016 新しいお友達?
「作りすぎたかな……」
音楽聴きながらやったせいか、なんか調子に乗って色々と作りすぎた。
どうにか試行錯誤を繰り返して餡子も作れちゃった。
これで和菓子も作れちゃう。
ってなワケで、羊羹とかも作ってみた訳です。
どうしようかな。
とりあえず、ミラさんのとこ行ってみようかな。
味見してほしいし、お店の制服とか内装とかについても相談したい。
「よーし!」
僕は作ったお菓子を箱に詰めて、身だしなみを整えて家を出た。
ミラさんの口に合うかな。あと、シグさんにも味見てもらいたいな。
色々と教えてもらったお礼もしたいしな。
◇
街へ出ると、昨日と同じように色んな人で溢れてる。
リアルタイムではもう夜だよな。
ってことは、僕みたいに学校帰りとか、仕事を終えた人たちがログインし始めているのかな?
まぁいいや。
そんなことより、まずはミラさんのお店に行かないと。
昨日と同じように街の中を進み、ミラさんのお店へと向かう。
暫くすると可愛い看板が目に入り、僕は迷わず着けたことに安堵しながらドアを開けた。
「ミーラさん!」
「あら、ハルちゃん。いらっしゃいませ」
相変わらずの巨乳。
僕はミラさんに作ったお菓子を渡し、昨日のお礼を言った。
「昨日は色々ありがとうございました。これ、お礼です」
「あらあら、わざわざ私に?」
「はい。よかったら味見してくれませんか?」
「ええ、いいわよ」
ミラさんはニコッと微笑んで、箱を開けた。
持ってきたのはフルーツゼリー。
羊羹は冷蔵庫に入れてある。
あれはまた後日、な。今日はまずこっちを試食してもらう。
さすがに食べ合わせ悪いじゃん。
ミラさんは一緒に箱に入れておいた小さな木のスプーンでゼリーを掬い、口へと運ぶ。
ど、どうかな。なんか緊張する。
初めてお菓子作ったときのこと思い出すかも。
「ど、どうですか?」
「うん、美味しい! 甘酸っぱくて、口当たりもスゴク良いわ」
「本当ですか!? よかったー」
ホッと胸を撫で下ろすと、お店の奥の方からガサッて物音がした。
反射的にその音がした方へ向くと、昨日はいなかった男の人が荷物を運んでる。
従業員の人かな……。
「ん? ああ、あの子は私の弟よ」
「え、弟?」
ってことは、あの人もNPCか。
彼の頭上を見ると、確かにこの世界の言葉で表記されてる。
えっと、名前は……。
「レスディー、こっち来なさい」
ミラさんに呼ばれ、レスディーさんが仏頂面でこっちに来た。
つか、身長デカ! 僕の頭二個分くらい差があるぞ!?
180、くらいはあるか?
無表情に赤い短髪って、なんかちょっと怖いかも。
「ハルちゃん。この子が私の弟のレスディー。気軽にレイって呼んであげて」
「は、はぁ……」
「で、こっちがハルちゃん。近々お店を開く予定だから、レイも手助けしてあげてね」
「……」
レイさんは黙ったまま、小さく頷いた。
無表情で無口。顔はカッコいいのに怖いって印象しかない。
ミラさんとは大違いだな。
お姉さんはこんなに愛想良いのに。
「そうだ、レイも一口どう? ハルちゃんが作ったスイーツ」
「……ん」
ミラさんがスプーンで掬ったゼリーを、レイさんが身を屈めて口にした。
仲の良い姉弟なんだな。
「ど、どどどどうですか?」
黙ったまま口をモグモグさせてる。
口に合わなかったのかな。大丈夫かな。
不味いもの食わすんじゃねーって怒られない? 大丈夫?
「あ、あの……」
「……」
「え?」
「美味い」
呟くように言って、レイさんは仕事に戻っていった。
声が小さかったけど、多分美味いって言ってくれた……よね?
しかも、ちょっと笑わなかった?
気のせい?
「あらら、レイったらハルちゃんのゼリー気に入ったのね」
「え、そうなんですか?!」
「ええ。あの子、感情が顔に出ないから分かりにくいかもしれないけど、相当嬉しそうだったわよ」
「そう、なんですか……」
そっか。
怖い人、ではないみたいだ。
そっか、そっかそっか。なんだ、安心した。
そうだよな。だってミラさんの弟なんだもんな。
悪い人なワケないよな。
「レイさんっていくつですか?
「レイ? 12歳よ」
「じゅうに!? 僕と同い年!?」
「あらそうだったの? じゃあ、友達になってあげてね」
「は、はい……」
いや、いやいや。
僕の成長期はこれからだし。まだまだ伸びるし。
まだ背の順で一番前だけど、きっとこれから伸びるもん。
……ログアウトしたら牛乳でも飲もうかな……。
USER NAME/片岡春臣
LOGIN NAME/ハル
SEX/女?
LOGIN TIME/0026:35:11




