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Trans Sexual Online~のんびりほのぼのTS生活~  作者: an℟anju
第四章 会いたくて戻って来ちゃいました
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056 一日が、一年

「ん……んん……」


 眩しい光に照らされ、薄目を開ける。

 燦々と輝く太陽。見渡す限りの緑の大地。

 近くで大きく水しぶきの音が聞こえる。

 ここは――。


「え……? あはは、いやちょっと待ってよ……」


 滝の音にかき消される独り言。

 私は無意識に空間をダブルタップしていた。

 突如、眼前に浮かび上がる薄緑色の画面。

 そこに記載されている、ある数字――。


 『LOGIN TIME/35098:42:11』


「…………なにこれ」


 三万……? 何が……?

 ログインタイム……?


 私は慌てて腕時計を確かめた。

 しかしいつも腕に嵌めているはずの時計は、そこにはない。


「いやいや、落ち着こう。一旦、頭を整理しないと……」


 大きく息を吸い、吐く。

 今の自分の状況を正確に把握しなければ、ハルくんを助けるどころか、自分の命すら危ないのかもしれないのだから。


 まず、今私がいるこの場所は《Trans Sexual Online》の世界で間違いないと思う。

 全身の感覚。知覚、嗅覚、触覚、味覚、視覚。

 これら全てが、私の記憶にある《TSO》の感覚と同じだからだ。

 現実世界と似ているが、やはりどこか違う。

 非現実世界。視野の動きなどは、やはり現実と比べて違和感がある。


 次に、私の身体。

 やはり……付いていた・・・・・。アレが。

 今の私は女ではなく、男だ。

 ほっそりとした身体だけどそれなりに筋肉もある。

 これが《TSO》の世界の、最大の特徴ともいえるだろう。


「問題は、このログイン時間……」


 私は記憶を遡る。

 昨日は大野教授の元に寄り、ハルくんの中学校にも向かった。

 今日が五月九日だから、昨日は五月八日だ。

 ハルくんを空き地で発見して病院に届けたのが、その二日前。

 私が《TSO》の世界からログアウトしたのが、さらに一日前だから――。


「五月五日……。確かにそうだわ。こっちの世界と現実世界の時間は、同じだけ進んでいたはず……」


 もう一度、空間に表示されたままのログイン時間を確認する。


 『LOGIN TIME/35098:44:56』


 時刻は一秒刻みで進んでいる。

 私は腕を組み、このバグともいえる経過時間を年数換算してみた。

 1年が365日。1日が24時間。

 約35000÷365÷24=?


「……約……四年……」


 私はその場に膝から崩れ落ちた。

 五月五日にログアウトして、五月九日に再びログインした――。

 四日しか経っていないのに、四年。35000時間。


「ま、マニュアル……!」


 再び空間をダブルタップし、ログインの最初に現れる説明書を浮かび上がらせる。

 そこには、先ほど脳内に響き渡ったアナウンスと同じ文言が記載されていた。

 私はそのマニュアルの中のある部分・・・・を、何度も読み返した。 


 『この《Trans Sexual Online》では、現実の世界と時間の流れが異なります。

  現実世界での一日が、この世界では一年となります。

  リアルが多忙で、なかなかVRMMOを楽しめない現代人に合わせて作られた、仮想空間バーチャルリアリティエリア――。

  それがこの《Trans Sexual Online》で御座います』


 一日が・・・一年・・

 つまり、私がログアウトをしていた、たったの四日間で――。



「――この《TSO》の世界は、四年も経過しちゃったって……こと?」




USER NAME/佐塚真奈美さづかまなみ

LOGIN NAME/マナ

SEX/男?

PARTNER/---

LOGIN TIME/35098:55:49

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