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Trans Sexual Online~のんびりほのぼのTS生活~  作者: an℟anju
第三章 それぞれの旅立ちと冒険
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046 勇者アリス、ふたたび

「…………見つからねぇ」


 かれこれもう2時間ほど忍者のように隠れながら街を散策してます。

 でも一向に鍛冶師が居そうなお店を発見できません。


「ていうか広すぎるんだよ! この街! 迷子になっちゃったよ! うわーん!」


 今、自分がどこにいるのかも分からない。

 街の裏路地を歩いてたはずなのに、いつの間にか街から離れちゃってる気もする。


「何度やっても【マップ】も開けねぇし……。使えねぇな! この身体!」


 イライラは募る一方だ。

 ヅラが無ければベトベトの身体ではウインドウも開けない。

 やっぱヅラは万能だ。

 早いとこ被って精神を安定させたい。


「ふふ、なにやら困っているようね」


 物陰から女の声が聞こえ、俺は振り返る。


「あ。あんときのレイヤーさん」


「レイヤーさん違う! 勇者! 勇者アリス!」


 顔を真っ赤にして叫んだ自称勇者。

 こいつ、ずっと俺のことを監視してやがったのか……?

 もしかして……ストーカー?


「……こほん。で? 鍛冶師を探しているんでしょう? 私の『最強の剣』を作るために」


 再びいつもの冷静を装った顔で俺に近づいてくる勇者。

 なんか知らんが瞳が潤んでいるようにも見える。


「ううん。違う。お前のためじゃない」


「……何ですって?」


「俺は『最強の剣』とやらは作らない」


「じ、じゃあどうして鍛冶師を探しているのよ!」


 俺の答えに慌てる勇者。

 ……どうして俺が『鍛冶師を探している』と知っているんだ?

 でもその理由までは知らない……?

 うーん……。


「……お前、あの屋敷で聞き耳立ててただろ」


「びくっ!」


 俺の問いにあからさまな反応をした勇者。

 ……なるほど。

 聞き耳を立ててたから、俺とキツネの話を断片的に聞き取れたってことか。

 ということは、あの仕事できそうなキツネに気配を悟られずに会話を聞き取れる距離まで近づけたってことになるけど……。

 ……地獄耳?


 いや、それよりも――。


「な、何よ! 言いたいことがあるなら言いなさいよ!」


 にじり寄る俺を見据え、徐々に後ずさる勇者。

 この反応――間違いない。


「このストーカーが!」


「ひいぃ!」


 ついに頭を抱えて蹲ってしまった勇者。

 こいつ……めっちゃ弱い!

 脅しとかに耐性がまったくない!?


「そんなへっぴり腰で『最強の称号を持つ勇者』だぁ……?」


「ううぅ……!」


「立て!」


「ひ、ひゃい!」


 俺の命令どおりに立ち上がった勇者。

 でも足はプルプルと震えている。


「……お前、実はめっちゃ弱いんだろう」


「……そ、そんなことない」


 思いっきり目を逸らしました。

 明らかに冷や汗が大量発生してます。

 目も泳いでます。


「『最強の剣が欲しい』っていうのは、つまり、『お前がめっちゃ弱いから』ってことか」


「ち、違う! 断じて違う!」


「俺がログアウトできないのって、お前が仕組んだことじゃないんだろ」


「ば、ばばば馬鹿言ってんじゃないよ! 私がやったに決まっているだろう!」


「……何故こっちを見て言わない」


「見れるし! ぜんぜん見れるし!」


 もう完全にグダグダになってる勇者。

 ていうか半泣きしてるし。

 何なんだこいつは……。


 ……いや、そう言えばこのまえ『大野教授に貸しがある』とかなんとか言ってたな。

 大野教授……大野教授……。


「あー、確か大野教授って、別の高校の臨時教員をやってるって聞いたことがあるな……」


「びくんっ!!」


 今期一番のびくつきを披露した勇者。

 なんかビンゴしたっぽい。


「……お前、もしかして高校生か?」


「ちちち違う!」


「お前の通う高校の臨時教員が大野教授で、それでなんかいざこざがあったと」


「違うって言ってるでしょうが! 聞かない! もう聞かない!」


「前に大学の飲み会で話題になったんだけど、大野教授、高校生にストーカーされて困ってるって言ってた」


「あっ……」


「何度も告白されたけど、断るたびに『ふふ、これで貴方に貸しができたわ』とか訳の分からんことを呟いてはストーカーを繰り返す女子高生がいると」


「ああ……ああああ……!」


 見る見るうちに膝から崩れていく勇者。

 ……こいつだ。

 こいつが大野教授を悩ませていた女子高生のストーカーだ……!

 完全に自分の世界に入っちゃってる系のヤバい奴だ!


「みなさーん!! ここにストーカーがいますー!!」


「や、やめろおぉ! 私はストーカーじゃない! だって……だって……好きなんだもん!」


「好きだったら相手の迷惑を考えないっていうストーカーがここにいますよ、みなさーん!!」


「もう!! 黙って!! お願いだから黙ってー!!」



 ――というわけで。


 このやりとりが延々と1時間ほど続きました。


















USER NAME/かつらいさむ

LOGIN NAME/ヅライム

SEX/???

PARTNER/――

LOGIN TIME/00013:01:41

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