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夏生詩集2

作者: 夏生

彼からタバコを奪う術はないものか

苦い煙をからだいっぱいに飲み込み

一部を吐き出す行為を止める術は

ないものか


やめるよ、と約束して一日も経たずに

タバコをくわえた


煙たいから、臭いから、汚いから

身体に悪いからやめてほしいのではない


苦い煙に身を任せて、そのうちに

消えしまうのではないか


滅に向かってゆっくりと堕ちていく

姿を見せつけられているようで


考えすぎだ、と彼は笑った

考えじゃなく、感じてしまった



彼と私の間に

煙が、細くたちのぼる

このけむりは生きているようで


私にあやしい笑みを見せて

彼を覆いつくしてしまう


彼は彼の時間を削る

私との時も削り落とす


痩せて小さくなっていく

私たちの時


彼は自ら命を絶とうと

しているの

私の前で堂々と


音もなくのぼってゆく

煙の行方を彼は

黙って追っていた







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