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異能が現実のものとなったこの街の片隅で。  作者: 松葉天佑


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バー・ギルド

「なあ、なんかいい依頼はないか?」


「無いにきまってるでしょ。金が欲しいんだったら素直に働いた方が早いですって」


 6月の某日、夕陽も届かぬ暗がりのバーにて作戦会議中の2人。


「身も蓋も無いこと言うなよ。誰もが一度は思い描く、そんな夢を叶えようとしてる俺にあまりに酷だろ」


「夢を見る年齢ですかっての。だいたい、何でも屋なんて名ばかりで方針すら定まってないのに、形として成り立つ訳無いじゃないですか」


「さっきからなんなんだよグサグサと刺してくるなあ。峯ちゃんだって何でも屋のメンバーなんだぞ?」


「バーの手伝いこそやってますけど、バンちゃんの何でも屋まで付き合うとは言った記憶無いですよ」


 ―――先では作戦会議中と言ったものの、どうやら話は良い方向に進んでいない様子である。

まあこのやりとりを耳にするだけでおおよそ把握できる。

 夢を追う男とそれを諭す女、そういう構図だ。

 やれやれ、女性って生き物は現実的でつまらないよな。だが現実から目を背けて生きてきた者の末路というものは、大概見るに堪えないものだ。

 そう考えるとやはり、物事は現実的に見なくてはならない。そう思わされる。


 とまあそんなことは置いておきここで一つ、人物紹介へと移らせていただこう。

まず“峯ちゃん”に言いたい放題言われてヘソを曲げているのが、何でも屋兼バーギルドのオーナー、バンちゃんこと本宮一番。27歳。

 赤髪のアップバングが特徴の一見チャラついた印象を感じさせる男。

 現在彼女募集中でタイプは歳上の黒髪ロングだそう。


 そしてそんな“バンちゃん”に臆する事なくズバズバとモノを言っているのが峯ちゃんこと峯桜。

毛先にかけて黒から青へとグラデーションのかかった髪と、顔の至る所に付いたピアスが特徴的なダウナー系の女性、25歳。

 現在はフリーターとして本宮のバーをはじめ、結構突拍子もない仕事も引き受けてたりしている。

 彼女のバイト歴はもう、履歴書には書ききれない程だが、一番印象に残っているのはメイド喫茶だそう。僅か一週間で辞めてしまったようだが。


「とにかく、稼ぎたいならお昼営業とかした方がいいですよ。昼はランチ、夜はバーをやってるなんてお店もたくさんあるでしょ?」


「やだ、俺何でも屋やりたい」


「ガキですかっての。だいたい何でも屋なんてアニメや漫画の影響受け過ぎ。いい大人が恥ずかしい」


「お前言っていいことと悪いことがあるだろ!!」


 そんなこんなで話は平行線を行っていたのだが。


 チャリンチャリン―――


 バーギルドに鈴の音が鳴り響く。


 いがみ合う2人がバー入り口の方へと目をやると、1人の小柄な女性が立っていた。


 仁王立ちで。


「どうしたの那須ちゃん、もう学校は終わったのかい」


「その言い方、さも私が学生みたいに思えてくるからやめて」


 那須ちゃんと呼ばれるこの女性は那須桃葉。高校の教師を務めている。ちなみに年齢は26歳、本宮からすれば後輩、そして峯の先輩にあたる。


「お疲れ様ですももちゃんパイセン!」


 そう言って手の甲をおでこにくっつけて、随分と不恰好な敬礼をする峯。

まあこういう慕われ方もまたひとつなのかもしれない。


「峯ちゃん今日も説得お疲れ様だねー」


「そうなんですよ〜バンちゃん全然言うこと聞かなくて〜」


「おいおい、俺が駄々こねてるみたいな言い方すんなよ」


 那須と峯の会話にまた機嫌を損ねた様子の本宮だったが、


「でもね、今日は本宮さんにグッドニュースがあるんだよ」


 ――――?


「依頼持ってきた。と言っても依頼者は私なんだけど」


「マジで!?」


 那須の言葉を聞き目をキラキラと輝かせる本宮に、


「マジマジ。で、早速依頼内容なんだけど、」


 彼女は一歩二歩と店内へ進みカウンター席に腰をかける。


「二名の自立更生を促してほしいんだよね」

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