14
私の家から更に10分ほど歩いたところに、市営の図書館がある。学校の近くにもう一つ図書館があるので、こっちを使う人はほとんどいない。
私が入口のベンチでくつろいでいると、2人の男の子がこっちに向かってくる……2人!?
「こんにちは。」
「おっす!凛花、早いね!」
「こんにちは。私もさっき着いたばっかりだよ。」
将斗君の登場に驚く私を見て、
『月斗、俺がいること言ってなかっただろ!』
と無田君をにらみつける。
でも、無田君はどこ吹く風で、「暑いから早く入ろう。」とさっさと入場手続き。
「なんか……ごめん。」
「いやいや、2人より3人でやった方が早く終わるだろうし、大歓迎だよ!」
「それならよかった。月斗行っちゃったし、俺達も早く行こう!」
表情が一気に晴れやかになった彼に、私も笑顔を向ける。
今日は大変な日になりそうだ。
「将斗君、また間違ってるよ。」
「将斗、集中しろよ。」
明らかに集中力を欠いた将斗君に声をかける。
それもそのはず、彼の心の声はというと……
『凛花、今日もかわいいなぁ。』
『凛花に勉強教えてもらえるなんて、幸せすぎる。』
『凛花って好きな人いるのかな?もしかして付き合ってる人とかいる?そしたら落ち込むわ……』
と、ずっとこんな感じ。一生懸命態度には出さないようにしてるけど、そわそわしてるの丸わかりだよ……
将斗君は、4年生くらいからずっと私に想いを寄せてくれてる。
好きって思ってくれることは嬉しい。
でも、友達としては好きだけど、恋愛目線では見れなくて……
どうすればいいか分からなかったから、今まで距離をとってきたんだけど……
「やっと終わったー!!」
3時間かけてようやく目標達成。
ほとんど将斗君に教えてたような気がするけど。
無田君に理科のこと、もっと聞きたかったんだけどなぁ。なんて思っていたら、急に無田君が立ち上がる。
「トイレ行ってくる。」
そして残された私と将斗君。
無田君と2人きりの時とは違う、気まずい沈黙が流れる。
『言わなきゃ、言わなきゃ、言わなきゃ……』
何を言われるの?
心の声にビクビクしながら、ついに耐えきれなくなった私が席を立とうとしたと同時に、将斗君が口を開いた。
「それじゃあ、凛花、月斗、またなー。」
「うん、またね。」「またなー。」
将斗君はこれからサッカーの習い事があるということで、自転車で足早に去っていった。
私達は、いつもと同じように並木道を歩き出す。
「どうするの?お祭り、将斗と一緒に行くの?」
「えっと……どこまで知ってるのかな?」
「全部。」
今回の勉強会、主催はやっぱり将斗君だったらしい。
私も聞かなかったのが悪いけど……
無田君に誘われた時、結構嬉しかったんだけどなぁ……
ちなみに夏祭りというのは、8月の上旬に、この並木道で行われる大きなお祭りのこと。
うちの学校の子達は、ほとんど全員参加するので、そこに男女2人でくり出すということは……まぁ、そういうことだ。
「それでどうするの?将斗の気持ち、知ってるんでしょ?」
こんなに聞いてくるってことは、将斗君からの依頼なんだろうけど……
今回の件については、彼にあんまり話したくなくて、
「わかんない。」
と一言返すだけだった。




