!キー!!!」
「お金は?持ってるじゃん!それ出さないと、兵士さん達に勘違いされちゃうよ」
私の言葉の意味が分かったのか
お猿さんは手に持っていた銀貨を私に渡し
逃げるように屋根を飛び移り城壁の外に出る
私はそれを見届けた後、銀貨を兵士さんに渡す
「あの魔物さん、悪い子じゃないんです。お金は払いますので、どうか許して上げてください」
「え、えぇ?か、構わないが……君は一体…?」
「どうした!何かあったのか?」
そこまでやり取りをすると
凄く硬そうな鎧を着た兵士長っぽい青年が駆けつけてくる
兵士さんは「お、王子様!」と慌てて駆け寄り
耳打ちでその青年に事情を説明している
「なるほど……君、魔物を退治してくれたこと、城の民の代表として感謝する。しかし勝手なことをするんじゃない!襲ってくる魔物だっているんだぞ!」
「そんな事ないよ!魔物さんは皆いい子だよ?」
「な、なんだって?」
私の言動行動が理解出来ないのか
兵士さん達は2人して首を傾げる
そこでようやくリアが住民達の間をすり抜けて出てくる
「お、お嬢様!一体何をしているのです!」
「あ、リア。魔物さんを助けていたの」
「全く……まぁ、無事で何よりです」
「お嬢様……?どこかの城の姫か?このような娘は見たことないが……まあいい、君には話を聞きたい。後でヒシンス城に来てくれ。私の名はシン。このヒシンス城の王子だ」
【第3話 魔物さんはいい子】