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二十一話・埋蔵金は無いと思っている派

今回は世界の神様等の説明みたいなものです。

 海神は二人いる。

 まず、海神ニエルド。

 船や港、貿易、漁業を象徴する海神。足が綺麗な美丈夫。

 山ノ神スカジアナと結婚するも離婚。

 鯨や海亀を始め、沢山の子孫がいる。

 群島連合各所で、大々的に祭られている海神である。特に、イスタヴェラ王国で夏に催される祭りは、最も盛大な物である。



 もう一人は、海神エーギル。

 外海の神で、波などの無慈悲な自然現象を司る白髪、白髭の海神。

 妻は“溺死の網”の持ち主、ラーン。

 娘は九人の悪名高い人魚、波の乙女。

 群島連合では、各国が季節に一回ずつ、持ち回りで祭っている。


 人魚とは、上半身が裸の女性、下腹部から下が魚の形状をしていると言われる。特に海神エーギルの娘の、九人の人魚《波の乙女》は、皆長身で輝く金髪を持っていたと言われている。

 九人の人魚“波の乙女”の名前は、後世で付けられた物なので諸説有るが、一番有名なものを紹介する。


 マリアンネ=ヒミングレーヴァ

“天に輝くもの”という名を持つ人魚。

 輝く美貌に策略を隠す、腹黒い人魚である。


 カステヘルミ=ドゥーヴァ

“沈める波”という名を持つ人魚。

 目についたもの全てを海中に沈める、怠惰な人魚である。


 アリッサ=ブローズグハッタ

“血塗れの髪”という名を持つ人魚。

 自らの長い髪を、生き物の血で染めるのが好きな嗜虐癖を持つ人魚である。


 サリ=ヘヴリング

“高くせりあがる波”の名を持つ人魚。

 高波を起こし、人が慌てふためくさまを見るのが好きな、幼児性の残酷さを持った人魚である。


 ティーア=ウズ

“叩きつける波”の名を持つ人魚。

 波を島や船に叩きつけ、自らの感情を統御できず喚く人魚である。


 ヴィルヘミーナ=フレン

“重なる波”の名を持つ人魚。

 姉妹に言われるまま、波を幾つも重ねる傀儡めいた人魚である。


 シル=ビュルギャ

“取り囲む波”の名を持つ人魚。

 人や生き物をじりじりと取り囲み、笑う妖艶な人魚である。


 エルシー=バーラ

“漂流者を弄ぶ大波”の名を持つ人魚。

 漂流者を見つけては波で弄ぶ、自虐癖を持ち自らを卑下する人魚である。


 リータ=コールガ

“押し寄せる大波”の名を持つ人魚。

 無差別に大波を起こす、気性荒く柄も悪い人魚である。



 以上から、殆どの人魚は波を操る事が出来ると推測できる。


 人魚は、海の世界で海神に次ぐ地位にあったので、海の生き物全てが人魚に怯えていたという。稀に人魚が陸に上がると、陸の生き物でさえ怯えていたとの記述も見受けられるが、定かではない。


 尚、各書物において“人魚”は美女や美少女だと書かれている物もあるが、私を含め実際には見たことが無いので保障は出来ない。


 因みに、神話時代に幾千万の船を沈め、多くの財宝を奪っていたと考えられる。


 人魚も他の神々と同じく、巨人と神々の戦いの後に消えたと言われているが、“人魚の涙”と言われる極大粒の真珠が一定周期で出回っている為、今も生存しているという説も多くある。





「あたしこんなに性格悪くねぇつもりだけど」

 青灰色の本を見ながら宿のベッドに寝そべりつつ、ルリコは呻いた。

 カイリは少し前に、そばかすの従業員――タネクが風呂屋に行くというので、連れて行ってもらった。男同士なら安心だろう。

「にしても……あのツリ目、覚えてろよ……」

 唸る様に低く呟くと、黒い本を開く。

「うわ、字ィ細かっ!」

 目次の索引を見ても読める単語が少なく、流し読みしていくと、“人魚”の単語を見つけた。先程のカイリの講義を思い出しながらルリコは解読を続けた。



 人魚の財宝について、エーギルの館にあるというのが一般的な考えだが、私の考えは異なっている。

 幾千万の船を沈めたと言う事は、財宝もそれだけあると考えられる。勿論、一箇所とは限らない。

 数々の書物と航海記録を照らし合わせ、独自の調査を行った私は、人魚が財宝を隠した場所を予想した。

 中央なら、センタナ島近くの――の真ん中。

 北なら、東からの海流と――がぶつかる―――――海溝。

 南なら、島の奥に――――海と繋がった―――のある島(名称は忘れてしまったが)。

 西なら、――火山―山―に沿っている西大陸の―――――半島に近い海底火山。

 東なら、中央からの海流とぶつかる東南部分の―――島付近の――の礁湖付近。


 私の調査では、人魚は少なくとも以上の財宝を持っていたと推測する。

  母、ラーンの“溺死の網”

  人魚姫メロウの涙で作った真珠の耳飾り

  金亀・銀亀の甲羅の簪

  強力の腕輪

  虹色珊瑚の腕輪

  賢者クヴァシルの血のボトル

  女神イドゥンの林檎の砂糖漬け

  どんな髪型にもなれる、魔法のカツラ

  小さな指輪


 小さな指輪については、私の友人の叔父の親戚の男の母の遠縁の娘の勤め先の商人が持っていた物で、いらいらしなくなる効果があるという。



「地名は流石に読めないな……。まあでも、徳川埋蔵金みたいなモンか」

 ルリコは本をなぞり、指輪の記述がやけに詳しいのに疑問を感じた。

「しかしなんで“小さな指輪”の事だけ熱心に書いてるのかね。ホントに他人じゃねえか。それに、いらいらしなくなるって……指輪に頼らずカルシウム取れよ」

 ゴロゴロとベッドの上に居るのも飽きたので、ルリコは立ち上がりスクワットを始めた。



「おー、おかえり」

「ななな、何をしている!」

 ルリコがブリッジの体勢で風呂から帰ってきたカイリを迎えると、そのままゆっくりと起き上がった。

「鍛錬。やってみる?」

「い、いや、いい。……新種の祈祷かと思ったぞ……」

 カイリは謎の行動に少し怯えながら洗濯物を籠に入れると、近寄って来たルリコに髪を撫で回された。

「のわっ!」

「うっわ、髪スベサラ!すっげー」

 すべすべでさらさら、略してスベサラとなったカイリの髪を掻き回すと抵抗し始めた為、ルリコはカイリを抱きかかえた。

「ケチんなよ。触らせろ」

「く、首ッ!し、締まってるそ!」

「ん?ああ、悪ィ」

「はっ、離せと言っておる!むむ、む、胸が」

「気にすんな」

 カイリは必殺手段か、ルリコの顔を狙い始めたので渋々離してやった。

「全く……」

 撫で回された髪を手櫛で整え、赤い顔でカイリは睨んだ。ルリコは首を傾げてカイリを見つめる。

「それじゃあ怖くねぇよ。睨むって言うのは、こうっ!」

 一瞬で阿修羅像に似た容貌に変化させたルリコに、カイリは怯え衝立の後ろに隠れた。

「どう?」

「………………別人にかと思ったぞ」

 カイリが恐る恐る衝立から出てくると、ルリコは荷物を引き出し風呂の用意を始めた。

「やり方教えてやるよ。コレでナめられねぇ、と思う。まー保障できねぇけどな」

「考えておこう……眠い」

 ぐったりしたカイリはお菓子袋を抱えベッドに横たわり、ボーっとし始めた。

「ちょ、まだ寝るな!せめて風呂の用意し終わってから!」

 ルリコがかつて無い速度で風呂の用意を整えると、カイリを揺さぶり起こした。

「……まだ、だいじょぶだあぁ」

(し、志村●んみてぇになってる……!)

 眠気に負け変な人状態のカイリに、ルリコはとっても不安を感じたが、カイリを信じる事にした。

「ちゃんと内鍵掛けるんだぞ!ゆっくり風呂入るから腹減ったら何か頼んどけよ!」

 カイリを引き摺り扉の脇で待機させ、少し待ち扉を押すと動かなかったので、ルリコは安心したが、ある事が気になった。

(まさか床で寝てねぇだろな……風邪ひくぞ)

 やはり不安は消えなかったが、取り合えず風呂屋行ってから考える事に決めた。ルリコは不安を打ち消すように、通路を早歩きで歩いた。



 傾き始めた太陽を背に、風呂屋に到着すると珍しく若い女性が五人ほど居た。

(一応、一般調査しとくか)

 番台のお婆さんに札を見せ、ルリコは自然に見える様若い女性達を凝視し、服を脱ぐ。

 勿論、ルリコも花も恥らう(かは人による)女子高生なのだが。


 女性達の下着は皆、色とりどりのカボチャパンツだった。

(お姉さん方!あんた達損してるよォォ!)

 ルリコは表情を変えないまま盛大に嘆き、お風呂セットを抱え風呂に入った。




 手桶でお湯を掬い、石鹸をモアモア泡立てていると、女性グループにいきなり話しかけられた。

「ねぇ、あなたの石鹸すっごいいい匂いするけどどこで買ったの?私達、今日この島着たばかりなの。教えて?」

「あ、これは服と装飾品が売ってる通り……えっと、宿で聞けば地図貰えますよ。その通りの、突き当たりの薔薇の門をくぐった先にある赤い扉の店です。でっかい猫いるから分かりやすいです。石鹸も沢山種類あるし」

「猫?あたし猫大好き!カワイイ?」

「……ま、大人しい黒ネコ?です」

「黒ネコ!あたし黒猫一番好き!」

「ありがとー、宿で聞けばいいのね。明日あたり行ってみるわ」

「いいお土産教えてもらっちゃったねー」

(猫って言っちゃったけど、腰抜かしませんように……しかも宣伝しちまったよ)

 うっすら後悔しながら、気合を入れてルリコは体を洗い始めた。


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