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異能が現実のものとなったこの街の片隅で。  作者: 松葉天佑


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碧君

 バーギルドの営業を終えて帰路についた本宮一番と峯桜。帰宅時の2人のお決まりはそう、近所のコンビニでの買い食い。ホットスナックやらおにぎりやら、はたまたちょうど今の時期、夏に差し掛かればアイスとか。毎日2品という縛りを科して彼らはお買い物を楽しむのだ。とは言っても流石に毎日コンビニに通っていれば買う品も偏ってくるもの。本宮もその例に漏れず。


「バンちゃんまたチキンですか。ここ1週間ずっとでしょ」


「だって美味いじゃん。あと、辛いのと普通の交互に買ってるんだぜ?一応」


「気休めにしかなってないですよ。本当に一応でしかない」


「そういう峯ちゃんも野菜スティックばっかじゃねーか。たまには脂っこいものとか食べたくなんねーの?」


「私は健康志向なんです。バンちゃんみたいな偏った食生活送って、悲惨な末路を辿りたくないんです」


「なんだよ悲惨な末路って。人生は細く長くよりも太く短くの方が楽しいだろうがよ」


 とまあ決まってこんな言い合いをする2人なのだが、そんな彼らの目にある男の姿が映り込んだ。


「なんだあれ、酔っ払いか?」


「多分」


 彼らの視線の先に居る者、それは車止めポールに熱いハグをキメて、何ともまあみっともない姿をしている。こういう輩には関わらないのがどう考えても吉なのだが、何でも屋としての意地が本宮を許さない。彼は酔っ払いと思われる男に歩み寄る。


「お兄さーん、そんなところに居たら危ないっすよー」


「えー、まじっすか」


 彼の行動に呆れ果てる峯だが、本宮は止めたところで話を聞かないということも彼女自身はよく理解している。仕方なく2人の元へ歩を進めると、峯は酔っ払いの顔に見覚えがあることに気がついた。


「………あれ、碧君?」


「は?アオイ?」


「ほら、“死神とJD”に出てた、」


「いや、俺ドラマ観ないからさ。つーかこの兄ちゃんこんな体勢で寝てんのか?」


「あのー!燕碧君ですよねー?」


 どうやら“燕碧”というらしい彼はアイドル。切れ長の目に薄らとメイクが施された白い肌。俗に言うメイク男子というやつである。とは言え今は見る影も無い程に情けない様をしているのだが。


「………?今何時ですかあ?」


「朝5時だよ。ここにいちゃ危ないから、立てるかい?」


 何とか目を覚まし、意識レベルもまあ正常に近い様子。本宮の手を借り立ち上がると、彼は大きな欠伸をした。


「しかしこんな所で潰れる程呑んでたのはいただけねえぜ。ちゃんと帰れるかい?」


「ご心配無くー。それよりも、お兄さん達時間ありませんかー?最近俺全然良いこと無くて。ちょっと愚痴に付き合ってくださいよー」


「そういうことなら勿論良いぜ!俺バーやってるからさ、そこで話聞かせてくれよ」


 本宮即答。もとより依頼なんてろくに入ってこない名ばかりの何でも屋だ。ただ愚痴を聞くというのも彼にとっては新鮮なものなのだろう。報酬が得られるかは別として、とにかく彼は新たな頼まれごとということで随分と目を輝かせている。


「え、戻るんですか。せっかくコンビニまで寄ったのに」


「当たり前だ。これこそが何でも屋の仕事だからな」


 そう言って彼は燕をバーギルドへと案内する。こうして彼らは新たな1日の幕開けを迎えることとなった。

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