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その7
その7
『ぼうごふく』をきた、ひとりのとしよりがそこにはいました。
ひからびた肉かよ。
おいしい死体にはなりそうにありません。
ですが、その『ぼうごふく』をつついてみます。
わあ!びっくりした!な、なんだ、カラスか。
死んでもいませんでした。
『ぼうごふく』は、なべで、コーヒーを煮ているようでした。
フラッコは、そのなべをあたためる火に近づいて、雪と死の灰によごれて、冷たくなった黒い翼をあたためます。
……君も、人のことばがわかる鳥なのかい?
おいしくもなさそうだし、そもそも死体でもないのです。だから、ムシしてやろうと考えましたが。
ことばも分からない、ばかな生き物あつかいされては大変ですから!
フラッコはくちばしをひらいて、『ぼうごふく』に話しかけてあげました。