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2 お隣さんと夜ご飯

昼の引っ越し作業で疲れたので、僕は寝転がっていると、気付いたら夜になっていた。すると、


「ピンポーーン」


インターフォンが鳴った 。


誰だろう、父さんか母さんかな?流石に見に来るのは早くないか、と思いつつ扉を開けるとそこには昼間の桑鶴さんがいた。



「あの〜、大宮くん。もし良かったらなんだけど、昼間の御礼に夜ご飯ご馳走させてくれない?」


なんだって⁉︎桑鶴さんの手作り?


「今、外に出るのでちょっと待っていて下さい」


こうして、外に出るとそこには昼間と同じく可愛い桑鶴さんがいた。


「いや、あの別に嫌だったら良いんだけど…」


「あっいえ、とても嬉しいですけど。それはつまり桑鶴さんの家でって事ですか?」


「はい…そうですけど。汚いのは我慢してくださいね」


これはどういうことだ?そうか夢でも見てるのかな?女性に誘われた事なんで初めてだ。しかもそれが桑鶴さんだなんて………。


「でも、家に男なんて入れて大丈夫何ですか」


「はい…大宮くんなら…。優しいし、それと弟みたいで可愛いですし」


「僕はこれでも高校生ですよ…」


僕は小柄な方なのでよく勘違いされる。


「ええっーーー高校生だったんですか?私てっきり中学生だと…ってあの、そのごめんなさい……」


慌てる桑鶴さんも可愛いなぁ…。


「いえ、別に良いですよ。昔からよくある事なんで」


「で、どうします」


と桑鶴さんが申し訳なさそうに僕に聞いてきた。


そんな顔されたら断れないじゃないか…。まぁ、夜ご飯もまだだし、お邪魔しようとは思ってたけど。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


そのまま桑鶴さんの家に招き入れられた。正直天然そうなところがある桑鶴さんの料理は心配だったが、出てきた料理はどれも絶品だった。


栄斗もそれなりには料理はできるが、桑鶴さんの料理は何だか家庭的な味でとても美味しかった。


「とても美味しかったです。ご馳走さまでした」


「お粗末様です」


桑鶴さんはえへへと笑った。


「そういえば桑鶴さんは大学生なんですか?」


天然?なところはあるが、桑鶴さんは少し大人っぽく感じる。


「うん。今年から大学だよ」


「じゃあ、一人暮らしも今年からですよね」


「うん。そーだよ、だから私も隣が誰か緊張してたんだぁー」


「まぁ、私が来た時はまだ誰も居なかったんだけどね。でも隣がかわい……優しそうな子で良かったよー」


あれ、今この人可愛いって言いかけたよね?なんか、桑鶴さんに言われたら、無性に傷付くなぁ…。


その後は、桑鶴さんの高校時代の話や栄斗の中学生の頃の思い出話で盛り上がった。


「それにしても凄いですね。モデルだなんて、驚きました」


「でも、まだ駆け出しなんだけどね」


桑鶴さんは何と、雑誌のモデルをしているそうだ。まだ駆け出しらしいが、桑鶴さんがモデルをしているのはとても納得がいく。


モデルもしていて、こんなに可愛いのだから桑鶴さんには彼氏とかいるのかなぁ…。いたらちょっとショックだな。まぁ、いて当然だと思うけど……。


「「あのー」」


「「………………」」


タイミングが被ってしまった…。どうしよう何か言わないと…。


「あ、先にどうぞ」


と少し顔を赤らめた桑鶴さんに言った。

僕も少し顔か火照っていると思うが…。


「ありがと。その大宮くんは…彼女とかいたことある?」



「へ?」


思わず声が漏れてしまった。


「いえ、いたことなんてないですけど…」


へ?どういうことだ。何で彼女いたかなんて聞かれてるんだ?当然いたことなんて一度もないけど……。なんか悲しいな…。


「……それだけ…ですか?」


「ふふ、ごめんごめん、大宮くんの動揺するところが見たくて」


桑鶴さん、意外とひどいなぁ…。けど、ふふふと笑いながらペコペコと謝る桑鶴さんはとても可愛らしい。


「あ、そう言えば、大宮くんは何言おうとしてたの?」


「秘密です」


今更、彼氏いますかなんて聞いたら恥ずかしくて目も見れないだろうしな…


「えー、教えてよー」



「…………」



「もぅ、じゃあまた今度教えてね」


また今度ってなんかドキドキするな……。


「じゃあ僕はそろそろ」


時計の針が八時を示したところで僕は言った。流石にこれ以上女性の家にいるのは悪いだろう。あと、僕の理性が保てないや。


「今日はありがとうございました。ほんとに料理美味しかったです」


「いえいえー、私こそ今日は助かったよ」


と言って僕を玄関まで見送ってくれた。




家に戻ると僕は椅子に座り込んだ。はぁ〜、緊張した。僕、変じゃなかったよね?



中学の頃からあまり女子とは話さない栄斗にとっては、あんなに美人なお姉さんと二人でご飯を食べるということは栄斗にとって耐えがたいものだった。


あっ、そう言えばLENE交換するの忘れてた!


LENEは友達になると、リアルタイムでトークができ、電話やビデオ電話も無料で出来るので年齢問わず人気でスマホを持っている人なら誰でも使っているトークアプリである。


んー、流石にそれはキモいか……。会ってすぐの男に急に連絡先聞かれたら普通引くよな…。ご飯に誘われたからって調子に乗らなくて良かった〜。ただのお礼だしね。こんなことは二度と無いだろう。


栄斗はポケットからスマホを取り出して、明日の学校への行き道を再確認していると、スマホの振動と共に着信音が鳴った。


そこには照史と表示されていた。僕の中学時代の友達だ。


「栄斗、もう着いたか?」

「兵庫だっけ?」


「うん、今日の昼間ついたよ。マジで疲れたわ」

「てか、なんで親友の引っ越し先知らねーんだよ」


「合ってるんだし、いいじゃないか」


と一緒に猫の惚けたスタンプが送られてきた。やっぱり照史は面白いな…。


当分会えないと思うと少し寂しくなる栄斗だった。けど、それを言ったら確実に弄られるのでやめておこう。


「夏休み俺も兵庫行くから待っとけよ!」


「それ本気かよ笑」


「俺はいつだって本気だよ」


「まぁ、そん時は迎えにいくよ」

「じゃ、入学式だしもう寝るわ」


「おう、おやすみ」


「おやすみ」


初日から遅刻するわけにはいかないからな。


風呂に入ってベッドに入ったのだが、今日の事や桑鶴さんが何度も脳裏に浮かんでなかなか寝れなかった……。明日も桑鶴さんと話せたらいいな…。



そうして、栄斗は静かに目を閉じた。

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