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1話完結のSS集  作者: 月夜
62/77

迎え人

テーマ:お迎え

ジャンル:ホラー

 私には、人の死が見える。

 見えると言っても、正確に何で亡くなるのか、何時なくなるのかはわからない。

 ただ人の、迎え人が見えてしまうだけ。

 そう、それは、私達がいうところの死神。


 フードを被る真っ黒な姿。

 その手には鎌が持たれており、人の想像通りの死神。

 そんな死神が見えるようになったのは今年に入ってすぐだった。


 最初は驚いたし周りにも話したけど、誰一人としてそんな者は見えなかった。

 友達には「受験勉強で疲れてるんじゃない」なんて言われてしまう始末。

 これは疲れからくるものじゃないのは私自身がわかってる。


 誰に話しても信じてもらえないし、両親には病院に連れて行かれるしで、私はこの話を誰にもしなくなった。

 周りに聞かれても、もう見えないと嘘をつく。

 本当はしっかり見えているのに。



 下校時間。

 帰路を歩いていると、前から来る一人の男性の背後に死神の姿。

 慣れてしまった私はこのまま無視するだけ、そう思ってたのに、横から突然トラックが男性めがけて突っ込んだ。


 私はただ死神が見えるだけという考えだったが、そうじゃなかった。

 死神の姿が見えるということは、その人の死すらわかってしまうということ。


 目の前で起きた光景に、ただ私は固まっていた。

 次第に周りが騒がしくなる中、私の瞳に映っていたのは、男性の体から抜け出た魂を掴み姿を消す死神。



 翌朝。

 学校の近くだったということもあり、あの事故の話題はクラスで飛び交っていた。

 私がその現場にいたことも知らない皆の言葉は、私に昨日の光景を思い出させる。


 見たくなんてないのに、知りたくなんてないのに、それからも私は死神の姿を見ることになった。

 この人は何時亡くなるのか、そんな事ばかり考えてしまう。

 また目の前であの時みたいなことが起きたらと思うと怖い。



 それから数ヶ月が経ったある朝。

 洗面所で顔を洗っていると、目の前の鏡に死神の姿が映り、私は悲鳴を上げる。

 それを聞きつけたお母さんが慌てて来たので、私は体調が悪いから今日は学校を休むとだけ伝えて部屋に戻った。


 布団を頭から被り、チラリと隙間から見れば、そこに死神はいる。

 私も近いうちに死ぬんだろうか。

 もしかしたら今日かもしれない。

 恐怖で学校に行く事もできずに布団の中にいると、いつの間にか眠っていたらしい。

 息苦しさで布団から出ると、部屋は黒い煙と燃え盛る火に包まれていた。




「なに……何がどうなってるの?」




 訳がわからず立ち尽くす私の頭上から、炎で焼け落ちた天井が落ちてくる。

 重い柱の下敷きになった私が最後に見たのは、フードから覗く口元がニヤリと笑った死神の姿だった。



《完》

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