沈黙の空(内戦国の前線)
爆音が止んだ。 戦場にいた少年は銃を構えた姿勢のまま動かなくなった世界に、ただ立ち尽くす。
空は青く、雲は静止し、鳥すら止まっていた。 「これは……夢?」 周囲には敵兵も味方もいたが、誰一人として動かない。 銃を構えたまま、心臓の音だけが自分の中で響く。
彼はポケットから取り出した破れたサンダルに目をやる。
それは弟のものだった。 半年前、同じ村で遊んでいた弟。ある日、彼の目の前で地雷に触れて、動けなくなった。 それから、彼の時間は止まった。
復讐のためか、大きな流れに身を任せ少年兵になった。
「なんで、こんなことに……」
静止した世界の中で、少年は銃をゆっくりと地面に置いた。
代わりに、地面の石を拾い、投げた。それは空中で止まり、落ちることはなかった。
彼は空を見上げた。太陽はまぶしく、雲がゆっくり流れている──ようで、まったく動かない。
地面に横たわった。
涙が頬を伝う。
こんなにも静かな世界があるのか。
「このままずっと止まっていてくれたら……」 そう思った。
その3分間、少年はただの子どもだった。
兵士でもなく、敵味方もなく、ただひとりの少年だった。
3分後、世界が音を取り戻すと同時に、少年は立ち上がった。 もう銃は持たなかった。
その背中には、小さな覚悟が宿っていた。
その日、世界は3分間だけ止まった。