005 夢見るスイーツ少年
「……ん」
ここ、は……?
僕は周りを見渡してみた。
なんか、森の中っぽい。スゲー、これがゲームの世界? 仮想空間ってやつなのか?
みんな、こういう世界で遊んでるんだ。
とりあえず、僕は自分の姿を見てみた。
服装は、なんかヒラヒラしたワンピースっぽい。
なんていうんだっけ、これ。ゴ、ゴスロリ? 確かそんな感じの服。
それに小振りではあるが、今までなかった胸が付いてる。股間を触ると、そこには男としてあるべきものが無くなっていた。
なんだろう。この消失感。
大事なものを失ってしまったショックが結構デカいかもしれない。
「……」
なんとなく、胸を触ってみた。
おお、柔らかい。小さいけど柔らかい。
スゲー、ヤベー。なんか感動する。
それに髪も長くなってる。金髪だ。メッチャ綺麗な髪なんですけど。
顔はどうなってるんだ? 鏡とか無いのかな。
「えーっと、どうしたらいいんだっけ?」
叔父から説明された手順通りに、僕はステータス画面を表示させた。
何もない所に画面が浮かび上がるとか、本当にゲームん中なんだな。
====================
NAME/ハル
WEAPON/杖
ACCESSORIES/--
SKILL/--
MAGIC/--
====================
なんかよく分かんない。
あとで叔父に訊いてみようかな。とりあえず、この杖ってのが僕の武器なんだよね。
なんか簡単な魔法とか使いたかったから、これはいいかも。
街とか、そういうのはどっちかな。
僕はこの世界でやりたいことがある。その為にはまず、畑と家が欲しい。
僕は適当に歩いて、街らしいところに出た。
◇
おお、結構人がいるじゃん。
大きな街なのか、色んな人がいっぱいいる。
ここに居る人たち、みんな現実では性別が逆なんだよな。なんか変な感じだ。
周りをキョロキョロ見ながら歩いていると、案内板を発見した。
書かれているのは日本語ではない。でも読める。仮想空間だから、なんだろうな。
「えーっと……」
役所みたいな場所は、ここでいいのかな。
街の中心にあるデッカイ建物。きっとここで色んな手続きとかも出来るだろう。
僕はちょっとだけ駆け足で目的の場所へと向かった。
てか、始めたばかりで家とか買えるのかな。ローンとか?
経営とかちゃんと出来んのかな。
数分歩いて、目的の場所に着いた。
なんかよく分かんないけど、ここが事務局的な場所なんだよな。あってると思うけど、ちょっと不安かも。
やっぱり友達と一緒に来れば良かったかな。こういうゲームに慣れてる友達がいれば、色々と教えてもらえたのに。
「まぁいいや」
僕は事務局の中に入って、手続きを済ませた。
意外とすんなり手続きは済んだ。
森の近くにある畑付きの家を借りれて、街にある小さなお店の運営も出来るようになった。
なんでも初回ログインボーナスみたいな奴があるらしい。それのおかげで上手いこと進んだ。
あとは、自分の腕次第だな。
僕がこの世界でやりたいこと。
それは、菓子作りだ。
僕の夢は小さい頃からパティシエになる事なんだ。
だからこの世界で、お菓子作りの練習をしようかなって思ってる。
一から材料を作って、それで菓子を作って売るんだ。
この世界での食材は回復アイテムになるから、きっと運営には困らないはずだってさっき受付の人が説明してくれた。
それから僕は街に出て、さっき言ったログインボーナスで貰ったお金で色々と買い揃えた。
食材の種とか、肥料とか、あと簡単な【魔法】。
【魔法】が買えるってスゴイよな。
これで僕も魔法使いです。なんちゃって。
ちなみに、僕が買ったのは【水魔法】。
畑に水巻いたりするのに便利だろ。
僕はさっき借りた家に向かった。
この世界での僕のマイホームだ。中学生にしてマイホーム持てるとか素敵じゃん。
思わず浮かれてスキップとかしながら街を出た。
まだお店の経営とかは出来ないけど、ある程度の材料さえ揃えばお金も稼げる。
誰かが僕のお菓子を買って、それを気に入ってくれれば、きっと少しずつ買い手も増えていくだろう。
確か、使う材料とかで回復量が変わるんだっけ。あとで説明書読んでおかないとな。
あと服装とかも大事だよな。
なんか制服っぽいのあった方が良いかな。
せっかく女の子になったんだし、それっぽい格好もしてみたいな。
まぁ、それも追々だな。
◇
街から数分離れた場所にある、僕の家。
外見はログハウスっぽい。うん、いいじゃん。畑も結構広いし、色んなもの作れそうな感じだ。
まずは小麦だよな。それから、果物。
うん、やることいっぱいあるな。あーヤバい、今から楽しみなんだけど。
本当にスゴイな、このゲーム。
夢が膨らむし、胸も膨らむ!!
そう。胸も膨らんだんだよ!!
「まずは畑の手入れだなー♪」
ゲームっぽくない?
そんなの知ったことじゃないね。僕はやりたいことをやるんだ。
夢を叶えるんだ!!
そうそう。
さっき、部屋にあった鏡で自分の姿を見ました。
金髪少女でした。
僕、自分のこと可愛いって、初めて思いました。
あとでツインテールにしておこう。
USER NAME/片岡春臣
LOGIN NAME/ハル
SEX/女?
LOGIN TIME/0004:25:40