その9
その9
なんか腹が立ってきたから、オレはもういくぞ!
ええ?……ひさしぶりに、機械じゃないものと話せたのになあ。
『ぼうごふく』は、ちいさくて平たいキカイをいじりました。
キカイのうえから、小さいけれど、とっても美味しそうな死体になりそうな女の子が出てきました!!
じいさん!!そのうまそうなもの!!どこから出したんだ!?
うまそう、かい??
ああ。やわらかくて、食べやすそうだ。うちの年寄りどもは、くちばしがヒビ割れてきているから、こういうのを食べたがる。
……そうかい。でもね、もうこの子は24年も前に、死んじゃったんだよ。
じゃあ、もう骨しかのこっていないな。
うん。戦時中は墓場が足りないから、火葬にしたんだ。灰はここにあるんだけどね。
『ぼうごふく』は、ちいさな小瓶を見せてくれました。
首からさげていました。くさりにつながれたその小瓶を見て、フラッコはなっとくしました。
なるほど、ちいさい子だったんだな。だから、そんなにちいさい小瓶に入るんだ。
ああ。とても、ちいさかったよ。私の腰の高さしか、なかったんだ。
……それなら、ずいぶんと大きいじゃないか。フラッコはそう思いながらも、だまっておきました。