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アナタは神を信じますか? 

「ちょっと? そこのお前! 莉奈ちんから離れろ!」

「うるせぇ子豚! お前こそ俺の嫁にくっつくな!」


 今、革命軍のアジトの会議所には召喚された四人とイーサン、オーウェン、それからオーウェンの父親でジルベルの息子のラグナス、オーウェンの母親でリアムの姉のラアラ、そして革命軍の主要メンバー数人が集まっている。主要メンバーのひとりにロッサム家の執事だったトーマスが居た。


 最初は私たちがこの世界で生きていた転生者だと言う事を信じず警戒していたオーウェンの両親だったけれど、隼人と咲夜が其々の元家族と話し合った結果、涙を流して再会を喜んだ。

 まあその後、二人の最期を聞いて王家に対する憎悪が増したともいえるけど。


「子豚じゃないもんね! イケメンになーれ! どやぁ!」

「うわっ! お前魔力持ちか!? それより俺の嫁の前でズボン脱ぐんじゃねーよ!」

「キャーー! 見ないでーー!」

「もう! 話し合いが進まないから二人共私から離れなさい!」


 オーウェンは両親に、司は隼人と咲夜に引き摺られ部屋の隅に正座させられた。すぐ横に座ったイーサンから「先ずはあの子豚を消して、オーウェンは他国のアジトに移しましょう」と言う呟きが聞こえてきた。



 私は前世で受けた屈辱的な最期を革命軍のメンバーに話した。シンと静まり返る中、最初に声を発したのはオーウェンの父、ラグナスだった。


「リナ様の話を整理すると、リーナ様は冤罪を掛けられた上、看守から言葉にするのもはばかれる屈辱を受けた挙句処刑された。それを指示したのは現国王と言うことですね?」

「ええ。リーナは準王族として毎月魔道具での精密な健康診断を受けていたからね。受胎しやすい日が分かりやすかったんでしょう」

「忘れもしません。あの日、いきなりロッサム邸に王宮の騎士が押しいってきてリーナお嬢様を捕縛していきました。私は不当な扱いを城に訴えましたが既に刑は決まっていると相手にしてくれませんでした」

「アタクシが居れば……止められたのに……」

「兄さんが居たら城ごと消し炭になる魔道具とか作ってそう」

「既にありますよ」

「あるんだ」

「リーダー! 今直ぐその魔道具を貸してくれ! 俺の嫁の仇をとってくる!」

「絶対止めてオーウェン! 消し炭にするのは今じゃ無いから! 後『俺の嫁』じゃない!」

「分かった。未来の嫁」

「分かって無いな!」


 オーウェンの両親が両脇からパコンと履物でオーウェンの頭を叩いてた。それを見た司がケラケラ笑って同じく両脇の隼人と咲夜に叩かれている。


「リーナが犠牲になったのは王太子の婚約者と言う地位に居たからです。何の欠点も無い完璧なリーナを婚約者の座から下ろすにはそれなりの理由をつけなければ世間が許さない」

「冤罪で処刑されると分かっていたならサッサと婚約解消したのに」

「そうまでした理由が現王妃の妊娠か」

「リアムに襲われたと思い込んだ王子が危機感を持ったから、やっちゃったんだね」

「何の危機感だよ! あのクソ野郎共、絶対許さねえ!」


 リアムの姉のアリアさんの話では、リアムが処刑された翌日ハイアット一族は神殿から追い出されたそうだ。神に仕える神官だと言うのに神の使いである聖女を穢そうとした。その一族が神殿に出入りする事を許す事があってはならないと言い渡されたそうだ。

 リアムに限ってありえないと思いつつもどうする事も出来ず、アリアさんを頼ってサークナイト家に身を寄せたらしい。



「聖女様たちの世界は性に奔放な世界なのですか? もしかしてリナ様も?」

「お嬢はまだ清いままだ」

「ファーストキスもまだっすよね?」

「何でアンタたちが知ってるのよ!」

「ありがとう。俺の為にとっておいてくれて」

「黙れ、オッサン! 莉奈ちんの純潔は誰にも渡さない!」

「オッサンじゃねーぞ! まだ二十八だ!」

「お黙り! アナタたち、アタクシの魔道具の実験台にしますよ?」

「それは良い考えです、兄さん」

「「酷い!」」




「王妃が妊娠したから結界が張られなくて今の状態なのか?」

「いや。結界は張られたっすよ。あの日、大地が光るのを見たっすから。直ぐに嫁の墓に報告しに行ったのを覚えているっす」


 確かジルベルの奥さんは三人目の出産の時に亡くなったと聞いた事がある。その後は再婚もせず男の子三人を育てていた。


「じゃあ百年の安寧が有る筈なのに……どうして?」

「瘴気発生の原因は分かりませんが、王家はリーナの所為にしていますね。悪魔と契約し神の使いである聖女を害そうとしたから神の怒りが降りかかって来たのだと」

「なにそれ」

「ゆるせねぇ!」

「今直ぐ殺るっす」


 神を怒らせた原因があるとすればリーナじゃなくてお前等だろう! おまけに本来なら何も知らない聖女に尻拭いさせようとしていたなんて……。


「自分のケツは自分で拭きやがれ!」


「リーナ? その言葉は淑女としてどうかと思いますよ?」

「煩い! 今の私はこんななの!」

「年下の嫁の尻に敷かれるのもアリだな」

「だから、莉奈ちんはお前の嫁じゃ無いって!」


 憧れの聖女に玩具にされ、尊敬する王太子に処刑されたリアム。

 有りもしない事件の責任を取る形で処刑されたジルベル。

 優秀過ぎた為に地に落とされ汚名を着せられ処刑されたリーナ。


 冤罪で処刑された私たちの無念を晴らし、二十一年前に起こった現国王と王妃の罪を全世界に知らしめ断罪する! 


「落とし前はキッチリつけさせて貰うわ!」

「俺の嫁がカッコイイ!」

「けど、実際問題どうやって証明するんだ? 俺たちが転生者だって言っても鼻で笑われるだけだな、きっと」


 国王夫妻に私たちが冤罪で処刑された転生者だとカミングアウトしたところで、怖がらせる事は出来ても汚名をそそぐことは出来ない。国王に至っては怖がりもしないだろう。逆に二人を盾にとられ聖女として飼い殺しになるのがおちだ。


「王妃を揺さぶればボロが出るかもしれないわ。国王に比べて感情的になりやすいし判断力に欠けるところがある気がする」

「人が集まる場所で追い詰めて言い逃れ出来ない状況を作り出すっすね?」

「全国に中継できる魔道具でもあれば尚良いけどな」

「イーサン兄さんに作って貰えば良いんじゃないの?」

「子豚に兄呼ばわりされる謂れはありません」


 その後、秘密裏にとある計画を実行することにした。具体的な計画案が出来上がった頃ひとりの男が駆け込んできた。


「大変だ! アーシェリンが捕縛された!」




 駆け込んできたのはジルベルの次男のグランだった。


「グラン! どういうことだ?」


 ラグナスが慌てて駆け寄り憔悴しきったグランを支えた。


「聖女を攫った一味だと疑いがかけられたんだ。このままだと処刑される」

「グラン! アーシェリンって……あのアーシェリンなのか?」


 ラグナスとグランの間に割って入った咲夜にグランが呆気にとられていた。


「お前誰だ? 俺の事呼び捨てにするんじゃねぇぞ、若僧!」

「ああ、もう、それ三回目!」


 三回目とはオーウェン、ラグナスとの同じやり取りのことだ。見知らぬ年下の男に呼び捨てにされたら私でもそう反応する。


「グラン! 俺の可愛いアーシェリンが処刑されるってどう言う事だ!」

「俺の可愛いアーシェリンだと? 貴様、アーシェリンとどういう関係だ!」

「サクヤさん、落ち着いて。誰かグランさんに説明を!」

「グラン、お前は神を信じるか?」

「……はっ?」

「ラグナスさん、回りくどいです。簡潔に!」

「叔父さん、コイツ祖父ちゃん」

「……はっ?」

「もういいです! アタクシが説明します!」


 どうやらサークナイト家は揃いも揃って脳筋ばかりみたいだ。咲夜は転生して頭脳派になったんだね。

 イーサンの説明で咲夜がジルベルの生まれ変わりで昨日この世界に召喚された事を知ったグランは咲夜と涙ながらの抱擁を交わした。




「俺と嫁のアーリー、娘のアーシェリンは王城に潜伏して間諜の役目を担っていた」


 グランは庭師、アーリーとアーシェリンはハウスメイドをしていたそうだ。


「おそらく前々から目を付けられていたんだろう、突如居なくなった聖女はアーリーとアーシェリンが手引きして攫われた事になっていた」

「脱出不可能な王城から忽然と居なくなれば誰かが手引きしたと思うわね……迂闊だった」

「明日までに聖女の無事が確認されない場合は二人を処刑するって告示された」

「罪も確定して無いのに処刑だなんて相変わらず腐っているっすね、この国は」

「そうやって何人の人命が奪われていったんだろうな」


 咲夜と隼人が前世を思ってか憤慨している。


「これはさっきの作戦を実行するのにおあつらえ向きの事態ね。取り敢えず、王城に帰るわ。二人の事は任せて」


 私たちはイーサンの魔道具を少し分けて貰い再会を約束して革命軍のアジトを後にした。



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