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心の声が聞こえる私は、心のない彼に恋をする  作者: 茶々丸
最終章 心の声が聞こえる私は、心のない彼に恋をする
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「卒業証書授与。6年1組、朝田美月!」


「はい!!私は……」


3月17日、卒業式。

私達は6年間通った学舎に別れを告げ、新たな場所へ飛び立つ。輝かしい未来を信じて。


「東堂凛花!」


「はい!!中学校でも……」


最後まで自分の言葉を言い切った私は、くるっと方向転換し、式台へ。もう何も考えなくても体が覚えてる。


あとは……頑張って!!



「無田月斗!」


「はい!特別じゃなくても、自分らしく進んでいきます!」



彼の言葉の意味をちゃんと理解できた人は、きっとほとんどいない。


でも、それでいいんだ。

わかる人に伝われば、それで……



卒業証書を受け取りながら、心の中で拍手を送った。


よく頑張ったね、月斗君。





「はい、撮るよー。こっち向いてー!はい、ポーズ!!」


いろんな方向からカメラを向けられ、なんだかモデルになった気分。


卒業式も無事終わり、恒例の写真撮影タイム。あまり仲が良くなくても、関わりが少なくても、この時だけは全部忘れて、笑顔でいられる。そんな幸せな時間。

あの朝田さんとすら、写真を撮ったんだから。この時ばかりは、心の声も明るいものしか聞こえてこなかった。


担任の先生とも撮り終え、はじの方で一息ついていると将斗君が声をかけてきた。


「なぁ凛花、月斗のやつ知らない?」


「ううん、見てないけど……」


「まじか……あいつ帰りやがったな。」


周りを見渡しても、彼の姿はない。

1年間、あんなに一緒に過ごしたのに、最後はあまりにもあっけなくて……


さみしい気持ちを押し殺して、笑顔を作った。でも、将斗君にはばればれで……


「凛花、今ならまだ追いつけるかもしれない。行ってこいよ。」


「いや、でもお父さんとお母さんも待ってるし……それに、月斗君とは中学校でも会えるから。」



永遠の別れじゃない。会おうと思えば、いつでも会えるし。


だから……だから………



「行ってきな。」


「……ありがとう、将斗君。」


私はいつの間にか走り出していた。走りながらお母さんに、『いつもと同じように帰りたい。一緒に帰れなくてごめん。』とメッセージを送る。整えられた制服がどんどん乱れていくけど、気にしない。



確かに中学生になればまた会える。帰り道だってきっと一緒だ。またきっと、この並木道を一緒に歩くことができる。


でも……でも!!

小学生として、この道を一緒に歩けるのは今日が最後だから。


だから……会いたい。お願い……神様!!




リーン。


風に吹かれ、鈴の音が響く。

花びらが舞い上がる中、その先にいたのは……




「はぁ、はぁ……月斗君……」


「東堂……さん?」



ちゃんと……会えた。

伝えたいこと、いっぱいあるんだ。



「一緒に帰ろ!!」



今度は2つの鈴の音が言葉を交わすように鳴った。


桜の花は、満開だ。





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