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リモート探偵 戸森智  作者: 庵字
Remote.05 続三剣士殺人事件 ~リモート探偵校庭に立つ~
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Remote.05 続三剣士殺人事件 8/8

 (はす)()富賀美(ふかみ)は一命を取り留めた。神代(かみしろ)(ゆう)に致死量をはるかに超える睡眠薬を飲まされており危険な状態だったが、発見が早かったことが幸いした。

 目を覚ました富賀美は、新川(しんかわ)麗依(れい)の殺害を自供した。涙を溜めた富賀美の目には、恐怖とともに後悔の色も滲んでいるように、水希(みずき)には思われた。あのとき――(とも)の推理を聞いたとき、下手に抵抗しないで自白して逮捕されていれば、こんなひどい目に遭うこともなかった。そう富賀美は感じていたのかもしれない。

 ()どう圭祐(けいすけ)もまた、意識を取り戻した。しかし、須藤の記憶は飛んでおり、襲撃犯が優梨であることどころか、自分が刺されたという記憶すらも憶えていないという。婚約者から殺されそうになったという事実が、あまりに強いショックとなったためなのだろうか。事件のことを聞かされた須藤は、ただ呆然とするだけだったという。

 このことを聞いた智は、「須藤が記憶をなくしたというのは嘘で、婚約者をかばおうとしたのではないか?」という推論を水希に聞かせた。意識を取り戻した直後の須藤には、まさか優梨が再び自分を殺そうとしていたこと、さらには、犯人に仕立て上げるために富賀美を拉致し、犯人に仕立て上げて殺そうとしていたことなど、知るよしもなかったためだ。「自分が口をつぐめば、この事件は正体不明の通り魔の犯行として処理でき、優梨ともやり直せる」そう考えたのかもしれなかったが、彼が思っていた以上に神代優梨は残酷な女性だった。

 須藤がその後、劇団ノーザンベースを辞めたのか、まだ所属を続けているのかは、事件の範疇外だということで、水希もノータッチを決め込むつもりらしい。とりあえず、優梨の父親の会社に入社するという話が流れたことだけは、確認できたという。

 最後の“三剣士”である()(やま)(せい)は、死んだ麗依と、逮捕された富賀美の分まで、演劇の世界で高みを目指さなければならないと、ノーザンベースを離れ、東京のメジャー劇団の入団試験という狭き門に挑むことを決めたという。



 学校から家へと戻る途中、


「ね、ねえ……」


 智は、運転席でハンドルを握る大輔(だいすけ)に声をかけた。


「ん?」


 と返した兄に、智は、


「か、会長とさ、な、何を、話してた……の?」

「……お前のことだよ」

「わ、私の……な、なに?」

「無理すんなってこと」

「う、うん……」

「あとな」

「ん?」

「お前が今日、学校に来てくれて、嬉しかったってよ」

「そ、そう……」

「これからも、たまには顔を見せにいってやれよ」

「わ、私は、し、親戚の子供か……」

「あはは」ひとしきり笑うと、大輔は、「智、腹減ったろ、何か買っていくか?」

「い、家に帰って、チャーハンの続きを、た、食べる……」

「そっか……」

「あ、兄貴……」

「なんだ?」

「にんじん、ぬ、抜いてね……」

「……分かったよ」


 やれやれ、という顔に若干の笑みを含め、大輔は家路を目指した。



「Remote.04 三剣士殺人事件」及び「Remote.05 続三剣士殺人事件」解決

~次回予告~


 プロレス興行中に起きた殺人事件。犯人はなぜか、試合中の事故で死亡した伝説的覆面レスラー「ザ・ブレイド」のマスクを被っていて……。


 次回『リモート探偵 戸森智』

「Remote.06 覆面レスラー殺人事件 ~リモート探偵vsザ・ブレイド~」にご期待下さい。

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