08
「班、離れちゃったね。」
「また一緒になる方が珍しいでしょ。2ヶ月も隣だったんだし。」
相変わらずの反応だなぁ。しかも心の底からそう思ってるし……
私は聞こえないように、小さくため息をついた。
「あっ、でも、校外学習は楽しみだよね!
国会議事堂に入れるの、生きてる内で最初で最後かもしれないし。」
「教室では、そんなに楽しみにしてる感じじゃなかったけど。」
「それは……まぁね。」
無田君、鋭いなぁ。
だって私って、行事とかではしゃぐタイプだと思われてないし。
印象を崩すのも……ね。
「無田君はどうなの?楽しみじゃないの?」
何気なく聞いた一言だったんだけど、一瞬彼の表情が曇ったような気がした。
でも、次の瞬間には、いつもの無表情……気のせいかな?
「別に……国会、行ったことあるし。」
「えっ!?」
「父さん、国会議員なんだ。」
「えーっ!?」
国会議員の息子さんだったんですか!?
あれ、そういえば……
「今年、いつもと行程を変えて、議員さんが食事するところでお昼食べるって言ってたけど、もしかして……」
「多分、うちの父親が理由だと思うよ。」
「ほぇー。」
私って驚きすぎると、こんな変な声が出るんだ……新しい自分発見だ。
だってさ、国会議員だよ!選挙に出てるんだよ!!法律とか決めちゃうんだよ!!!
そこからは質問攻め。
「いつからなの?」とか、「衆参どっちの議員さんなの?」とか、「なんで国会に行ったことあるの?」とか。
後から思えば無田君、ちょっと嫌そうな顔をしてたような気がするけど、その時の私はそれどころじゃなかった。
「じゃあさ、国会の中、色々教えてよ。見学する時は出席番号順だから、きっと隣同士だし。」
無言……何か考えてるのかな?
でも、心の声は聞こえないし……聞いてなかったとか?
私がもう一度同じことをお願いしようと口を開きかけたその時……
「そんなに教えられることはないと思うけど……いいよ。」
絶対に渋々だけど、了承してくれた。
『やった!』と心の中でガッツポーズをしながら、青々とした桜の葉の下を、軽い足取りで進んで行った。




