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Trans Sexual Online~のんびりほのぼのTS生活~  作者: an℟anju
第一章 ログイン開始
15/79

013 綺麗なお姉さん


 露店のおじさんに色々と教わった後、この街で雑貨店を開いてる知人を紹介してもらった。

 お店を持つなら、同じようにお店を経営してる人の話も聞いた方が良いだろうと。


 あの人、本当にいい人だったな。

 名前、聞いておけば良かった。

 ていうか、確か頭上に名前が表記されてるんだよな。僕の頭の上にも名前が出てるはず。

 さっきのおじさんは、名前のところが訳わかんない文字で書かれてたっけ。

 ああいうのは、何て言ったっけ。NPC?

 そう。ノンプレイヤーキャラ。

 つまり、あの人たちはゲーム内の人ってこと。僕みたいに誰かが操作してるって訳じゃない。

 えっと、カタカナで表記されてるのが普通のプレイヤーなんだよね。

 

 あ、あの人もプレイヤーなんだ。

 あ、今擦れ違った人もだ。

 って、ジロジロと見てたら失礼だよな。初心者丸出しじゃん。恥ずかしいよ、僕。


 えっと。

 さっき紹介されたお店は、噴水広場の近くだって言ってたっけ。

 看板に何とかって花の絵が描かれてるって言ってたけど、聞いたことない名前なんだけど。

 単に僕が疎いだけなのかな。


 あ、あった。あったあった! 多分あれだ。

 赤い花の絵が描かれてる看板がある。うわ、見た目も可愛いな。本当に街の雑貨屋さんって感じ。

 僕もお菓子屋さん開くなら、外観はこんな風にした方が良いよな。


 よし。

 こんな可愛いお店の人なら、きっと可愛らしい人なんだろう。安心して入ろう。


「こんにちわー」


 恐る恐る、僕は店のドアを開けて中を覗いた。

 内装も綺麗だ。

 棚も可愛く飾ってあるし、なんか小っちゃい小瓶とか並んでる。


 わぁ。なんか性別変わったせいなのか、気分まで女の子になっちゃった?

 可愛いものに心ときめく。


「あら、お客様? いらっしゃいませー」


「え、あ! あの……」


 出迎えてくれたのは、ふわふわのピンクの髪をした女の人。

 頭に花のコサージュの付いたカチューシャ。

 民族衣装とかにありそうなワンピースに、フリルのエプロン。

 そして、巨乳。

 すげぇ。僕も女になるんだったら、あれくらいの胸が欲しかったな。


「お客様?」


「あ、あの!! 僕、露店のおじさんに紹介されて……」


「露店の? ああ、もしかしてシグさんのことかしら」


 女の人はポンと手を叩いて答えた。

 あのおじさん、シグって言うのか。ちゃんと覚えておかないとな。

 この女性はなんて名前なんだろう。僕は彼女の頭上をチラッとだけ見た。

 あ、変な文字で表記されてる。ってことは、この人もNPC、ゲームの中の人なんだ。

 えーっと、名前は――。


「ミュゼラ・カテッツァ……さん?」


「あら。シグさんから聞いたの?」


「え? あ、は、はい!」


 そうか。こうやって名前が見えてるのは、僕らプレイヤーだけなんだ。

 ていうか、当たり前か。

 僕たちだって普段、現実の世界で頭の上に名前なんか出てないもんな。


「私のことはミラって呼んで。みんなからそう呼ばれてるから」


「ミラさん。ボクは、えっと、ハルです」


「ハルちゃんね。それで、私に何の用かしら? シグさんから紹介されたってことは、ただの買い物客ではないんでしょ?」


 ミラさんがニコッと笑いかけてくれた。

 可愛らしい人。だけど、なんていうか大人っぽい感じがある。

 なんていうんだろ。お姉さんって感じだな。

 いいなぁ、こういう柔らかい雰囲気。


「えっと。ボク、今度お店を開くつもりでいるんです」


「あらあら。どんなお店?」


「お菓子、とか……その、ケーキとか」


「まぁ、可愛らしい。良いんじゃないかしら。ガイアにはそういうお店少ないし、きっと受けると思うわよ」


「ガイア?」


 僕が首を傾げると、ミラさんがこの街の名前よって教えてくれた。

 この街は《商業都市ガイア》って言うんだって。

 そういうとこ、ちゃんと見てなかったな。

 もっと、この街のこと知らないとだよな。うん。


「ハルちゃん、もしかしてこの街は初めてなの?」


「えっと、はい。色々と教えて下さると嬉しいです」


「ええ、いいわよ。これから同業者になる訳だし、仲良くしましょ」


 良かった。この街、良い人ばっかりだな。

 さっきのシグさんといい、ミラさんといい、親切だよ。優しいよ。


「それで、ハルちゃん。お菓子ってどんなの作るの?」


「色々、です。洋菓子だけじゃなくて、和菓子とかも作ってみたいし」


「スイーツ専門店ってことね。食材はどこで調達するの?」


「自分で育てられるものは育てて、それ以外は業者とかに頼もうかなって」


「なるほど。それなら私も協力できそうね。うちはシグさん経由で色んなレアアイテムとかも置いてるし」


「そうなんですか?」


「ええ。シグさんは旅商人だから、他国との繋がりも結構あるのよ」


 あの人、そんなに凄い人だったんだ。

 意外だ。ただの商人だと思ってた。


「私を通してくれれば、結構格安で売ってあげるわよ」


「ありがとうございます!」


「いえいえ。ハルちゃんのお店が繁盛してくれれば、私の方も潤うからね」


 よし。よしよし!!

 あとは僕が美味い菓子を作れればいいんだよな。

 まだこのゲーム内で菓子作りをしていないから、どうなるか不安なところだけど。


 いや、弱気になるのはダメだ。

 大丈夫。上手くいく。


 僕はミラさんにお礼を言って、家に戻った。


 あ、リアルの方にはいつ帰ろうかな。

 ゲーム内での一年がリアルの一日ってことは、半年ここに居ても半日しか経っていないってことだよな。

 じゃあ、ある程度お店が上手くいくまでゲーム内にいようかな。

 まずはゲームに慣れたいし。


 うん。

 そうしよう。


 それにしても、ミラさん可愛い人だったな。


 あんなお姉さんいたら、幸せなんだろうなぁ……。


















USER NAME/片岡春臣かたおかはるおみ

LOGIN NAME/ハル

SEX/女?

LOGIN TIME/0010:51:59

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