表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1話完結のSS集  作者: 月夜
40/77

困ったときの神頼み

テーマ:神様、お願い

ジャンル:ファンタジー

 人は困った事があると神に頼る。

 そんな人間の世界には「困ったときの神頼み」などという言葉もあり、神である私は鼻で笑う。


 昔は神を崇める人間は多くいた。

 なのに今はどうだ。

 お供えどころか拝むものすらいない。

 そんな者の願いをきいてやるほど神は優しくはない。


 そんな日々が過ぎて何十年。

 この神社に一人の青年がやって来た。




「神様、どうか母さんを助けてください」




 そう願い去る青年。

 初めて見る顔だ。

 また人間の、困ったときの神頼みだなと思いながら、私は青年の事が示された時の書物を開く。


 人間は増え過ぎた。

 ひとりひとり把握することは神にも不可能。

 だが、昔からあるこの時の書物のお陰で知りたい人間のことがわかる。


 人間ひとりひとりの事が事細かく記されている書物。

 勿論こうしている今も書物は増え続け、ページも増え続けている。


 私はパッと手にあの青年の事が記された書物を出現させ、ペラペラとページを捲る。

 人が生きた分だけページ数は増すが、若い人間も人生が濃厚ならそれなりのページ数となる。




「なるほど。母親が病にかかり余命が残り僅かなのか」




 だからといって何かをしたりはしない。

 人が生を受け、そして死ぬのは自然の法則。

 変えることなど許されない。


 そんな私を知ったら、人間は何と言うだろうか。

 自分の願いが叶わないとき、決まって人は誰かのせいにする。

 神に頼り願いが叶わなければ、あの青年は私を、神を恨むだろう。




「神様、あの青年可哀想じゃないですか? あの年齢にしては書物のページ数もありますし」




 天使見習いが言う言葉もわからなくはない。

 だが、人は神という存在を勘違いしている。

 私達神は世界を見守るだけの存在。

 簡単に願いを叶えたり人の生死に関わることなど許されない。




「私達の使命はわかっているでしょう」


「はい。ですが、少し可哀想で」


「だからアナタは見習いなのですよ」




 書物を閉じ、私は人間の観測者へと戻る。

 それが神であり、神の存在意味なのだから。



《完》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ