68.音楽祭2
「では、音楽祭でのクラス発表の内容を決めたいと思います」
音楽祭実行委員のジェイク様とフラン様が教壇に立つ。
「皆様からの案を紙に記入していただきました。読み上げたいと思います」
ジェイク様がサクサクと進めている。
『ルイ様とルカ様のピアノ演奏を希望します』
『やはりルイ様とルカ様のピアノでしょう』
『麗しの王子様達の演奏が聴きたい』
『このクラスを代表して演奏するのは麗しの王子様達以外にいません』
『麗しの……』
同じような意見ばかり続いた。
ジェイク様が読み上げた案をフラン様が黒板に書いていたが、
ほとんど僕とルイの名前が出ている。
「以上です。これはもう決定でよろしいのではないかと思われますが、一応お伺いします。ルイ様、ルカ様いかがですか?」
「あのさ、クラス発表なんだから僕とルカだけじゃなくていいんじゃない?」
「そうだよ。皆で演奏するとか楽しいと思うよ」
僕達の意見にクラスの皆がザワザワし始めた。
『このクラスならではと考えるなら、やっぱりルイ様とルカ様のピアノ演奏でしょう』
『そうですわ!』
『聴きたいよな』
『ええ!もちろんですわ!』
『麗しの王子様達の演奏をぜひ!』
「……これはもうやるしかないんじゃない?」
ヘンリー様がルイを見て言っている。
と、そこへフラン様が手を挙げた。
「はいッ!!私の案もよろしいでしょうか?」
「フラン様はどのような案があるのですか?」
「私の案はズバリこれです!」
ビシリッ!と黒板を指す。
『歌とダンス』
「ああ、そういえばその案もありましたね。これはクラスの皆で歌ってダンスをすると?」
「いいえ!今、名前が挙がっているおふたり!琉翔くんと琉生くん!!歌とダンスといえばこのふたり以外にいません!!」
あまりの熱の入りように教室の中は静かになった。
そして、嫌な予感がする。
「『クスフォードツインズ』です!!」
……やっぱりね。
「おふたりのピアノが素晴らしいことはご存知の通り!しかし、おふたりの歌声は聴いたことはありますか?そして、ダンス!!」
「ルイ様とルカ様の歌とダンスですか?」
ジェイク様が驚いた顔をしている。
「そうです!歌やダンスの種類はたくさんあることはご存知でしょうか?歌劇場での歌やパーティーで踊るダンス以外にも素晴らしいものがあります!」
『え?あとは何が…?』
『他の種類?』
クラスの皆が不思議そうな顔をしている。
「皆を魅了する甘い歌声!格好いいダンス!曲や歌詞に合わせて歌い、踊ることができるおふたりなのです!!」
フラン様の熱弁にクラスの皆がまたザワザワし始めた。
『ルイ様とルカ様にそのような特技が?』
『おふたりのダンス?』
「フラン様からの案ですが、ルイ様とルカ様はどう思われますか?」
ジェイク様から問われる。
「僕達の歌とダンスはちょっと変わってるし、皆にはあまり馴染みのないものだよ」
「そ、そうそう。見たい人なんているかな?」
流石に無理じゃないかな?
ルイと僕が否定する。
すると、フラン様がバッと応援うちわを出した!
『ツインズ』『最高』の文字。
日本語だから皆は読めていない。
「日本中、いえ、海外からも注目を集めていた『ツインズ』なのです!そして、この世界でもその美しさやピアノで皆を魅了しているではないですか!!」
ええ!?
「そこのあなた!」
「え?私!?」
「麗しの双子の王子様達が笑顔で華麗に歌って踊る……そんな夢のような舞台を見てみたいと思いませんか?」
フラン様が前の席のご令嬢にうちわを差し出して質問する!
「ルイ様とルカ様が!そ、そんなの…見てみたいですわ!!」
「そうです!!おふたりの魅力はステージ上でさらに輝くのです!!まさにアイドル!!」
『あいどる…?』
『パーティーでルイ様とルカ様の素敵なダンスは見たことがありましたけど… 』
『また違うダンスが?』
『おふたりが作曲された曲なのかしら?』
「ルイ様とルカ様、これはもう止められようが……というか、そのような特技があるのですか?」
クラスの皆が期待の目を向けて僕達を見ている。
ジェイク様もちょっと興味がありそう。
「僕も見てみたいな!」
ヘンリー様も声を上げたら、皆も頷いている。
「……分かったよ。でもそんなに皆が期待するような歌とダンスではないかもしれないけどいい?」
あ、ルイが折れた。
まぁ、学級委員長だしね。
『キャアアア!』
『楽しみね!どんな音楽とダンスなのかしら!』
『きっと素敵なはずよ!』
クラス内が盛り上がった!
フラン様も嬉しそうにうちわを振っている。
「やったわ!『クスフォードツインズ』復活よ!!」