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Trans Sexual Online~のんびりほのぼのTS生活~  作者: an℟anju
第二章 出られないけどほのぼの生活
37/79

035 用心棒

 

 けたたましい音が店内に鳴り響く。

 いったい何が起きたの?

 ボクはミヤを抱き上げ、隅っこに寄った。


 誰――?

 割れたガラスの向こうで誰かが笑っている。

 何人いるんだろう?

 ボクの視界から見えるのは3人。男が2人と女が1人。


「あれー? ここ、まだ何もないじゃーん」


「マジかよ。使えねーな」


「って、あれ? 誰かいるよ」


 男がボクに気付いた。

 いや、この世界では男だけどリアルでは女の人か。

 でもここでは男なんだから、男って呼んでいいのかな。

 なんかややこしいなぁ……。


「ねー、ここって君の店?」


「……え、はい……」


 女の人が声を掛けてきた。

 なんか、色っぽい人だな。

 でも中身は男なんだよね……。

 それ考えると、なんかなぁ。

 

 あ、ボクも同じように思われてるのかな。

 せっかく性転換してるんだから女の子っぽく振る舞うべきなのかな。


「ちょっと、何ボーっとしてるのよ」


「何、ビビってるの? 可愛いじゃん」


「てか、コイツNPCじゃないじゃん」


 何の話をしてるんだろう。

 何でガラス割ったんだろう。

 どうして、こんなことするんだろう。


「まぁ、1人なら楽勝でしょ。この子、どう見たって戦闘タイプじゃないし」


「だな」


「……え?」


 何を言ってるんだろう。

 

 3人が各々武器を構えてボクに近付く。

 もしかしてボク、ピンチ?


「な、なにを……」


「わかんない? 運営の目が届かない今こそ、好き勝手暴れ放題じゃん」


「NPCが動き出しちゃったのが惜しいところだよね。あのまま止まっててくれればレアアイテムとか盗めたのに」


 そっか、この人たちはネットでよく見る荒らしみたいなヤツだ。

 それでボクの店が狙われたんだ。

 まぁ、アイテムはこれから準備するから何もないんだけど。

 でも、お店に何もないだけでボク自身はお金とか多少は持ってる。

 金になりそうな装備はないけど、ログインボーナスで貰ったお金は余ってるし、かなりヤバい状況かも。

 

 どうしよう。

 大人しくお金を渡す?

 でも、そんなのはイヤだ。

 ボクだって男なんだし、これくらいのことで怖気づいてたらこれから先、何も出来ない。

 でも、怖い。


 だって、この人たちも言ってたけどボクは戦闘とか全く出来ない。

 戦う術がない。

 でも、このお店は守らなきゃ。

 せっかくルーイさんが綺麗にしてくれたんだ。

 これから――。

 これからボクの夢が、叶うんだ――。


「か、帰ってください……」


「はぁー?」


「ここには何もないです! だから、帰ってください!」


 精一杯の大声で、伝えた。

 泣きそう。

 でも、泣いちゃダメだ。


「……可愛いね、君」


「え」


「でもダーメ」


「目の前の餌を見逃すわけないじゃん」


「そのモンスターも倒せば経験値になる訳だし」


 ミヤのことも狙ってる!?

 どうしよう、守らなきゃ……!

 ミヤは怪我をしているんだ。

 でも、どうやって――?


「ふふ、怯えちゃってかーわいい」


「やっぱゲームはバトってなんぼだよな」


 ……変だよ。

 なんで、どうして……?

 

 ボクはミヤをギュッと抱きしめて、目を瞑った。

 助けて。

 助けて、助けて――。


「きゅう」


 腕の中でミヤが鳴いた。

 それを合図にするように、男たちがボクに向かって武器を振り上げる。


 ヤダ。

 ヤダヤダヤダヤダ!!


「きゅうううう!!」


「え」

「なっ!?」

「きゃあ!」


 ミヤが大きな声で鳴くと、三人の体が吹き飛んで壁にぶつかった。

 何……?

 何が起きたの……? 


「ミヤ?」


「きゅーう!!」


 もう一回ミヤが鳴く。

 すると割れたガラスの一個一個が光り出し、カチャカチャと音を立てて元に戻っていった。

 スゴイ……。

 マナさんが言ってたけど、ミヤは魔獣なんだよね。

 だから魔法が使えるんだ。

 えっと、ボクより強い、かも。

 吹き飛ばされた人たちも、周りに人が集まってきたせいか逃げていっちゃった。


「……凄いね、ミヤ」


「きゅー!」


 

 でも、ミヤに負けたボクって……。


















USER NAME/片岡春臣かたおかはるおみ

LOGIN NAME/ハル

SEX/女?

PARTNER/ミヤ

LOGIN TIME/0050:25:18

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