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01 プロローグ~能力獲得まで~

 最強の武器は一体何だろうか?

 恐らく、大概の人間はゲームの初期職業設定において、一度は考えたことはあるだろう。

 剣、槍、大槌、鎖鎌、弓、銃など、ゲームの世界には数多の武器が存在する。

 独自の研究データによれば、大抵の人間は、剣や槍といった近距離攻撃を好む傾向が高いと言える。

 確かに、デザイン上の話では、剣や槍といった武器は他のどの武器と比べても、垢抜けてかっこよくデザインされている。

 実際のところ、俺自身もそう思っているから間違いない。

 だが、それはあくまでデザイン上の話だ。

 職業柄の性能は、デザインと必ずしも比例しているとは限らない。

 たまに、人気の剣とかでチート級の性能を兼ね備えているものが実装されるが、あれはクソゲーだ。

 あんなチート級の剣を実装して、ゲームバランスが崩壊するということに運営側は気が付かないのか?

 それとも、運営側の自己満足のため?

 そんなことをすれば、剣信者が上昇傾向に当たり、他の職業が減少傾向に陥ることは目に見えてるはずなのに一体なぜだろうか?

 もしかしたら、運営側はゲームプレーヤーをテストしているのか?

 チート級の剣を実装することで、初期から共にしている職業から他の職業に浮気をしない真のゲームプレイヤーを見極めようとしているのかもしれない。

 だとしたら、俺は真のゲームプレイヤーだと断言できる。

 なぜなら、チート級の剣に惑わされることなく他の職業に浮気をしていないからだ。

 まあ、タダの憶測でしかないんだが。


 「あー、クソ!またやられた!剣二、『弓使い』のお前ひとりで大丈夫か?一回クエストリタイアした方が・・・」

 「大丈夫だ、問題ない」


 俺の名前は成宮剣二、県内の大学に在学。

 ただいま、数少ない大学友達と各々の自宅でオンラインゲーム中。

 わが友は、『槍遣い』から『剣士』へとジョブチェンジをした浮気者である。

 浮気の原因は、無論チート級の剣が実装されたからである。

 今俺たちがプレイしているゲームは、モンスターを狩りながら他のギルドと討伐数を競い合うオンラインゲームだ。

 このゲームの上位に君臨するギルドの職業はというとほとんどの奴が『剣士』だ。

 チート級の剣が実装されたことで、上位に食い込むために『剣士』へとジョブチェンジをする輩が多いというわけ。

 はっきり言ってクソゲーと化したゲームだった。


 「お前、すげーなー。弓でそこまで戦えるなんて」

 「大事なのは性能じゃない、ゲームスキルじゃね?」

 「はは、剣二が言うと説得力があるな!」


 説得力も何も、俺は事実を言っているまでだ。

 ゲームにおいて肝心なのは、武器それぞれの性能を上げるというよりも、まずはゲームスキルを磨くこと。

 それが、どのゲームにおいても初歩にやるべきことだ。

 それなのに、最近の奴らは武器ばかりを重視してやがる。結果ーーーー


 「おー!剣二一人で倒しちまったか!『弓使い』なのに、よくやるもんだな!」

 「まあ、俺は弓一筋だからな。弓における経験値は誰にも負けてない自身があるぜ?」

 「それってかっこつけて言うことじゃないだろ?」

 「・・・それもそうだな」


 マイクをオンにしたまま、二人で笑い合っていると、俺の視界に自然と掛け時計が目に入った。

 長い針と短い針が十二の所で、ちょうど重なり合っている。

 どうやら深夜0時ということらしい。

 俺は再びマイクの向こうにいる友達に向けて、


 「悪い、俺明日一限からなんだわ。今日はここで落ちるな」

 「おう、それじゃあ俺も落ちようかな?」

 「そうか、それじゃあ俺は落ちるなー」

 「おうー、りょうかーい」

 

 そして、俺はオンラインゲームからログアウトをした。

 

 「さーて、寝る前にっと」


 俺は灰色のレジ袋から、一本のゲームソフトを取り出した。

 このゲームソフトは、大学の講義が終了した帰り道にゲーム屋で買ったものだ。

 ゲーム屋で何か良い作品があるかと店内で徘徊するのが俺の日課なのだが、今日は良い作品と巡り会えたのだった。

 そのタイトルに惹かれ、コツコツと溜めていたバイト代からその一本を購入した。

 そのタイトルはというとーーーー


 「『十宝剣』に選ばれなかった異端者、か・・・タイトルから推測するに剣士に選ばれなかったってことだよな?最近剣がチヤホヤされててムカついてたところだ。このゲームはそんな俺のためにあるようなものだな!」

 

 ゲームカセットをゲーム機本体に挿入しながらそんなことを言っていると、テレビ画面に『十宝剣』に選ばれなかった異端者』のコンテンツが追加され、俺はさっそくそのコンテンツを開いた。

 

 「さーて、どんなゲームなのかなー?」


 期待に胸を膨らませる俺の目の前に映し出られたのは、ゲームあるあるのロード画面ではなく、簡潔にまとめられた一文だった。

 その一文はゴシック体で記されており、俺に認識違いが起こっていないのを証明するために、その一文を読み上げた。


 「「今までのゲームデータを反映させますか?」・・・・・・・か」


 どうやら認識違いでなさそうだ。

 『反映』という単語は、文字通りに影響が他に及ぶことを指す。

 その対象が今までのゲームということだから、つまり俺が今までプレイしてきたゲームデータを反映させるということ。

 その行為は、あまりにもゲームプレイヤーとしてつまらないことをしてしまうということに、俺は誰から言われなくても気が付いている。

 だが、ここで俺は迷うことなく『はい』を押した。


 「腹いせに買ったものなんだ。剣士に復讐し終えて、もしこの作品が面白かったら一からやり直せばいいしな」


 画面一面は電源が切られたかのように一度真っ暗になり、そして再び文字列が姿を現し始める。

 俺は、その異様なゲームの動作に動揺を隠せないでいた。


 「なんで・・・!なんで俺のゲームデータが全てキャンセルされたんだ!?」


 このゲーム機でやった過去のゲームデータがことごとく弾かれてしまう。

 過剰なキャンセル音に動揺した俺は、本来やってはいけない行為である、ゲーム機本体をコンテンツを開いたままシャットダウンさせようとした。

 だが、ゲーム機本体からランプが消えない。

 それは電源が消えていないことを指していて、


 「クソ、こうなったら・・・!」


 俺はテレビの後ろ側へと回り込み、テレビ本体と繋がっている差込プラグを引き抜いた。

 だが、悍ましいことにテレビの画面は消えなかった。

 電気の供給が無くなった電子機器が一人でに稼働するはずがない。

 テレビの電源ボタンやリモコンの電源ボタンを何度押しても消えることはなかった。


 「おいおい、怪奇現象か!やめてくれよ、こんな時間によ!」


 今の時刻は深夜0時、怪奇現象を信じ込んでしまう時間帯だった。

 ビクビクしている俺の目の前で、過剰だったキャンセル音は一度だけ了承音へと変わり、それきり音は鳴らなくなった。

 俺はおそるおそる画面を覗いてみると、そこにはプレイ時間だけが審査に通った画面が表示されていた。


 「これって・・・?」


 そして次の瞬間、騒々しい音は白い光へと不可解改変され、俺を吸収しようとした。

 画面に向かって身を乗り出していた俺は抗う術を持っておらず、そのまま白い光の中へと吸収されてしまったのだった。

 これが、現世からの旅立ちだとも知らずに。

 

一話を読んでいただき、ありがとうございます!

これからも面白くなるように頑張りたいと思います!

今後ともよろしくお願いします!

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