表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Trans Sexual Online~のんびりほのぼのTS生活~  作者: an℟anju
第一章 ログイン開始
6/79

004 初ログイン

「ただいまー!」


「おかえりハル。お母さん、これから夜勤だからね」


「はーい!」



 階段を上がる僕に、リビングから母が声を掛ける。

 僕は片岡春臣かたおかはるおみ。中学1年生。

 母は病院勤めなので、夜に家を空けることはよくある。もう慣れっこだ。

 ボクは一人っ子で、父親もいない。だから一人の夜は寂しいと思うこともあった。


 でも、今日からは違う。

 母さんにワガママ言って、ようやく買ってもらえたゲーム。《Trans Sexual Online》ってVRMMOだ。

 今日の午後から正式サービスが始まってるはずだから、もうゲームは出来る。細かい設定とかそういうのは機械に詳しい叔父に頼んでやってもらった。

 こういうタイプのゲームって初めてだから、今日はずっと変に緊張しっぱなしだった。

 そわそわしちゃって、授業の内容なんて一切覚えてない。


 このゲーム。ト、トランスセクシャル? だっけか。

 TSって、性別が入れ替わっちゃうゲームらしい。

 つまり、僕はこのゲームの中では女になるってことだ。

 そして、このゲームの中。仮想空間の中では時間の流れも全然違うんだって。ゲーム内の一年が、現実ではたったの一日らしい。

 スゴイよな。きっとこれが人気の理由なんだろう。友達も親に頼んで買ってもらったって言ってた。


 僕は別に女になりたいとか思ったことはないけど、現実では体験できないことが出来るってのは面白い。それに、このゲームの凄いところはそれだけじゃない。

 このゲームでは、なんでも出来るんだよ。ダンジョンとかでモンスター倒していったりも出来ちゃうし、普通に牧場とかも経営出来るんだって。


 友達は完全に戦う気満々だった。

 でも僕は違う。

 僕がこのゲームをしたかった理由は、自分の夢のためだ。


「よし」


 僕は部屋に入り、カバンをベッドに投げた。そして学ランを脱ぎ捨てる。

 てか、今日暑すぎ。早く衣替えしないかな。こんな暑い日に学ランとかキツい。こんな真っ黒な服着てらんないよ。


「えーっと……これを、こうして……」


 僕、普段からゲームとかあんまりしないんだよな。テレビゲームも全然しないし、オンラインゲームもこれが初めてだ。

 そんな僕がいきなりVRMMOとかやっていいのかなって考えるところだけど、まぁいいや。


 僕は叔父が教えてくれた通りにイヤホンを付けてゲームを起動させる。

 やり方は間違えていないはず。

 なんか眩暈がする。

 意識が遠ざかっていく。


 いいんだよね、これで。

 初めてだから、わかんないけど、いいんだよね?


 チクっとした痛みがして、そこで僕の意識は完全に途切れた。



 こうして、僕は生まれて初めての仮想空間――。



 ――《Trans Sexual Online》の世界へと誘われた。


















USER NAME/片岡春臣かたおかはるおみ

LOGIN NAME/ハル

SEX/男

LOGIN TIME/0000:00:18

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ