071 最強パーティー爆誕
僕はもう、迷わない。
マナさんが戻ってきた。
ずっと不安で、何かから逃げるようにがむしゃらに走り続けた旅も終わり。
これからは、マナさんと一緒にこのゲームからログアウトする方法を探すんだ。
その為に、強い力がほしい。
マナさんを守るための、力が。
僕も、本物のマナさんに会いたいから。
「だから、力を貸して。サラマンダー」
【ハルが全ての四大精霊を使役しました】
【新たな称号、最高位召喚師が与えられます】
「てゆうか、ハルくん……ステータスヤバくない?」
「ステータス?」
「え、見てないの?」
「ええっと……その、どれが何のことを書いてあるのかよく分からなくて……」
「相変わらずだね、ハルくんは……えっとね」
マナさんがステータスの見方を教えてくれた。
こういう能力値とか気にしなくても暮らしていけたから全然気にならなかったな。
数字とか言われても、これが強いのか弱いのかもよく分からないし。普段からゲームしてる人なら理解できるんだろうけど。
「ハルくん、未受取の報酬もたくさんあるじゃない! 勿体無いよ!」
「え? え、ええ?」
「ほら、クエストクリアの報酬とか限定ミッションクリアボーナスとか」
「え、わっ、わ!」
マナさんがステータス画面を色々操作してくれて、僕は今まで放置してたらしい報酬を全て受け取った。
クエスト達成で貰えるお金くらいしか気にしてなかったけど、武器とか装備品がこんなにあったんだ。
「あ、これは新しいね。四大精霊と契約した報酬だ」
「装備品、ですね。『エレメンタルクロス』……十字架のアクセサリーみたいですけど」
「へぇ、可愛いね。ハル君、付けてみてよ」
「はい」
ボクが装備品を付けると、ステータス画面に新しい表記が付いた。
「……全属性の攻撃力が五倍……? どういう意味ですか?」
「えっとね、つまりハルくんの攻撃が属性攻撃だった場合……要は召喚魔法とかだね。その攻撃が五倍になるってことだよ」
そうなんだ。なんかピンと来ないけど、凄いことなのかな。
単純に攻撃力が上がるのなら、嬉しいことだし。強くなれたってことだもんね。
「な、ななな……そんな、軽く言っていいことじゃありませんよ、ハル様!?」
うぃっちさんが体を震わせながら、一歩後ずさりした。
「属性ダメージが上がるってことは、つまりパートナーであるミヤ様の攻撃力も上がるんですよ。ミヤ様の属性は光、つまり魔王の属性である闇の弱点! 光の弱点もまた闇ではありますが、そこにミスマッチという特異体質を持ってるマナがミヤ様をカバーすれば、これもう最強のパーティーの完成じゃないですか!」
早口で言われて話についていけないけど、つまりは魔王に勝てるかもしれないってことで良いのかな。
僕達は魔王に勝てる可能性がある。元の世界に帰れる、ってこと?
「……その為には、私はもっと強くならないと駄目なんだよね」
「マナさん……」
「ミヤと一緒に前衛に並ぶためには、このミスマッチの体質を活かした戦闘を体に叩き込まないと……ハル君、協力してくれる?」
「もちろんです!」
妥当、魔王。
そのためにも、まずは出来ることからやっていかなきゃ。
「そうだ。僕、せっかくだからお店を再開しようかな」
「ハルくんのお菓子!」
「はい。資金調達にもなるし」
「ハルくんのフリフリエプロン姿……!」
「エプロンドレスのことですか?」
なんかマナさんの目がちょっと怖かったけど、気のせいかな。
……うん、気のせいだよね。
USER NAME/片岡春臣
LOGIN NAME/ハル
SEX/女?
PARTNER/ミヤ
LOGIN TIME/35120:17:41




