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1話完結のSS集  作者: 月夜
50/77

嘘壺

テーマ:うそつき

ジャンル:ホラー

 嘘壺(うそつぼ)というのを知っているだろうか。

 人は大きな嘘、小さな嘘をつく。

 嘘壺は、嘘をつけばつくほど幸運が溜まるというもの。


 それを三日間続け蓋を開けると、期間内についた嘘の分幸運が訪れる。

 そんな素敵な話に興味を持たない人間は、嘘をつくことができない人間だけ。

 でも、嘘をつけばつくほど溜まる幸運に目が眩むものはいる。

 そして、それに最適な人間もこの世には沢山存在する。



 お店にチリンと鈴が鳴る。

 どうやら今日も店に一人の客人がやって来たようだ。




「古い店だな。おい、ここに嘘壺ってのはあるか」


「ええ、ございますよ」




 老婆は棚に並べてある無数の壺から一つを男に差し出した。




「この壺は──」


「説明ならいらねーよ」




 それだけ言い残すと男はご機嫌に壺を持って店を出ていく。


 壺に値段は存在しない。

 つまりはタダということ。


 さてさてこの男がどうなるのか見てみましょうか。




「これにサインして契約するだけだから簡単でしょ」




 男はいつものように詐欺を働き嘘をつく。

 そのため簡単に嘘壺は溜まっていく。

 悪い商売をする人にとって、嘘をつくなんて簡単なこと。



 そして四日目の朝。

 男は何の躊躇いもなく壺の蓋を開けた。

 毎日嘘をつき続けてる自分なら、三日もあれば十分。

 そう思っていたのだが、蓋を開けてもなんの変わりもなく壺の中もから。




「あのばばあ、騙しやがったな」




 男は壺を床に叩きつけると、あのお店に向った。


 チリンと響く鈴。

 店にはあのおばあさんの姿。

 男はドカドカと近づきおばあさんの胸ぐらを掴む。




「おいばばあ! よくも騙してくれたな」


「私は騙して何ていませんよ。もう貴方には壺の効果が出ているはずです」




 幸運はこれから来るということなのか、男はおばあさんから手を放すと舌打ちをして店を出ていく。

 その瞬間外から聞こえた大きな音に人のざわめき、救急車のサイレンを聞き、おばあさんは口元に笑みを浮かべただ一言つぶやいた。




「ほら、効果が出たでしょう」




 嘘壺、それは嘘をつけばつくほど幸運が溜まるというもの。

 でも一つ注意点がある。

 それは、本当の事を一度も言ってはいけないということ。


 幸運があるなら不幸だってあるもの。

 人間は嘘だけをつき続ける事なんて出来はしない。

 三日間の間に一つでも本当の事を言えば、持ち主に不幸をもたらす。

 その不幸は、嘘壺に溜まった嘘の分だけ。


 タダより高いものはない。

 上手い話には裏があるというが、男は一体どのくらい嘘を溜めていたのか。

 もし壺一杯に溜めていたら──。



《完》

■エブリスタ


妄想コンテスト第147回

テーマ:うそつき

作品:嘘壺

結果:優秀作品

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