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空色は

作者: Bismarck
掲載日:2026/02/21

予知夢を見ることができる主人公のそらと同級生の彩葉によるロマンスを題材としております。

 たまに予知夢を見ることがある。

予知夢といっても日常で起こる些細な物事が夢になって現れる。といったものだ

しかし今日は違った。

事故の予知夢だ。

それは近所の交差点でトラックのよそ見運転に多数の人が巻き込まれるというものだった。

 

急いで家を飛び出した 。

例の信号に着くと僕は思考を巡らせた、どうすればあの未来を阻止できるのか。

そうこうしている内に遠目からあのトラックが走っているのが見えた。

焦りを覚えた僕はすぐさま大声で「トラックが来るぞ」と叫んだ。

ほとんどの人は立ち止まったが何人かは僕の声を無視して信号を渡ってしまった。


結局、事故は起きた。

 

その後、警察から事情聴取を受けたりしたが僕の頭はそれどころではなかった。

僕は深い後悔に襲われた。

どうすればあの事故を防げたのだろう。

もっと良い方法があったのではないか。

また、なぜ今回だけ事故の予知夢を見たのだろう、と。


次の日学校に行ったら事故の件で質問攻めにあった。

当然あの時の僕の行動は目立っていた。

もちろん、予知夢の話しなど信じてもらえないのでなんとかはぐらかした。

 

時が流れると、この話題はだんだん風化していった。

一人を除いて。

 

「そら一緒に帰ろう」

 

話しかけてきたのは同級生の彩葉いろは

彼女は特に、あの事故での僕の行動について聞いてきた。

どうやらあの時信号を渡ろうとしていたらしい。

 

「良いよ」


彼女は強引なところがあり、下手な言い訳をすると追及されるし、断る理由が見つからないので一緒に帰

ることになった。


「なんであの時トラックが来るって分かったの?」


何度目か分からないその問いに僕は少し辟易としていた。

昔、予知夢のことを親や友達に話したことがある。

しかし、もちろんそんな話しは誰にも信じてもらえなかった。

実際に証明しようとしたこともあるが、失敗に終わった。


「さぁ、もう忘れちゃった」


僕は冗談めかしてそう答えた


「そんな訳ないじゃない」


彩葉はそう言った


正直、何度も質問して来る彩葉に対して面倒と思っていることも確かだ。

でも僕は彩葉のことを避けられなかった。


「あの時そらがいなかったら多分トラックに轢かれてた」


彩葉は僕の行動について質問するのと同じくらいそう言っている。

あの事故については今も思うところがある

もっといい方法があったんじゃないかとか、また同じ様に人の命に関わる予知夢を見たらどうすれば良い?だとか。

そんな悩みが尽きない僕にとって、明確に自分で救うことができた彩葉の存在は大きかった。

今の自分を肯定してくれているような気がしたから。


今までの彩葉との帰り道は質問ばかりで、とても楽しいものではなかった。

しかし、今日は違った。

 

「そら、あそこのゲームセンター寄って行かない?」


彩葉がそんな事を言ってきた


「寄り道は校則違反だよ」

 

僕は自分で冷たいな、と思いつつそう返した


「知ってる」

 

彩葉はそういって僕の腕を強引に取っていった

それから、彩葉との帰り道はとても楽しいものに変わった。

校則違反であるはずの彩葉との寄り道は、僕にとって非日常をくれるものだった。

毎日のようにゲームセンターやカフェ、カラオケといった場所に寄って帰った。

彩葉はしばらくして、僕に事故の話しをしなくなった。


ある日彩葉が夢に出てきた。

特定の誰かが夢に現れることは初めてだった。

夢の内容は掴みどころのないものだった、というより思い出せない。

予知夢の内容を思い出せないことはなかったので不思議に思っていた。


僕は彩葉にその事を話した

 

「今日彩葉の夢を見たんだ、でも全然思い出せない」


すると彩葉は少し笑いながら「夢なんだから思い出せないに決まってるじゃない。それに私の夢を見るな

んてそらってもしかして私の事好きなの?」


僕は彩葉にこの話しをしたことを後悔しながら、夢は思い出せないものという一般の常識に気がついた

僕は普通の夢を見ることがなかったからすっかり忘れていた。

 

「そうだね」


勝手に口が開いた

 

その言葉を聞いた彩葉は、僕の返答が予想外だったのかいつもの余裕な態度を崩した。

僕は彩葉を見て自分の何気ない言葉の意味に気づき、慌てて訂正した。


その後、どこか気まずくなり学校でも彩葉を避けるようになった。

 

放課後の寄り道もなくなり、元の日常に戻った。

僕はなぜか寂しい気持ちになった。いや理由は分かっている。

彩葉との毎日が新しい日常になっていたのだ。

そして今の僕の状況からして彩葉に言われたことも恐らく図星だった。

しかしその事を認めたくなかった。

でもそんな僕の自尊心を守ることより、彩葉との日常の方が大切だと思った。

僕は勇気を出して、彩葉にこの事と予知夢の話しをする事にした。

それが彩葉に対する誠意だと思ったから。


その日の夜、また予知夢を見た。

工事中の鉄骨が落下し、彩葉が巻き込まれるという内容だった

 

僕はすぐさま家を飛び出し彩葉の家へ向かった。

家には彩葉の母親がおり、彩葉の居場所を聞いた。

僕は走りながらも、何故彼女の連絡先を聞いていなかったのか、だとか何故トラック事故の時後悔したの

に対策をしていなかっただとか、そのようなことを自問自答していた。

 

全力で走った結果、彩葉の後ろ姿が見えた。

僕はあの時と同じように大声で彩葉の名前を呼び、彩葉は振り返り僕の方を見た。

 

「こっちに来て!」


彩葉が困惑しながらもこっちに移動すると同時に鉄骨が落下した。


ガキーン!!

 

大きな音を立てて鉄骨が落下した。

僕はなんとか鉄骨が彩葉にあたる未来を変えることが出来た。

彩葉は驚いて座り込んでいた。

しばらくすると鉄骨の落下音を聞いた大人達がやってきて、交差点の時のように警察に事故の詳細を話す

ことになり、落ち着いた頃には夕方になっていた。

 

「ごめん」

 

僕は昨日から言おうと決意していたことばを彩葉に伝えた。

 

「本当の事言えなくて、ごめん」 

「避けちゃってごめん」


予知夢のこと、そして彩葉に対しての気持ちを包み隠さずに話した。

彩葉は黙って僕の話しを聞いていた。

 

「ありがとう2回も助けてくれて。」

 

僕がひと通り話し終えると彩葉は言った。

 

「信じてくれるの?」


「うん、本当の事言ってくれて嬉しい」

 

彩葉は笑顔でそう言った。

 

僕たちの間に沈黙が流れる。


「私も、からかうようなこといってごめんなさい」

「あなたの夢に私が出てきたって話し聞いて、少し浮かれてたの」

「私も、貴方のことが好き」


彩葉の顔は空に浮かぶ夕日の様に真っ赤だった。


その後、僕たちは付き合うことになった。

放課後の寄り道も復活し、新しい日常がまた始まった。

 

この作品のタイトルを考えた時、主人公のそらとヒロインの彩葉の名前から取ったら綺麗になるんじゃ?

というアイデアを思いつきました。

最後まで読んでいただき、本当にありがとう御座います。

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