表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・イーツ! ~戦闘力ゼロの俺、スキル【絶対配送】でS級冒険者に「揚げたてコロッケ」を届けたら、世界中の英雄から崇拝されはじめた件~  作者: たくみ
第六章 その配送、安物につき群雄割拠 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/72

7:カミングアウト

 東京湾沖合、第7封鎖プラント。


 そこは、巨大なドーナツ状の防壁に囲まれた、海上要塞だった。

 中央には、青白い光を放ちながら海面に浮遊するダンジョンゲートが鎮座している。


 周囲には海上自衛隊のイージス艦や、海上保安庁の大型巡視船が複数展開し、蟻一匹通さない警戒網を敷いていた。

 そのレーダーサイトが、突如として絶叫のような警報を鳴らした。


『正体不明の飛行物体、高速で接近! 』

『ミサイルか!? 迎撃用意!』


 護衛艦のCIC(戦闘指揮所)が色めき立つ。

 だが、光学モニターに映し出されたのは、ミサイルではなかった。

 氷の翼を広げ、天使のような美貌を持った、一人の女性だった。


『なっ……人間だと!?』

『あれは……S級冒険者、『氷姫』カグヤ!? なぜ彼女がここに!?』

 艦長の困惑をよそに、上空のカグヤは静かに手をかざした。


 彼女の目に、眼下の軍艦たちは「レンとの愛を邪魔する障害物」にしか見えていない。

「……凍りなさい」


 パキィィィィィィィィン!!


 世界が、白に染まった。

 荒れ狂う波が瞬時に凍結し、白銀の大地へと変わる。

 鋼鉄の護衛艦も、最新鋭の巡視船も、その船体ごと海に縫い止められ、砲塔までもが分厚い氷に覆われた。

 中の乗員たちは無事だが、システムは完全にダウン。船はただの鉄の棺桶と化した。


『う、動けん! スクリューが破損!』

『全火器使用不能! 魔法障壁、突破されました!』

 圧倒的な暴力。

 たった一人の魔女によって、日本最高峰の防衛網が無力化されたのだ。


 その隙を突くように、彼方の水平線から、黒煙を上げた船団が現れた。

 H&Lロジのマークが入った、改造大型タグボートの群れだ。

 それらは凍りついた海域を、カグヤが開けた水路を通って侵入し、無防備になったプラントの中心部――『浮遊型ゲート』へと到着した。


『ヒャッハー! 自衛隊がカカシみたいだぜぇ!』

『ゲートにワイヤーを撃ち込め! お宝を頂くぞ!』


 ドシュッ、ドシュッ!

 太いワイヤーアンカーがゲートの支柱に次々と打ち込まれる。

 数隻のタグボートがエンジンを全開にし、黒煙を吐き出す。

 ズズズ……と、巨大な異界への入り口が動き出した。



直後、モニターに映し出されたニュース映像は、絶望的なものだった。

 東京湾沖合の海上要塞が、一瞬にして氷漬けにされたのだ。

 そして、H&Lロジの船団が、巨大な『ゲート』にワイヤーを打ち込み、東京へ向かって牽引を始めている。


「……あのサイズ…配送不可…」

 拓実が呟く。

「……でも、あのゲート何に使うんですか?」

 ユウキは首をコテンと傾ける。


「政府は、ダンジョンゲートの研究をしていた。ゲートを使い行く先を自由に操作しようとしていた。


 お前らがゲートに差し込んだ、ゲートストーンを操作することで、任意の場所に繋げる事が可能になった。


 H&Lは、でかい穴をつくりスタンピードを起こすと言っていた。ダンジョンゲートをでかい穴にするんだとしたら……」


「ダンジョンゲートからモンスターが溢れだして、東京はモンスターまみれ……、そ、そんな事無理ですよね!?先輩!!」

 ユウキは、真っ青な顔で俺に掴みかかってくる。


「ユウキ!落ち着け!!」

 どうすればいい?!一体どうしたら……


 大門が無線機を掴み、怒鳴るように叫んだ。

「総員に通達! 緊急事態発生コード・レッド

 対象は『浮遊型ゲート』! 阻止限界点は隅田川・H&Lロジ倉庫!

 大和運輸の全戦力を投入しても止めろ! これは配送じゃない、戦争だ!」

『りょ、了解! しかし相手は海上です! 陸路からは手出しが……!』


「だ、大門さん…大和運輸って運送会社じゃないんですか?」

「ダンジョンに関わる大手の会社は、国から不測の事態が起こった場合の対処をする義務がある。

 大和運輸にも、強力な警備部門が存在している。」


 レンはカグヤが消えた空を睨んだ。

「……人任せにできるかよ。カグヤを止めるのは俺の役目だ。あいつは、バカみたいに強いくせに、戦い以外の事は全く駄目だ。

 洗い物をすれば、皿を割る。料理をすれば、異臭騒動がおこる!」


「「「え?!」」」


「でも、あいつは常に一生懸命なんだ!

 いつも俺の事を考えてくれて……たしかに、俺の体をマッサージすると言って、骨を数本砕かれたり、窓掃除をすれば、窓が摩擦で消失したりはするが……


 あいつの全てを受け入れられるのは、俺だけなんだ!

 行くぞみんな! ターゲットは東京湾上!

 これがダンジョンイーツ、最大のミッションだ!」

「「「お、おーーー!!!」」」


 大門が振り返る。心なしか大門の俺を見る目に優しさを感じる。

「レン殿! 気持ちは分かるが、どうやって追う!?

 我々の装甲トラックでも、海の上は走れんぞ!」


 その問いに、拓実が静かに立ち上がった。

 彼はポケットから、いつものキーを取り出し、ニヤリと笑った。


「……問題ありません。

 俺のサンバーは、まだ『本気』を出してませんから」

「なんだと?」

「……アリスさん。例の『オプションパーツ』、使いますよ」

 アリスが耳をピクリと動かし、ニカッと笑った。


「お任せくだされ! ついにアレを使うときがが来たでござるな!

 強襲揚陸仕様『ウルトラ・サンバー・マリンカスタム』! 出撃でござる!」

◆◆◆◇◇◇◆◆◆


 読んでいただきありがとうございます。


 毎日更新予定です。ブックマークや、評価、応援して貰えると、モチベアップに繋がります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ