オカルト研究部
テーマ:今どこにいますか?
ジャンル:ホラー
幽霊など、目に見えない、存在が確認できないものほど、人は興味を示す。
それは私も同じ事で、高校生となり入学早々にオカルト研究部を立ち上げたいと考えていた。
だがそれにも条件があり、部員は最低四人は必要と言われ、私は残りの三人をなんとか見つけるために学校のあちこちに部員募集の紙を貼る。
いろんな場所に貼りすぎて先生に叱られたりもしたけど、その努力もあって部員が四人集まり、私達はオカルト研究部を設立した。
部員は全員一年生で、私を含めて女子二人と男子二人。
あとから聞いた話だけど、この集まった四人はかなりの変わり者らしい。
それなら私も負けてないから問題はないけれど。
「私達オカルト研究部の最初の部活は、今どこにいますか、よ!」
「それって、私達が入学するかなり前に流行っていた噂話だよね」
流石私と同じ変わり者で女子。
情報が早い。
なんて思ってたら、他の二人の男子もその件について話し始めた。
今どこにいますかとは、彼女の言う通り私達が入学するかなり前に噂された話。
内容は、今は立ち入り禁止になっている旧校舎だが、当時はまだ普通に使われていた頃になる。
一人の女生徒が旧校舎に落とし物をしてしまって、友達二人の付き添いで一緒に夜の旧校舎にやってきた。
月の明かりだけで探すのは大変だったけど、懐中電灯などを使えば警備の人に気づかれてしまうと思ったからそうするしかなく、友達に協力をしてもらいながら廊下を探していたそのとき、何か聞こえたような気がして、友達二人に声をかけるけど、何も聞こえなかったよと言われてしまう。
気のせいだったのかと思いながらも気味が悪くなり、女の子は廊下を探す。
そしてようやく見つかった落とし物。
振り返って友達二人に見つかったよと知らせると、そこに二人の姿はなかった。
その後、どこを探しても見つからず、警備の人にも叱られることを覚悟で事情を説明し協力してもらったが、結局二人は見つからなかった。
「んで、神隠しにあったんじゃないかって噂になったんだよな」
「それと、この話には続きがあったよね」
「落とし物をした女生徒が家に帰って思い返したらあの声は、今どこにいますか、と言っていたでしたかね」
そう、そして気づくの。
幽霊が「今どこにいますか」って尋ねてた相手はその三人で、二人はその得体のしれない何かに連れて行かれたんじゃないかと。
更に不思議なのは、その噂がピタリと止んだこと。
理由はわからないけど、その話をする人は誰もいなくなり、今では忘れ去られた話になった。
そして今回、この噂の真相が事実であるかと、ピタリと噂話が止んだ理由を調査するのが私達オカルト研究部の初めての活動に相応しいと思った。
旧校舎は現在立入禁止だけど、夜にこっそり忍び込めば問題ない。
下見に行ったときに南京錠で扉は閉められていたけど、かなり古くて錆びついてたから壊せることは確認済み。
こうしてその夜私達四人はその日の夜に学校の門の前に集合し、こっそりと旧校舎へ向かった。
旧校舎は警備の人も巡回しないから、南京錠を持ってきたペンチで壊して中へと入る。
調べた情報だと旧校舎は三階まであり、問題の廊下は二階。
私達は二階へと上がり廊下を歩くが、特に変わった様子もない。
「何もねーな」
「旧校舎だけあって建物もかなり古いね」
「噂はやはり噂だったんですかね」
三人が話す中、私もやっぱり噂に過ぎないのかなと思っていたその時、突然私の真下の床が崩れ、咄嗟に近くにいた一人が腕を掴んでくれて何とか落ちずに済んだ。
他二人も慌てて引っ張り上げてくれて、私は三人にお礼を伝える。
特に何もないみたいだし、これ以上ここにいるとまたいつこんな事があるかわからないと思い、旧校舎から出る事にした。
「おかしいわね、一階に下りたはずなのに」
「二階だね」
「どうなってんだ?」
不思議に思っていたその時、誰もいない旧校舎で私達とは違う声が聞こえてきた。
四人顔を見合わせて生唾を呑むと耳を澄ませる。
今、どこにいますか──。
確かに聞こえた言葉に、私達の顔は強張る。
どこから聞こえてきているのかさえわからず、兎に角一刻も早くこの場所から離れねばと直感が危険信号を出す。
それは他の三人も同じで、私達は再び階段を下りた。
だが、何度下りても二階のままで、遂に疲れて通路に座り込んでしまう。
「下りても下りてもきりがないよ」
「どうなってんだよ」
「もしかして私達は、この二階という空間に閉じ込められてしまったのかもしれないわ」
冷静に判断していたとき、私は一人男子がいないことに気づく。
名前を呼んでも返事はなく、再び階段を下りるがまた二階。
そしてもう一人の男子も消えた。
残った私達女子二人は、これ以上犠牲者を出さないようにと手を繋いで階段を下りる。
何度繰り返しても抜け出せず、再び休憩をとろうと手を放し床に座ったとき、今までいたはずの女子まで消えてしまった。
残されたのは私一人。
私がこんな事を言わなければ、なんて後悔は遅く、私はある決心をした。
部長である私が覚悟をしなくてはいけない。
窓を開けると私は大きく深呼吸をして飛び降りた。
階段が駄目なら窓からと思ったから。
私は強い痛みを全身に感じ、目を覚ますとそこには居なくなったはずの三人の姿があった。
「よかったー」
「目を覚まさないので心配しました」
「部長のくせに情けねーなー」
二人の話によると、私は床が崩れてそのまま下に落下して気を失っていたらしい。
三人は凄く心配してくれて、男子二人は私達女子を家まで送ってくれた。
結局あの噂は単なる噂だったのか。
私が見たのは全部夢だったのか。
痛む身体でお風呂に入ろうと服を脱ぐと、私の横っ腹辺りに土がついていた。
「これって校庭の土? でも、何で……」
校庭の土がついたのは何故なのか。
もしかしたら、あの夢は——。
《完》




