057 噂のゴスロリ魔法使い
「ミヤ、そっち追い込んで」
「了解。ハル、あと25秒でそっち行く」
僕は呪文を唱えながら相手が路地裏に来るのを待つ。
あと10秒。5秒。
――今だ。
「簡易召喚発動。おいで、ウンディーネ!」
足元に展開された魔法陣から喚び出された水の精霊が、追い込まれた人達を襲う。
水の檻が彼らを閉じ込め、気を失わせる。相変わらずウンディーネのやる事は怖い。出来ればあまり召喚したくはないけど、今の僕が使える一番強い魔法がこれだ。
「お疲れ様、ミヤ」
「ハルも。さっき逃げた奴も捕まえた」
「ありがとう。全部で、えっと5人いるよね。これで依頼された悪い人退治完了だね!」
「……そうだね。ハル、強くなったけど、変わらないね」
「え?」
マナさんを捜して旅をして、もう4年が経つ。
未だにログアウトは出来ないし、旅を始めた当初は不安で泣きそうになることも沢山あった。
でもミヤがいてくれたおかげで、旅は続けられたし、魔法も前より使いこなせるようになった。
あの洞窟、というか元々は遺跡だったらしいんだけど、そこの守護獣だったミヤは本当に強い。僕と契約して力が少し抑えられちゃったらしいんだけど、それでも十分だ。
「マナさん、ここにも居なかったね」
「……匂い、しない。近くにも感じない」
「そっかー。じゃあ、そろそろ次の街に行ってみようか」
依頼主さんに報告を済ませ、報酬を貰った僕達はラグーナの街を後にした。
この4年間、小さな依頼をこなしてお金を稼ぎながら旅をしてきた。マナさんに関する手がかりは一つもない。
マナさんは強くて目立つタイプの人だから何かしら噂とかあると思ったんだけどな。
「遠くまで来ちゃったね……」
「そうだね。ハル、結構有名になった」
「え? 僕が?」
「可愛い女の子が、色んな街で高難易度のクエストこなしてるって、噂」
「それ、僕のことなの?」
「ハルのことだよ」
僕、そんな噂になるほど何かしたかな。簡単なクエストこなしてるだけなんだけど。
あ、でもウンディーネの召喚魔法覚えたときは結構大変だったかな。
「……マナさん、会いたいな」
こんなに捜してるのに会えないなんて。
もしかして、ガイアに戻ってるのかな。まだ一度も帰ってないし、みんなにも会いたいし。
ミラさんやレイにも会いたい。
「ミヤ、一度ガイアに戻ろうか」
「うん」
ミヤは頷くと、獣形態に姿を変え、僕の肩に乗った。
「みゅう」
「うん。きっと会えるよね。マナさんなら大丈夫だよ」
僕らは次の街に行くのをやめて、商業都市ガイアへと向かった。
ここからだと隣街の飛行竜に乗った方が速いかな。
「ミヤ、日が暮れる前に街に着きたい」
「みゅっ」
ミヤが肩から降り、また姿を変えた。
僕より大きな狼の姿。この4年間で覚えた魔法の一つ。
この狼姿なら足も速いし、僕も背中に乗せてもらえる。
僕の魔力を結構使うから、長時間は無理なんだけど、少し急ぎたいときはこうしてる。
「行こう、ミヤ」
「がうっ!!」
USER NAME/片岡春臣
LOGIN NAME/ハル
SEX/女?
PARTNER/ミヤ
LOGIN TIME/35088:21:10




