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ダンジョン・イーツ! ~戦闘力ゼロの俺、スキル【絶対配送】でS級冒険者に「揚げたてコロッケ」を届けたら、世界中の英雄から崇拝されはじめた件~  作者: たくみ
最終章 東京ラビリンス/最後のデリバリー?編

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2:ダンジョン・プライムで毎日をもっと楽しく

 静まり返った銀座の街に、場違いなユーロビートと独特のエンジン音が轟いた。

 WRブルー・マイカに塗装されたスバル・サンバーが、アスファルトを蹴り飛ばして加速する。


 上空を飛ぶ『ダンジョン・プライム』のドローン群が、一斉にカメラアイを地上へ向けた。

 無機質な機械音声が、スピーカーから降り注ぐ。


『警告。警告。

 未登録の車両を検知。これより先のエリアは「特S級危険区域」に指定されています。

 直ちに停止し、引き返してください』


 運転席の藤瀬拓実は、いつものように眠たげな半開きの目で、ボソボソと呟いた。

「ドローン、気が散るな……」

 ギアを一段下げ、一気に加速する。

 

「おおっと!日々強化を続けるサンバーが、真の力をみせるぅ!!

 この絶望的な状況下、青い流星のごとく現れた一台のサンバー!

 上空からのAI包囲網に対し、どう切り抜けるのか!? 」

 拓実の口から、まるで他人事のような、解説がはいる。


「……たくみん、キャラ変わりすぎでござるよ……」

 助手席のアリスが呟く。


 サンバーの前に、ダンジョン化の影響で変異した街路樹『キラー・エルム』が襲いかかる。


 鞭のようにしなる枝が、フロントガラスを狙って振り下ろされる。


『警告…警告。衝突確率99.8%。回避不能』

 ダンジョンプライムのドローンが予測を弾き出す。

 だが、拓実は表情一つかえない。

「おっとぉ! ここでキラー・エルムの強烈な一撃だ!

 万事休すかと思われたその時――!


 見ろよあのステアリング捌き! サンバーは減速しない!

 あえてアスファルトの隆起にタイヤを引っかけ……み、溝落としだぁぁぁッ!!」

 ガコンッ!


 拓実の絶技、溝落としが決まる。

 車体は物理法則を無視したような挙動でイン側へ食い込み、振り下ろされた枝を紙一重で回避した。


「抜けたぁぁぁ! 枝との距離、わずか数ミリ!

 AIの計算を完全に凌駕している!


 しかも驚くべきは荷台だ! あの激しいGの中で、荷台に居る社長たちは、優雅にお茶しているぅぅ!!

 これぞ固有スキル【峠の配送神ダウンヒル・デリバリー】! 完璧な荷重制御だぁぁ!」

 荷台に乗っているレンとカグヤは、慣れているのか平然としている。


「……相変わらず、うるさいな……。でも五月蠅ければ五月蠅いほど速い。」

「そうね、たいしたものだわ。……とは言え……、上からの視線が鬱陶しいわね」

 カグヤが空を見上げ、指を鳴らす。S級探索者「氷姫」の魔法が発動する。


 『氷結封印アブソリュート・エグゼキュション


 カチンコチン、と乾いた音がして、執拗に追尾してくるドローンの一機が瞬時に凍りつき、バラバラと墜落した。


「……あとで修理代請求されないよな?

 よし、拓実この調子でたのむ」

「……了解しました」


 拓実は一瞬だけ素に戻って返事をしたが、すぐにまた実況モードに戻った。


「さあ、サンバーはさらに加速する! このままゴールまで独走か!?」


 だが、そう簡単にはいかなかった。

 芝公園の入り口付近。そこは、無数の巨大なつたと、倒壊したビルが複雑に絡み合い、完全に道を塞いでいた。


 車一台が通れる隙間すらない、密林の壁だ。

 キキッ!

「……あーっと、ここでストップだ!

 残念ながら、軽トラのボディサイズでは物理的に通過不可能!

 無念のリタイアかー!?」

 拓実は悔しそうにハンドルを叩いた。


「……ここまでのようですね。……あとは頼みます」

 レンが荷台から飛び降りた。


「上出来だ、拓実。ここまで最短で運んでくれた」

 

 ユウキが荷台から飛び降り、【鉄馬使い(アイアン・ジョッキー)】を使う。

 具現化する真紅のスーパーカブ。


「ユウキ! 頼むぞ!」

 ダンジョンイーツの元気印、ユウキがヘルメットのシールドを上げる。


「任せてください、先輩!

 拓実さんの走り、最高でした! ここからは、あたしとこいつが引き継ぎます!」

 ユウキがカブのハンドルを握りしめ、 ユウキの魔力がカブと一体化し、乗り物の性能を極限まで引き出す。

 そして、カブに繋がれた鈍く輝きを放つリアカー。


「お館様、カグヤ様! 早く乗るでござる!」

 アリスがリアカーにいち早く乗り込む。

「ええっ、ちょっと狭いわね? 定員オーバーじゃない?」

「そうだな…、アリスは拓実と待機だ」

「…えぇ……そんなぁ!!」


 準備は整った。

「行くぞ! ユウキ、アクセル全開だ!」

 スーパーカブが咆哮をあげる。


「行っけええええええ! 私のスーパーカブ!!」


 ブロロロロロ……ッ!

 強化されたスーパーカブが、ウイリーせんばかりの勢いで飛び出す。

 倒木をジャンプ台にして跳躍し、蔦の上を綱渡りのように駆け抜けていく。


 拓実はカブの走りを見つめ。いつもの眠たげな目に戻って呟いた。

「……いい走り……です。……実況しがいが……ありますね……」


 ダンジョンプライムのAIは、まだ気づいていない。

 四輪がダメなら二輪で走りをつなぐ、人間のしぶとさが、予測の枠を超え始めていることに。

◆◆◆◇◇◇◆◆◆


 読んでいただきありがとうございます。


 毎日更新予定です。ブックマークや、評価、応援して貰えると、モチベアップに繋がります。


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