014 お酒は大人になってから
「さて、と!」
僕は帰り際に買ってきた荷物をキッチンにあるテーブルの上に置いた。
このゲーム内の食材を色々と味見してみようと思って買ってきたんだ。
味が分からないことには調理しようがないもんな。
中にはモンスターからドロップしたヤツとかもあるみたいだけど、大丈夫だよな。うん。
ミラさんからオススメされたものばかりだし。
「まずは何から味見してみようかなぁ」
この果物から食べてみようかな。
八百屋みたいなところで見つけた、『パナル』って名前の真っ赤な果実。
見た目は大きめの葡萄みたい。
でも葡萄みたいに房になってるんじゃなくて、ちゃんと一つの実として生ってるんだって。
薄い皮を剥いてみる。
中身はピンク色で、葡萄って言うより林檎とかそんな感じの固さ。
「あーん」
噛むと、シャリって音がした。
そして口の中に甘酸っぱさが広がる。
どちらかと言えば、レモンに近いのかな。
甘みより酸味の方が強いかも。
うん。これは美味い。
そのままでもイケるし、煮詰めたりとかしても美味しいかも。
これでレモンパイっぽいのが作れそうだな。
「そんじゃ、次はこれ!」
これは蜂蜜みたいなのが入った小瓶。
色もキレイな琥珀色をしている。
やっぱり甘いのかな。
蓋を開けて、人差し指にちょこっとだけ蜜を付けて舐めてみる。
「んっ!?」
苦い!! メッチャ苦い!!
甘いと思ってたからビックリした。
これ、バニラエッセンスみたいだな。
香りは甘いし、これはこれで使えそう。
バニラとかそうしようかなって思ってたから、これは嬉しい収穫だ。
じゃあ、こっちの砂糖みたいなのはどうだろう。
調味料系も一通り買ってきたんだけど、使えるものはあるかな。
ベーキングパウダー的なモノとかもあるのかな。
今度ミラさんに訊いてみなくちゃ。
「こっちは何だろう。ちっちゃな瓶に入った飲み物……なのかな」
色んな種類の瓶が入った詰め合わせ的な箱。
その中から一本出して、蓋を開けてみた。
香りは葡萄みたい。ジュースかな。
匂いを嗅ぎながら、僕はそれを少しだけ飲んでみた。
「……あ、美味しい」
甘くて、飲みやすい。
なんだろう。果物の甘さがそのままジュースになったような、そんな感じ。
「……なんか、体熱くなってきた?」
なんか頭がふわふわしてきた。
何これ。気分良くなってきたかもー?
「もう一本、飲んじゃおうかなぁ」
こっちのオレンジ色の瓶は何味かなぁ
ちゃんと味見しないと、菓子作りに使えないもんな。
これは今後のためなんだ。大事なお仕事みたいなもんなんだ。
「んぐんぐ……ぷはぁー!」
これも美味しいー!
爽やかで、口当たりも最高だなぁ……!
メッチャ美味いー!!
「ふふ、うふふふーひっく」
なんか気持ちいいー。
このゲーム、最高じゃーん。
たーのしいーなぁー……。
…………ぐぅ。
USER NAME/片岡春臣
LOGIN NAME/ハル
SEX/女?
LOGIN TIME/0013:35:12