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天才錬金術師が作ったドローンは神がかっている

※本日二話目です。

 あれから数日が過ぎ、蒔いた種は確実に芽吹き大陸中に広がっていった。王家に対する疑念や不信感があちこちで膨れ上がっているようだ。


 国王はそれを払拭させようと神官や騎士を集め遠征部隊を編成し始めた。




「行くって言ってないけど?」

「衣食住を提供しているのだ、聖女の義務を果たせ!」

「勝手に呼んだんだから提供するのがそっちの義務でしょう?」

「このままだと暴動が起きるかもしれないのだぞ! 聖女だからって巻き込まれないと言う保証はどこにも無い!」


 その時は瞬間移動で逃げますけど?


「その暴動の原因だって自分で蒔いた種でしょうに」

「何だと!? だいたい貴様がルシファーの誕生日を声にしなければ……」

「責任転嫁しないで貰えます? 真実を隠すからこうなったんでしょう?」

「黙れ! いくら聖女でも不敬は許さんぞ!」


 出た。伝家の宝刀、不敬罪(笑)


「許さなければ何? 処刑でもしますか? 国王陛下?」

「貴様ーー!!」


 顔を真っ赤にして怒る国王と口を挟めない臣下たち。いつもなら王妃が口出ししてくるのに、あの日以来自室に籠っているらしい。


「アナタたちはおかしいと思わないの? 王子の誕生はいくら命の危険があったからって隠す必要無いでしょう? 他に隠す理由があるって思うじゃない?」

「だからそれは国民に悲しみを植え付けてしまうからだと言っているだろう!」

「それにしては三ヶ月も隠す必要ある? お披露目された王子は福福と育っていたって聞いたわよ?」

「……何が言いたい!」


 その言葉、待ってました。


「当時の王子と聖女が結婚前に一線を越えてしまった……そこまでは良しとしましょう」

「違うと言っている!」

「黙って聞いて下さい、陛下。愛し合う二人が結ばれるのは自然な事です。だけど王子には優秀な婚約者が居た……不貞になりますね?」

「違う!」

「そうこうしている内に聖女は妊娠した」

「まだ言うか! 事実無根だ!」

「婚約者……邪魔になるわね?」

「あやつは要らぬ嫉妬をして自滅しただけだ!」

「悪魔を召喚したんだっけ?」

「そうだ! あやつの侍女が証言した」

「でも、他の使用人は何も知らなかったらしいわよ? あり得る?」

「ぐっ……」


 国王が歯がみして睨み付けてくる。いくら睨んだって許さないわよ!


「そろそろ止めとけ、お嬢」

「アジトに行く時間っすよ」

「もうちょっと言葉の殴り合い見たかったなぁ」

「一方的にお嬢が殴っているだけだけどな」


 イーサンから革命軍のアジトへ来て欲しいとローラン経由で連絡が来て、これからこっそり抜け出す予定だ。

 この前のように攫われたと疑われないようにオーウェンと相性の悪い司に留守番させて誤魔化すつもりだ。


「兎に角、私は自分の意志でしか動かないから! 命令しないでよね!」

「ぐぬううぅ……勝手にしろ!」






「凄い! もう出来たの!?」

「アタクシを誰だと思っているのです? 世界一の錬金術師ですよ?」

「頼りになる~兄さん!」

「もっと褒めなさい」


 アジトへ行くとマシンガンとドローンが出来上がっていた。マシンガンは女性も使えるように本来の物より軽量化されていて威力も抑えられている。

 ドローンは瘴気を感知するセンサーが搭載されている上に、散布する物質を充填すればその物質を無限に作り出せる神がかりな構造になっているらしい。ただ、神力の粒子を再現できるか試してみなければ分からないがイーサンが作ったものなら大丈夫だろう。


「じゃあ、聖なる武器を作成するか……だからオーウェン、後ろから抱きつくのやめて」

「あの子豚が居ない時でないとイチャコラ出来ないからな。今の内に堪能しないと……」

「肘鉄食らいたい?」

「う~ん。どうしよう?」

「悩むな! 離れて!」


 それでも離れないオーウェンを隼人と咲夜が引き剥がしてくれて私はドローンをひとつ手に取った。

 ドローンは内部に空洞があり、そこに粒子を入れ蓋をする。起動スイッチを押せば四つのプロペラが回り出し空中に浮かんだ。


「取り敢えず、聖なる武器が作れるか試してみよう!」


 ズラリと並べられたマシンガンの上をドローンが旋回しながら粒子を撒く。するとマシンガンが黄金色に輝きだした。


「大丈夫そうだね?」

「今度は本物の瘴気と魔物で試してみましょう。問題が無ければ来週にでも浄化に向かえるでしょう」

「了解、兄さん。後はアイツ等の断罪ね!」


 王妃は引き籠り、国王は苛立ちを隠せないでいる。あと一歩、決定的な何かを犯罪の証拠として提示できれば粛清出来るのに。


「せめて前世の私たち三人の汚名だけでも注ぎたいわ」

「俺は面目上リーナ様の御父上に殺された事になっているっすから」

「じゃあ、お父様の無実を証明しなきゃね」

「身元不明のご遺体の結婚指輪に魔法登録がなされていなかったら今も旦那様の起こした襲撃事件だと思っていたかもしれませんね」


 悲痛な顔のトーマスの言葉に心が抉られる。遠い西の大陸で家族と離れ頑張って仕事をしていたリーナの父親。そんな見知らぬ土地で訳も分からず殺されてしまった。どんなに無念だっただろうか? 今はもうあまり記憶はないけれど、イーサンの話ではリーナは溺愛されていたらしい。


「アタクシも研究所に居なかったら無事ではなかったのでしょうね」

「その通りよ、兄さん! だから心を痛める必要はないの! 兄さんは生まれ変わった私を助ける為に生き残ったのよ!」

「そしてリナは俺の嫁になる為に生まれ変わったんだな!」

「何でそうなる?」

「子供は三人で良いな」

「人の話を聞け!」



 その後、十台あるドローンに粒子を入れ一週間後に集まる約束をして王宮に戻った。王宮の部屋では司が大いびきで寝ていて何故か私そっくりな人形を抱き締めていた。


「ちょっと司、起きなさい! この人形はなに!?」

「ふへっ? ああ莉奈ちんお帰り~」

「お帰りじゃないわよ! この気持ち悪い人形は何なのよ!」


 私は司が抱いている私そっくりな人形を指差し問い詰める。


「みんな居るふりをする為に作った莉奈ちん人形だよ? 大丈夫! 変な事には使って無いから!」

「当たり前だ! クソブタ!」

「何かしてたら朝日を拝めないっすよ?」

「何もしてないって! 隼人と咲夜人形もちゃんと抱き合ってお昼寝しているからね?」

「ああ?」

「何と抱き合って……?」


 急いで隣の寝室に駆け込んだ二人の悲痛な叫びが轟いた。


「人形とは言え地獄絵図だわ」

「僕だけ置いていった罰だよ」

「えげつない」



 この時の私は知る由も無かった。


 この後起こる後味の悪い悲劇と世界滅亡の危機を…………。



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