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8 お隣さんは思い出す

初の茜音視点です。

私は考えていた。何故、栄斗はこんなにも私に構ってくれるのか。毎日、全然思ってもいないことを口にして、私は栄斗を拒絶してしまったのに…。


『僕がついてる』


栄斗のその言葉がふと頭に流れた。栄斗は私を二度も助けてくれた。だから私も正直にならないといけないと思った。


「理解出来ないよ」


私は布団に寝転びながら呟いた。




私はあの日、お姉ちゃんに頼まれて夜ご飯の材料を近くのスーパーに買いに行った。そこで、偶々栄斗とぶつかった。


「きゃっ」


思わず声を出してしまった。


恥ずかしくて見せられる顔ではなかったので、下を向いて玉ねぎを拾い、急ぎ足でその場を立ち去ることにした。


栄斗より先に店を出ると、そこはもう真っ暗だった。


少し歩くと前から二つの人影が見えた。二十歳くらいかな。


彼らの横をすれ違う、その時声をかけられた。


「君、可愛いね。奢ってあげるから俺らと遊ばない?」


彼らは私の身体を舐め回すように見た。


私は一年前のあの出来事がフラッシュバックして腰を抜かしてしまった。


「どうしたんだ?それはご自由にってことか」


はははと彼らは笑った。


助けて…助けて……誰か…


心の中では私はそう叫んでいたが、口がこわばって、声には出来なかった。


もう助からないと思って目を閉じようとした刹那、『茜音!』と誰かに呼ばれた気がした。



ーーーーそこには額には青筋が張られ、目尻を吊り上げて、怒りの表情をしている栄斗がいた。



そして、栄斗は二人を撃退すると、私に『僕がついてる』そう言った。


なんだか、その言葉を私は何処かで聞いた気がする。



そうだ、栄斗は一年前に助けてもらったあの人によく似ている。


「あなた、もしかしてあの時の……」


私は確信した。間違いない、栄斗は一年前のあの人だと。


栄斗は私に手を出してきた。栄斗の手は暖かく、身体は小柄だけど大きくて、優しい手だった。


その後はよく覚えていない。気が付くともう家の前だった。



この時からだろうか……。


私が彼のことで頭がいっぱいになったのは。私は気がつくといつも彼のことを考えていた。それと同時に今まで酷いことを沢山言ってきたことを思い出した。それに私は一年前も今日もお礼を言いそびれた。


だから、私はいつか必ず栄斗に『ごめんなさい』と『ありがとう』を伝えようそう決心した。

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