マイ天使!
天使!
「あなたを幸せにしに来ました」
俺の部屋に天使が舞い降りた。
1LDKの部屋に突如現れたそれは、頭にリング、背中に白い羽をつけていた。
どこからどう見ても天使だ。
360度どこから見ても天使だ。
白いゆったりとしたドレスに優しそうなお顔。
彼女を見て、俺は、俺は、俺は俺は!
「フゥオォォォォォオオオオ! 天使っ娘キターーーーー!」
頭のネジが弾けとんだ。
話は数時間前にさかのぼる。
「あーマジで自炊めんどくせぇ」
俺は学校が終わってから、スーパーの中で食材を選んでいた。
一通り回ったが、いまいち夕飯が決まらない。
俺は実家と高校が離れているので、高校に入学したときに、一人暮らしを始めた。
最初は自由の身だと思った。
一週間は張り切った。
だが、やってみるとめんどくさいことが多く、はっきり言って実家に帰りたくなった。
「カレーでいっか」
俺はそう呟くと、カレーのルーとその他もろもろを集める。
会計に行こうとしたところで、お菓子売り場を発見した。
懐かしいなこういうの。
昔はねだりにねだったっけ。
なんか一つ買っていくか。
てきとうに一つ取って、会計に向かった。
カレーは素晴らしい。
何が素晴らしいって、何日ももつからだ。四日はもつ。飽きるけど。
「ふー……」
食い終わって、皿を洗い終わったあとに、俺は溜め息をついた。
「ゲームでもしよっかな」
俺はテレビゲームを始める。
一般的なRPGだ。最後が鬼畜らしいけど。
二時間くらいぐてーっと横になりながらやっていたら、いつの間にか寝ていた。
はっと目を覚ます。
時計は一時を回っていた。
眠い目を擦って、風呂に入りに行く。
15分くらいで出て、歯を磨いて、寝る用意はばっちしだった。
そこで、あることを思い出す。
「そういえば買ってきた菓子食ってねぇ」
俺は買い物袋から、ヘブンオアヘルと書かれた物騒な表紙の箱を開けた。
中からカードとガムが出てきた。
「なんだこれ」
カードを振ってみる。
なにも起こらない。そりゃそうだ。
全面がシルバー色のカードだった。
「不良品かよ」
もう一度、箱を口を下にして振ってみると、説明書と書かれた紙が落ちてきた。
「ん?」
説明書の内容はこうだった。
「この箱を手に取りましたね。
あなたは天使か悪魔を呼び出す手段を得ました。
裏面に書かれている文字を大声で叫びなさい。
羞恥心を捨てれば天国が、捨てられなければ地獄が待ってますよ」
俺は紙を裏返す。
そこにはこう書かれてあった。
「マジカルマジカル僕かわいいきゃるん!!」
普通なら恥ずかしくて死にそうなセリフだ。
だが今の俺は眠すぎて、さっさと終わらせたい。
その気持ちが羞恥心に勝った。
すると、カードが光だした。
「な、どうしたんだ!?」
光が人型になる。
「ま、まぶしすぎる!」
話は冒頭にもどる。
「ちょ、ちょっと触ってみてもいいですか?」
「はい、どうぞ」
天使さんはにっこりと笑った。
俺は羽に触れてみる。
ん~~~~~~~~!
なんて触り心地なんだ!
俺は天使っ娘が大好きだが、まさかここまで素晴らしいものとは。
「ワンダフル! ア~ンドビューティフォ!」
俺はあまりの感動に叫んだ。
生きてて、生きてて良かった…………。
「あ、あのカレー食べますか?」
「カレー……ですか?」
「はい、ちょっと待っててくださいね!? すぐに! 新幹線よりも、ロケットよりも速く持ってくるんで!」
そう言うと、俺は台所に飛んでいく。
1秒で水とカレーをよそって、目の前に置いた。
「どうぞ」
「ではいただきます」
天使さんは一口食べた。
「おいしい! おいしいでござるよ!」
「そりゃそうですよ! 有名なカレーなんですから!」
バーモンドカレーはやっぱり旨いんだよ!
「拙者おかわりがほしいでござるよ!」
「ありがたき幸せ!」
俺は0.5秒でカレーを持っていく。
「んまー! まいうー!」
「ふっふっふ、そうでござろうそうでござろう」
「なんか私テンションMAXです!」
「俺もですよ! こうなったらパーティーですカレーパーティー!」
俺はマッハでコーラを取りに行った。
「そーんなーにうーまいーかかれーがよー」
「へいへい!」
チャンチャン!
天使さんがスプーンで皿を叩く。
「どーれたーべてみーんしゃーい」
「へいへい!」
チャンチャン!
今何時かは、もうわからない。
あれからずっと騒ぎ続けた。
まあ楽しいしいいや━━━━。
ドンドンドンドンドンドンドンドン!
「何時だと思ってんだ! ここ開けろ!」
俺は青ざめる。
「ど、どうしたんですか?」
天使さんは戸惑っていた。
まずい。
まずいぞ。
調子に乗りすぎた。
ドォン! バタン!
「てめぇちょっと表出ろ!」
ドアが蹴破られる。
隣のおじさんが殴り込みに来た。
なにか、なにかこの場をやり過ごす方法は……。
周りを見ると、天使さんの羽が目についた。
俺は天使さんを見て叫ぶ。
「天使さん! どこかへ逃げられない!?」
「? 出来ますよ」
「じゃあお願い!」
「わかりました。それではお空へレッツゴー!」
俺は天国へと旅立った。
レッツゴー!
天国!




