魔王と執事が現代生活始めました
魔王…それは人々に恐れられ勇者を待ち受ける最大の敵だったはずが。
カタカタカタカタ
部屋に鳴り響くキーボードの音、そして部屋に散らばるカップ麺の空
「あぁーもうこんな時間か」
PCにむかいながらながらそんなことを呟やいた
今は午前9時、魔王サタンは昨日発売されたばかりの新作ゲームに寝る嘛も惜しんで没頭していた。
「それにしても余裕でラスボスまで来たな」
「この調子でサクッとクリアしちまうかぁー」
と、サタンはラスボスに挑もうとした時
ガラッ
ドアが開きそこに立っていた人物に
「もう朝ですよー魔王様さっさっと起きて就職してくださぁーい」
いつものように朝のモーニングコールをかけるのは執事のハイデルだ。
「なんだよ、今いいところなんだから邪魔すんなよ!」
そしてこのようないつものやり取りを終えると
「魔王様お忘れですか?」
ハイデルが朝食の準備をしながら尋ねた
「ん?何をだ」
サタンはなんのことだかさっぱりだったが
「今日会社の面接ですよね?」
準備は終えましたか?とハイデルに返答された
「アァァーーーーー忘れてたぁー」
新作ゲームに夢中で忘れていた…
「面接開始まであと10分ですよ!急いでスーツきて早くいってくださいよあんた仮にも魔王なんだからダッシュでいけば間に合うでしょう!」
ハイデルが焦っていると
「おーいネクタイってどうやって結ぶんだー」
サタンがハイデルに救援を要請すると
「あんた昨日のうちに練習しろってあれほど言ったでしょう」
声を荒げてネクタイ結びながら
「ほら早くいってください、それと魔王様くれぐれも面接官に上目遣にならないでくださいね」
「わかってるよ」
本当にわかっているのだろうかとハイデルは心配になってきた
「んじゃいってくるぜ」
そう言った瞬間ドンという音をたてながらサタンは面接会場へ飛び立った
「本当に大丈夫だろうか…」
ハイデルはただならぬ不安に襲われていた
サタンか飛び立ったってから数分後…
「まぁなんとか間に合ったってところか」
面接開始時刻ぎりぎりに着いたサタンは会場に入った。
「や、やたら人が多いな」
まわりをキョロキョロ見渡していた。
すると
「サタンさんーサタンさんはいますか?」
ビクッと急に大声で呼ばれてびびってしまった
「は、はーい」
「そこにいたんですか、あなたが次ですから準備していてください」
そのように面接官に告げられ
「嘘だろ、いくらギリギリで来たからってそりゃないだろ」
ため息をついたサタンは渋々面接官のいる部屋に入った
「どうぞ」
と、面接官に言われ椅子にこしかけた
「あなたは何故我が社に入社しようと思ったのかな」
質問に対しサタンは
「ひゃ、ひゃい私がこの会社で働こうと思ったのは、仕事が楽だし給料がいからでしゅ」
あぁー噛んでしまったぁと心でおもいつつ
少しの間の沈黙の後
「すぅー、不採用だぁーーー」
面接官に雷を落とされてしまった…
「はぁーまた不採用かぁ」
落ち込みぎみに歩き家に着くと
「たらぁいまぁー」
玄関にハイデルが立っていた
「お帰りなさい魔王様、不採用でしたか?」
まるでわかっているような口調で尋ねてくる
「なんでわかんだよ」
「だって魔王様ってコミュ障でしかも一言余計ですから」
実はサタンは魔王城にいたときも日本に来てからもハイデル以外まともに話した試しがないからだ。
「はぁーあんなことがなけりゃ自分の城で自堕落な生活が送れたのに…」
それは、つい先月まだサタンとハイデルが魔王城にいた頃
「よしっでっきたぁー」
床には魔法陣が描かれていた
「いったい何騒いでいるんですか?」
ハイデルがため息混じりに言った
「ついにできたんだよ転移の魔法が」
興奮ぎみにサタンが答える
「また、どうして転移魔法なんて作ったんですか」
ハイデルが呆れながら尋ねる
「あぁそりゃ移動がめんどいからだろ」